第13話 姉と、弟と、 その2
「姉の事で、お聞きしたくて………あ、生徒会長の!」
姉が、変わった。何処がとかでは無く、雰囲気が、変わった。
新学期明けの最初の週末、突然落ち着きが無くなった。
それまでは、『ザ・生徒会長!』と呼べる自慢出来る完璧な姉だった。
あい変わらずいつも冷静で落ち着いた姉だったが、自宅では裏側が見えたとでも思えるほど、何かが、変わった。
勿論、自宅以外では今でも変わらず冷静そうなのだが、何処か冷たい感じがする姉が、本当は感情が有る人間だったんだと思える出来事が増えてきた。
理由が何か分からずに、暫し姉を観察する。
家族の前限定ながらも徐々に暖か味が増えてくる姉に気がついた両親も、何も言わないが嬉しそうだった。
そして、それは、突然訪れた。
5月の連休明けの土砂降りの日だった。
登校後、外では常にクールな表情を崩さなかった姉が、朝から『ニマニマ?!』としか表現出来ない顔で、過ごしていた。
すれ違う皆、思わず振り返る。
別人としか思えなかった。
更に放課後、決定的な出来事が起こる。
「明日の朝、喫茶店でモーニングしながら朝活打ち合わせしない?奢るからさ!」
そして、翌朝、訪れたとあるカフェ。
「マスター、おはよ〜!友達連れて来たよ!」
姉が、変わった原因が、此処に、あった。