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虚構変形
舟のカロンが見つめる現世
ある日は澱んでおりました
静かな淵の底の事
仄かに過ぎって行きました
香りの靡く空気の様に
それはくるりと踊ります
波は風の起こすもの
風は星の起こすもの
星は生まれ出でてから
遠くを目指して飛んでいます
そう認められてしまうので
鉄の馬車が走る日々に
人は溜め息つくのでしょう
ほほえましいと思うのは
新しい素材でできている
今日が明日もあるのだと
夢中に耽る空想は
どれだけ信じていようとも
姿は変わるものなのに
騒がしいほどの雑音が
鳴り響いては空欄