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吐露
叙情を描くなら
それは豊かな心だとして
叙事を描くなら
作り上げた登場人物を
箱庭に閉じ込めたい衝動の
一塊なのだろうと
台詞を言わせたかったのだろうね
ドリームを叶えてあげると
宣言してくれる言葉を
期待していたのだろうね
だけどねそれは
全く僕の意向と
見当違いな事なのさ
誰も彼も
なんにもできない赤ちゃんを
守ってやれと俺に言う
足手まといと一生を
共にせよと俺に言う
鼻で笑ってしまうのは
俺にはどうにもあの肉が
赤ん坊には見えない事なのさ
飯を食う方法を知っているなら
死にゃしないだろ
放っておけよ
なんであいつ等は
あの肉の存命ばかり
気にするんだろう
俺には甚だ迷惑だ
だってさぁ
虫と同じ気配がする
気味の悪い生き物と
生きて生きたくないだろう
絵物語と現実を
一緒にしちゃぁならないよね




