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渇いた声
枯れてしまう前に
さららゆららひらら
木の葉揺れる午後の事だ
赤く熟れて砕けて
咎の実は蒸発した
雲の羽は昇って行く
天国とやらに逝くために
月の外に日が暮れるとして
然らば何色の意図を問う
何の青が其処に混じる
ダラダラと零れる滴りの
菫色が紺に閉じる
夜の底は沼の中
宵闇はベールだから
狂いを隠してくれるかな
ひだを寄せてあなたの顔を
淡く滲ませている
隠して瞑ってしまうの
瞼彩った色彩の奥で
銀色の半月が覗く
あれが空の果てだと
夕の片隅は未だ
燃え尽きる星屑の墓
白い光の無垢炉だ
加熱された屍が埋もれて
焼けて燃えて砕けて
雲の涙は地上へ
叩きつけられて行くの
雲の涙は地上へ