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朝顔咲いた日雨模様
翼竜はきっと鳴かない
朝霧薫る空は柘榴石
咲かぬ花達どの手の中で
画廊の所蔵を眺めて権化
温度を測る事も無い
細雪ともあれば幸いな
生きる言葉 死する言葉
唯ならぬ雑言の渦中にある
氷雨の刃は切りつけるだけ
温かく思えば其処には坩堝
目隠し引かれて歩むは何処
もう幾年の僅かに成れば
因って埋もれる花々の園
浮かんだ雲は理想的だと
隘路の先は野の春なのか
さざめく小枝が空気に泳ぐ
外光斜めに揺れてる真昼だ
音階は奇妙な不規律を以て
探して居るのは鏡ではなく
異質な業となり得るもの
辿って付いた砂原にある
翼竜のサナギの目覚める時