表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花束を君に  作者: アレン
序章
1/18

__の章


 手も足も体の何処も動かない。さっきまで痛みを感じていたのに、今ではそれすらも消えてしまった。自分が死へと向かっているのだと分かる。


「……」


 声がして目線を動かす。誰かが私を見下ろしている。ぼやけた視界では表情までは分からない、だけど『彼』が泣いているということは直ぐに気づいた。


 泣かないで


 動かなかった手がスっと動いた。動く間ポロポロと体が崩れていったが、構わず彼の頬に触れ、零れる涙をそっと拭う。


「泣かないで」


 口から漏れた声はとてもか細く弱々しいものだったが、彼には届いたようで視線が合わさった。

 苦しげな目。そんな顔しないで。私は幸せなんだよ。掠れて途切れ途切れになってしまったが、一生懸命思いを彼に伝えた。話しているうちに意識が薄れていき、自分で何を言っているか分からなくなってくる。

 何とか言い終わった時にはもう微かな呼吸も辛くなってしまった。ちゃんと気持ちは伝わったのだろうか。

 じっと彼を見つめると、彼はグッと顔を歪めて微笑んだ。


「俺もだ。お前と過ごせた僅かな時間はこの長い生の中で奇跡のように幸せだった。ありがとう」


 そう言い私の体をそっと抱きしめ、額を合わせた。


「すまない。助けられなくて、守れなくて」


 ポロリと涙が頬に落ちる。


「そんなこと言わないで」

「いや。俺はお前に何も……」

「じゃあ1つ、お願いがあるの」

「なんだ」

「私がこの先生まれ変わっても、貴方に会いたい。貴方のことを忘れてしまうけれど、それでも」


 身勝手な願いだということは分かってる。それでも……

 言葉が続かなかった私を、彼は包み込むように抱きしめた。


「あぁ約束する。必ずお前を見つけ出すよ」


 耳元に聞こえた言葉に私はホッとした。それと同時に体から力が抜け、真っ暗な世界へと堕ちていった。


久しぶりの小説投稿なので至らない点が多いと思いますがよろしくお願いします。

1つの章が書け次第投稿していく予定なのでゆっくりの投稿になると思いますが気長に読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ