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シンプル
ノートの端書でフラフープを回している
トラ白の猫がくるくる回る
夜空の星が泡立つように
ステージライトを当てるのだ
幕間に拍手はない
それでも猫はフラフープと回る
八つの目を持った
首の長いお方が
これは賽も河原も無いと
知ったかぶって唸るのだ
どうにも幻想的ではないが
四つのフラフープは唯ならぬ
回転軸を得ているのだから
こいつは奇妙奇天烈と
知ったかぶって唸るのだ
街路灯にキラキラ光る
粉雪散々閃いている
そんな今宵の晩ご飯には
温かい物を所望する
眼前 目録 強いては 蛹
フラフープのトラ猫目を回して
コロンと背から落っこちた
くるりくるりと身を翻し
地面にしっかり足を置く
そこに投げ出された影だけが
くっきりフラフープを回してる