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眼球新種
そう思うだけの物語
真夜中の音を
奏でている月の弓
星々の揺らぎは
空気の熱による
一種の歪みと言う現象だ
ほうき星は青白く
砕けながら飛んでいる
光に手を伸ばすのに
粒子は掴み取れない
燈したばかりの白熱球は暖かい
触れると言う事は
熱を帯びる事なのだ
透明人間が居たら
きっと目は見えないんだって
きっと目は見えないから
他の器官で世界を捉えるんだ
だけどそれじゃあ
透明な人間ではないんだね
緩やかに落下して行く
青の深くに真珠
それはたぶん透明な何かの
目玉だったんだろう




