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沼の底の泥
星屑は世界を埋めて
摩天楼は燦然と輝くのに
その一つ一つに
命なんて言う生々しい物を
与えているのだ
瞬く事の無い光は
冷凍庫で冷やしたように
冷たいままで良いと言うのに
体温とやらを求める
肉を纏う者達は
その醜さを知らないらしい
どんな風を与えても
最後には食べてしまうのに
せっかく命を奪ったのに
腐らせるのは勿体ないと
最後には食べてしまうのに
無我の中に在る事が
もっとも清らかであると
無我の中にいる子供に
餌を与える者達は言う
汚すことに愉悦を感じる
浅ましさを得るようにと
その幼い口の中に
あるだけの悪意を詰め込むのだ
ほぅら これでお前も堕落の人だ
不気味な顔で笑みながら
ヘドロのようなものを投げて来る
彼等はそれを愛情と呼ぶらしい




