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詩文彩文  作者: 夜霧ランプ
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写し出されたもの

 確かにミャトソン医師のポラロイドカメラは


 十二分な働きをしました


「白いペンキに残った肉球紋」


「食べかけの西瓜」


「黄色く粘つている血痕」


「壁の釘に引っ掛けた布地」


「暖炉の中で焼けている火掻き棒」


「倒れている犬族の亡骸の足」


 それ等の写真をざっと見てニャーロック氏は言います


「この事件には犯人が居ます」


 弁護士の烏丸さんはドキドキしながら次の言葉を待ちました


「少なくとも 頭から出血している亡骸を放置して


 この現場から逃げ出したものが居ます」


 そうニャーロック氏が話す間


 西瓜を抱えたくすねた党員と


 ギザギザに切られたマントを羽織っている大たまご党員と


 何故か手袋をしている獅子党員と


 眠っているんだかなんだから分からないゆっくら党員は


 黙っていました



 黄色い血痕は


 血が飛び散った後に誰かがそれを踏んだことを意味します


 そして犬柱艶子の足裏に血液はついていませんでした


 誰かが 頭から流血している女史を放って


 現場から逃げ出したのです



 やがて ゆっくら党員の檻中聯五郎(おりなかれんごろう)氏が


 犬柱艶子(いぬばしらあやこ)殺害の容疑で捕まりました


 ニャーロック氏は現場に残された証拠の大部分が


 予め用意されていた物であると気づいていたのです


 白いペンキに敢えて残された肉球紋


 食べかけで放っておかれた西瓜


 壁から出ていた釘に引っ掛けたように切れていた布地


 暖炉の中で燃えていた火掻き棒


 それ等はどれも違和感がありました


 肉球を持った種族が犯人か?


 西瓜を丸かじりする種族が犯人か?


 いやいや 壁の釘に引っかかるような服を着る種族が犯人か?


 と周りに疑わせるために


 ですが 最初から犯人は決まっていたのです


 火掻き棒を振りかぶって相手を殴れる種族


 つまり猿族の者の犯行だと



 燃えていた火掻き棒の一部には


 犬柱艶子女史の血痕が見つかりました


 火掻き棒で殴った後 返り血と言う証拠を隠したのです


 火掻き棒は入念に調べられ


 檻中聯五郎氏の指紋が発見されたと言います


 本日の日報はこれまでです

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