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終焉戦争~ラグナロク~  作者: 十六夜 凪
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第4話 ~襲撃、戦争~

        終焉戦争(ラグナロク)

 それは、この国の命運を決める、2つの軍の戦争。この戦争を終わらせることが出来るのは、たった一人の少年。

 ただ、結末を知るものは誰もいない。



──────────────────────────────



「これは……すごい数ね……」


 そう毒づいたのは俺達の軍の総司令官、皇城(すめらぎ)イアだ。俺は先程、軍からもらった『能力(スキル)』のレクチャーと武器(デバイス)の調整をしてくれた。その後、能力を安定させるための訓練をしようとしたところ、なんと天帝軍の襲撃が来てしまった。ちょうど良かったので俺の能力を試そうとしたのだが、


「100、1000……十万はいますね」


「ガー湖より多いじゃない! そんなことよりどうして本部にいるのよ!」


 俺達が本部へ来たときには、いくつかの支部を通ってきた。そのときはイアの顔パスで通過してきたが、まさか敵軍が顔パスできるはずはない。そもそも本部から半径5キロにも敵軍を弾く特殊な結界(シールド)が展開されているはずだ。とにもかくにも異常事態。イアもそれを分かっているのだろう。インカムを起動して、


「戦闘班、医療班は直ちに本部ゲートへ集合! 用意できる全ての戦力を集めて! 技術班、科学班、土木班でも戦える者は戦闘に参加! 全軍で敵を押し返すわよ!」


 そういえばこの人総司令官だったな。全軍に的確な指示を出している。俺も動いたほうがいいのだろうか。


「少年君はもう突撃しちゃっていいわよ。なるべく全線は前のほうがいいわ。ほかの戦力が揃うまで粘るわよ。能力はぶっつけ本番よ!」


「了解です。敵に能力持ちがいた場合どうしますか?」


「それは無理のない範囲で戦闘して頂戴。あくまでもこれは時間稼ぎよ。10分、頑張ってね。いくわよ!」


「そちらこそ!」


 さて、司令官から許可が出たので少し暴れますかね。まずは雑魚狩りだな。ここで新技を披露しよう。


「我流 アーク一文字 『斬波(バスター)』」


 アーク   それは、全ての人が持つ特殊なエネルギー。どんな老人や赤ん坊でも少量だが体にアークは存在している。アークは人だけではなく、鉱石や物体にも宿っている。この国での大元になるエネルギーもアークである。

 アークは特別な方法で加工できるが、どうやら俺が手に入れた能力はこのアークの加工、操作が可能になり、アークの使用に際限がなくなるらしい。つまりアークが好きな形で使いたい放題というわけだ。そこで俺は剣にアークを纏わせ、斬擊として飛ばしたわけだ。夢の飛ぶ斬擊が再現できるとは思わなかったが、貴重な飛び道具だ。それにアークの密度は自由に調節できるから、応用もきく。………なんかすげえ能力手にいれちまったな。


「グギァァァァ!!」


 怪物どもの波をを斬波で一直線に斬ってやった。そこに空いた空間に持ち前の瞬発力で敵のど真ん中に突っ込む。もちろん敵に囲まれるが、


「我流 アーク円斬 『風渦(サイクロン)』」


 そこにアークのエネルギーを纏わせて巨大化させた剣を自分を軸に一回転。襲いかかってきた怪物を全て斬り伏せた。アークってすげえなやっぱり。一瞬でやられていった仲間の光景を見て怯んだのか、敵の圧が少し弱まった。


「あーあーあ。派手にやってくれたねぇ。」

「!?」

 

 突然上空から声が聞こえた。


──────────────────────────────


 一方その頃イアサイド


「せいっ……やあ! 全くきりがないわね…!」


 時間稼ぎとはいえこの量を相手するのはきついわね。少年君の方は早速能力で暴れてるみたいだけど、私のは戦闘向きじゃないのよね……仕方ない、本当はあまり使いたくないけど、使うしかないわね。


「本当は使いたくないけど……ごめんね怪物さん!」


 私は限界まで姿勢を低くし、敵の攻撃をかわす。そしてそのまま、


「皇城流 第5変属 『雷華(らいか)』!」


 敵の大群へ突進。剣を()()に突き立てる。そこを中心に私のアークから変換した高圧の電流を流す。

 元々、この国には大きく7つの剣流派があった。大昔は7大名家として名を轟かせていたが、ある事件をきっかけに、その名を知るものは極一部になってしまった。私は7大名家のひとつ、皇城家の娘だ。ある事件のことも知っている。だから、私はこの流派とは距離を置いていた。しかし、元をたどれば強力な型だ。苦しいが、こういうときには重宝する。出来れば使いたくないけどね。

 高圧の電流で感電した怪物達から()()()()()()する。……うん、使った分のアークは取り戻せたかな。それじゃ、私も能力使っちゃおうかなー?

 と、そこで


「総司令官! 全班集結いたしました!」


 んー、いいとこだったけど、いいわ。

 現在の戦力は戦闘班中将と一般兵、医療班指揮、土木範囲指揮、科学班の指揮と一部といったところだ。大将と少将は出払っている。


 我が軍、天誅軍は主に6つの班で構成されている。軍の要である戦闘班、戦闘班を支える医療班、デバイスや能力の開発をする技術班、主にアーク技術を研究している科学班、戦後の後処理や軍施設の整備をする土木班、そして、長期間戦闘において重要な補給部隊、だ。厳密にいうとここからさらに分かれるのだが、大まかにはこの6つだろう。


 今回の襲撃は、相手がそこまで強くないといっても、さすがに数が多すぎる。集団戦闘をけしかけても数の関係でこちらが囲まれて不利になるだけだ。一ヶ所に固まって迎え打てば、最小の被害で済むはず。これで、防衛できることはできるだろう。だが、問題はそこではない。どうやってあれだけの大群が結界(シールド)をどうやって破壊したのか。


 だが今は敵が迫っているのだ。原因究明は後回し。防衛に専念したほうが良いだろう。そう結論付けて、各班の指揮官に作戦と陣形を伝える。

 まず、戦闘班を先頭に、横一列に隊列を組み、敵の侵入を防ぐ。後ろに医療班を配置し、怪我人が出たらすぐ対応。科学班は後ろから援護射撃、技術班は上空からの情報を伝えてもらう。土木班は戦える者は戦闘班に加わってもらい、その他は別の班の協力、補給部隊は物質などを本部から運んで貰う。作戦は、絶対防衛。犠牲を出さずに防衛する。無駄な攻めはしない。ここで科学班指揮が口を開いた。


「敵の目的も分かんないし作戦自体に文句はないけどさー、あれ、どうすんの?」


 彼女が指差したその先には、ずっと放置していた少年君と


「あ、やっばい!少年君のことわすれてた! ………って新手!? しかも能力持ち!?」


 敵軍と思われる能力持ちと交戦していた。



─────────────────────────────



視点は戻って、主人公サイド


「………誰だ」


 俺は突然空から聞こえた声の主に問うた。まあ、返答は期待していないが。


「名を聞くならそちらが先に名乗るべきではないか? ン?」


「残念だったな、俺に名前はない。元より返答も期待していない。ここを獲りにきたんだろ。面倒だからさっさと帰ってくれ。」


「…………ほう? 攻めに来たところから帰れと言われてはいそうですかというヤツがいるか。もうおしゃべりにも飽きた。抵抗しないなら殺すぞ?」


 俺は会話による時間稼ぎを試みたが、さすがにダメか。そもそも俺、そんな会話得意じゃないし。どうやら相手は戦闘態勢のようだ。そうこうしている間に化け物どもが後ろへ抜けていく。まだ本部までは距離がある。イアも本部の方へ向かったようだ。多分、戦力が揃ったのだろうが、俺忘れられてるな。もうやっちゃってもいいか。指示ないけど。


「来ないのか?ならば、こちらからいかせて貰おう! 『風霰(かぜあられ)』!」


 ()()は羽を使って風の斬擊を飛ばしてきた。第2変属と第3属の複合か、厄介だな。

 アークで変換できる属性には種類がある。その数8種類。だが、属性には変属というものがある。変属とは簡単にいうと、より難しく、強力なものだ。しかし一概に変属のほうが強いとはいえない。属性には相性があるからだ。例えば1属と2属、これは炎と水なのだが、相性が悪い。2変属と3属、これは風と氷なのだが、相性が良い。相性が良いものは、相手が使ってきたように複合属性として変換することができる。

 ただ厄介なのはそれだけではない。相手が飛んでいる点もある。なんにせよ攻撃があてにくい。また、大きいのは相手が女性であることだ。俺だって健全な男なのである。敵であろうとあまり斬りたくはない。(そもそも女性と戦ったことがあまり無い。無いわけではないが。)

 とにもかくにも目先の危険を回避しなければ。


「『風渦(サイクロン)』!」


 俺は文字通り敵の技を吹き飛ばした。さらに追撃を仕掛ける。斬波で複数回攻撃するも、やはり直ぐに回避されてしまう。


「甘いね。『羽矢射(フェザーアロー)』!」


 敵は自らの羽を弓矢に見立て、連射してきた。剣で防御してみるも、羽がかなりの硬度がある。直撃は不味いと感じ、ダッシュでの回避を選択、したのだが、あろうことか追尾してきた。羽が追尾とはどういう原理か。こちらも斬波で応戦する。単純な飛び道具なので、こういうときには役にたつ。まあ、牽制にしかならないのだが。なんとか距離さえ詰められれば勝機はある。


「最初の威勢はどうした? ハッタリか? どんどんいくぞ、『雹河(ひょうが)』!」


 目の前に大量の雹が迫ってくる。咄嗟に限界まで姿勢を下げたスライディングで回避。少し前に戦ったリキルより技のレパートリーが豊富だ。雹の川も追尾してくる。何か仕掛けがあるのか?


「『風渦』!」


 俺はまた風渦で吹き飛ばそうとしたが、突然、雹の川がとんでもない加速をした。拳大ほどの雹をもろに食らう。


「ぐっ………」


「また吹き飛ばそうとしたのか? 残念だったな、無駄だ!」


 あいつが何かをしたわけではなさそうだ。ではなぜ加速したのか。追尾に関係があるのか?


「ほう、アレをもろに食らっても立つか。面白い、もっと楽しませてくれよ!」


 あの程度で倒れる訳はない。追尾の理由、加速の原因、ある仮説が立った。試す為にもあえてアーク全開で斬波を打ち込む。


「なんだ? 馬鹿になったのか? 無駄だとわかっていように。一緒でも楽しいと思ってしまった私の興奮を返せ。もういいつまらん。終わりだ!『雹河(ひょうが)』!」


 俺はアーク全開のまま。雹は音速を越えている。ようやく原理が解った。さあ、反撃の時間だ!


────────────────────



第5話へ続く──────────────

 

あとがき

今回はキャラ雑談ではありません。属性紹介です。


第1属 炎  変属 火炎

第2属 水  変属 氷

第3属 風  変属 飛

第4属 地  変属 草

第5属 電  変属 雷

第6属 光  変属 聖 

第7属 闇  変属 魔

第0属 無  変属 ?



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