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十中八九
ほとんどが
ほとんど無いの
なんであれ
八割九割
当ては外れる
恋歌謡う人の声
随分 素直なものなのだが
実像含まず 形だけ
そんな空虚なカプセルは
どうにもお気に召さぬようだ
水と一緒に飲み込んでも
何の味もしないもの
ビル影が斜めによぎって行く
あの河に影が落ちたら夕暮れ
空を舞っている鴉の群れも
寝床へ向けて飛び立った
今日はもう聴こえないの
今日はもう聴こえないの
またね明日ね さようなら
そう言いながら濡れ羽色に光って
鴉の翼は鳴くのだもの
伸びて行く日の中に溶けて行くから
ゆらり 影を揺らした