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詩文彩文  作者: 夜霧ランプ
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猫の木

猫の生る木

 公園の一角に

 とても不思議な木が生えています


 なんでも

 水を捧げてお願いをすると

 好きな物を実らせてくれると

 言うのです


 そのお話は石碑に刻まれて

 公園の片隅で古ぼけていました


 ある旅行者の人が

 その石碑を見つけて

 古い文字を何とか読んで

 水を捧げてみました


 そして「可愛い子猫が欲しいです」

 とお願いしました

「可愛い子猫を生らせて下さい」


 そうすると

 不思議な木の枝には

 まあるい実が生りました


 そのまあるい実の中に

 小さな子猫が居りました

 旅行者は

 てっきりその子猫を

 もらえるものだと思って


 木の枝からもぎ取りました


 途端に可愛い子猫は

「ぎゅう」と言う喉を鳴らす音を立てて

 窒息死してしまいました


 旅行者は気味が悪くなって

 逃げて帰りました


 その日のうちに雨が降りました


 不思議な木には まあるい実が

 幾つも生りました

 その内側の全部には

 子猫がしまわれておりました


 まあるい実をつついた鴉は

 まあるい実の中で何かが

 シャーと音を立てたと気づいて

 逃げて行きました


 それからも

 子猫はたくさん実りました

 だけどどれ一つ

 誰の猫にもならない猫でした

 だってむしり取ろうとすると

「ぎゅう」と言って死んでしまうんですもの


 まあるい実の中で

 子猫は大きな子猫になりました

 充分太って真ん丸になると


 木はそれを地面に落としました

 ぐちゃっと言って

 まあるい実は砕けました


 それによってその木は

 とても栄養価のある肥料を

 得られたのです


 そして実から出られた猫達は

 当たり前の猫の中に

 混ざって行きましたとさ


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