第14話 姉と、弟と、 その3
「姉が、変わったんです。それで、貴方にお礼を言いたくて。」
あ、この子も姉に劣らず優秀なんだろうな〜と思った。
「お礼?」
「はい、クールで誰に対しても冷たい対応だった姉が、いつもニコニコ明るく過ごす様になりました。この、喫茶店に、通うようになってから。」
それは、気がついていた。彼女が来店する度に、挨拶程度の会話の後から、徐々に笑顔が見えるようになっていったから。
「最近、姉は、モテるようになりました。何回か、告られたようですが、きっぱりと断ったようです。以前は、畏れ多くて誰も接近しなかったのですが。」
この先の、話の展開が、見えてきてしまった。
先を、促す。
「このまま、何もせずに見守ることも考えたのですが、家の中での姉の様子を見ると、家族一同心配で心配で。
家の中でもクールだったのが、居間や廊下で歌い踊るほどになりました。
両親は、姉が宇宙人に乗っ取られたんだと本気で思っています。」
どんだけ広い居間や廊下なんだよと思いながら、
「面白いご両親だね。それで、僕に何をしてほしいのかな?」
ズバリ、聞いてみた。
「姉は、貴方に好意を抱いています。貴方は、姉の事を、どう思っていますか?」