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シトラス
一番好きな香り
爪の先に滲む薄靄
澄んだ青が透明でも
綺麗と言うには
少し苦すぎる
白いカーテンを
真昼が灰色に染めて行く
例えば僕が明日
居なくなってもそんなに
違いはないんだなんて
誰の目線で笑ってたんだ
生きて息をして
此処に一つ意識があって
別の者と見なす誰を
誰か達を
その目があるのは
外側から見ている
誰かの事なんて
存外 気にしなくて良いものだと
僕はようやく
笑えるようになった
個と言う心が
一つ此処にいる
繰り返しのようだけど
それが生きると言う事で