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ケサランパサラン
燕の飛んでる真夏日に
お空は滲んでおりました
雲を透かした青は淡く
呼吸をするとほんのりと
水の匂いがしたものです
乾いて焼けたアスファルトが
蒸気を散らすあの香りが
香ってきたらそろそろと
季節は押し寄せてくるのです
ヒトタチは我儘なものだから
夏に冬を懐かしみます
冬に夏を懐かしみます
どうにもこうにも無い物ねだりを
繰り返し続けるものなのです
かと言えば
春になると憂鬱になる
秋になると寂しくなると
全く我儘なものなのです
地軸が傾いていなければ
こんな事は起こらなかったと
嘆いてみせるも仕様がない
まだまだ蝉の鳴き声も
届いてこない空梅雨の日々
ポプラの飛ばした白い花を見る