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魔法使いと竹とんぼ
ビードロ玉とレモネード
夏にはよく見えていた
著しく冴えた彩度で
向日葵が影を浮かべていた
水の無い地面で
照らし出すものが
余りに不憫だと
水平線を切る
どこかの船を見つめたの
空が銀色の光る日に
トネリコの枝を折って
魔法の杖にしよう
三つ節がついて居たら
とても上等なの
ひそひそみんなが囁いてる
其処には何にも存在しない
空っぽだけがくるくる回る
仕方ないから黙っているの
だけど君が怒った理由は
僕の想像するままさ
きっと認めはしないだろう
だって君はまだ自分の事も
何の一つも分かっちゃいない
ニヤリと笑まれた理由すら
何の一つも分かっちゃいない
幼い子供は世界の全部が
自分のために作られてると
勘違いするものらしいから
ひそひそみんなが囁いてる
それはクルクル回転して
地面にカランと投げ出される
竹で出来たトンボと同じ




