入学
「おーい、リン行くぞ。」
リンと言うのは、この世界での俺の名前だ。
そして今日は魔法学校の入学式である。
俺の住んでいる国では5歳になると皆魔法学校に入学する。
「はーい、今行くー」
足早に父親のもとにむかう。
学校に着くと俺はあまりの大きさに落ちた顎を拾っていた。
ちなみに俺の家は学校とかなり離れているのだが、移動には転移屋を使う。
転移屋とは転移魔法で様々な場所へ送ってくれる店である。
俺の家は雑貨屋で大して裕福なわけではないため、早めに飛行魔法を覚えるよう言われている。
「あ、リーン!」
俺の名前を呼びながら走ってくる女の子は近所の食堂の一人娘のルーラだ。
引きこもり気味の俺を外へ連れまわしていた、俺の今の唯一の友人だ。
「ルーラおはよう、一緒に行かない?」
「いいよ!」
俺は父親に許可を取りルーラ共に入学式に参加する。
入学式は実に退屈だった。
後ろの椅子にルーラが座っていたが、時折り俺の椅子に頭がぶつかっていた。
式が終わり、各々の教室に向かう。
クラスは平民と貴族それぞれ二クラスに分けられている。
この世界には貴族制が存在する。俺やルーラは平民だ。
そして俺の住んでいる国アルラードは大きい国ではないため四クラスしかない。
俺はルーラと同じ二組になり、ルーラは俺の隣の席で寝ていた。
そして教師がもろもろの説明をして、自己紹介が始まった。