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触手の枝
電波の樹木
言葉を以って形を成すのは
甚だ難解な作業だね
最も思索にふけるのは
起きて五分の前の頭の中で
流動している何等かを
留めようとしている時さ
必要外の戯言と
必要内の戯言と
どっちも同じ意味だっけ
乱立すれど酸素は吐かぬ
コンクリートの木々達は
電気と電波を発します
あれも人の社会では
生きるに要する樹木です
網の目のように絡まった
電線千切れて濯がれて
パリパリ音を立てています
危ういはずの緑の光が
何故だか綺麗に見えるのは
危険だとかにそんなにも
興味がないのだからだと
現実的に思うのです