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恋患う猫達の
斜めに伸びる夕影が
紺色に見える宵の事
恋患ったお嬢さんが
ラブソングを歌うのです
体をくねくねと身悶えさせて
ふしだらな歌を歌うのです
そうすると
ドキドキとときめいた雄猫達が
このおんにゃを我のものにしようぞと
詰めかけて喧嘩をするのです
そう言った一抹の出来事は
大騒ぎをするほどの
顛末も待っていないのですが
赤子のような声で鳴くおんにゃと
そのおんにゃを狙うおにょこの声は
季節を告げる声なのでしょう
春と秋にかけての
風物詩と言う物です
ヒトタチの歌うラブソングも
このように聞こえているのかどうかしら