第3話 自習室の始まり その1
5月の連休中日の平日、よく考えずにランチの仕込をしてしまった。
せめて、モーニングの客足の少なさで気がつくべきだったかな。
いつもの3倍位、余ってしまった。
世間は、平日でも休みの人が多かったようで。
火曜の日替わりの、ナポリタンのパックが12個も出来てしまった。
店前の人通りもいつもより少ない。
余ったら、冷蔵して自分で食べるか〜と思いながらいつも通り入口に並べていると、表からのぞき込んでいる小学生?くらいの女の子と目があった。
「いらっしゃい。1個、200円です」
モジモジしながら、迷っている感じのその子を改めてよく見ると、擦り切れてくたびれたTシャツとスカート、汚れたスニーカータイプの靴と艶のない切り揃えられてないオカッパに近い髪型。
不潔な感じではないものの、訳有かな?と思って、
「今日は余りそうだから、安くしとくよ、いくら用意できる?」
パアッと明るい笑顔になったその子は、
「100円なの。でも、弟とお母さんのも欲しいの。」
「いいよ、今日は特別に3個100円!」
大き目の手提げポリ袋に3個と、モーニングで余ったトーストをいくつか黙って入れてあげて割り箸も入れて、
「また来てね〜」
と、手渡す。
「ありがとう!」
駆け出した子を見送り、明日のランチのカレーの仕込み、どうしよう?何人前?と悩むことになった。