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碧い猫
望月の世の幻想です
雪の園の碧い涙が
透き通る水に零れて
滴る言葉と点滴の麻酔
山茶花は咲いている
眠るままに凪いで行くのは
海の原の 草の原の
鼓動 脈拍 心音 芯温
穏やかな風が吹いている
窓に背を伸ばす子が
銀を含んだ声で笑った
二つある月を美しそうに
称えている言葉を聞いて
目を細めるんだ
碧い猫の目で
真珠色の心に
ふわふわの襟飾り
碧を絡めて
天鵞絨のマント
威厳を称えた王様は
しくしく泣いたりしないのさ
子猫は今日も眠るから
くるりと丸まって眠るから
碧に染まる真珠の心は
まるで星を抱いているようだ




