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05 A

先の展開に関して、裏付けようと思い、いろいろ調べだしたら、初めて知ることがどんどん出てきて、好奇心が満たされるのは嬉しいんですが。新しいアイデアをまとめきれるか、表現しきれるか、不安です。

さくっと書いて、サクナヒメ様の続きをプレイしたいのですが、まだ先のことになりそうです。(泣)


 翌日、例の如く俺は神社に来ている。

 ただ、今日はいつもと違い、急ぎ足で、誰か知っている人がいないかを探していた。

 鳥居をくぐり抜け、参道を進み、手水舎(てみずや)を今日は素通りすることを心の中で謝罪しつつ、階段を上がった所で、綺麗な金髪と特徴的な耳を持つ女性の後ろ姿が見えた。

 

 「あっ、レイさん!昨日は、なんか騒ぎになってましたけど、皆さん大丈夫ですか!?」

 巫女姿の()()()、レイさんを見つけて、駆け寄りつつ、勢いこんで問いかけると、驚いて振り返ったレイさんが、俺の顔を見て微笑んだ。


 「おはよう、恭一君。みんな無事ですよ。だから、そんなに焦らないで。安心してください。」

 いつものように、奏でるような美しい声だ。

 急いでここまで来たため、肩で息をしつつ、膝に手を置いて、レイさんを見上げる形になっている俺は、その声を聞いて、ほっとしていた。


 「っはぁぁぁ~良かったぁ。っあ、おはようございます!いやー、昨日の帰りに通りがかったら、前の道に人だかりが出来てるし!パトカーとかも停まってるし!でも、知りあいがいなかったから、何があったか聞けなくて、すごい心配したんですよ!」

 昨晩は、気になって気になって、なかなか眠れなかった。

 

 「昨日は、すごい騒ぎになっていましたものね。表の道で事故があったみたいですけど、近くにいたお婆さんが擦り傷をおっただけで、命の心配はないみたいですよ。うちにも被害はありませんし。トラックの居眠り運転が原因らしいですけれど、誰も悲しむことがなくて、良かったです。」

 レイさんが、昨日何があったを説明してくれる。少し憂いを帯びているような気がするけれど、レイさんはそこまで表情が豊な人ではないから、はっきりとはわからない。でも、レイさんは優しい人だから、お婆さんを心配しているのかもしれない。


 「そう、なんですね。でも、ほんとに良かった。そのお婆さん、他に怪我とかないといいんですけど、、でも、やっと安心できました。。」

 呼吸も落ち着いてきて、身体を起こしつつ、安堵の気持ちを吐露してしまう。それだけ、心配だったのだ。もしかしたら、ガキの頃からお世話になってる人達に何かあったのかもしれないと、気が気じゃなかった。


 「ありがとうございます、恭一君。心配してくれたんですね。」

 レイさんがペコリと頭を下げてくれながら、優しい声をかけてくれる。

 

 「えっ!あっ、いや、そんな、、」


 そう言えばと、昨日の風景を思い出して、思わず「あぁ!それにしても、すごい人だかりでしたね。なんか取材っぽい人達もいましたよ?」と俺は聞いていた。


 「確かに、事故が起こってから、遅くまで人だかりが出来ていたみたいですね。私たちは、念のために警察の方と話をしたりしていましたから、ずっと見ていたわけではありませんけど、、もしかしたら、あれが原因かしら?」

 レイさんが、首を傾げながら、何かを思い出すように呟いた。


 「あれ?ですか?」


 「ええ。。警察の方から聞いたんですけど、そのお婆さんがね、言っていたらしいんです。もう一人、少年がいた。って。その少年が助けてくれたって。」


 「少年ですか?咄嗟に人助けができるって、なかなかできないことだと思うんですけど。その少年は、すごいですね!あれ?でも、えーっと、それの何が問題なんですか??」

 レイさんのはっきりしない物言いが気になる。


 「いなかったんです。」


 「…はいっ?」思わず聞き返してしまっていた。


 「事故現場に、そんな少年はいなかったらしいんです。お婆さんは、いたって頑なに証言してるらしいんですけど。。。トラックの運転手さんは、居眠り運転でうとうとしていたらしくて、人がいるのに気づいて、急ブレーキをかけたらしいんですが、そこにいたのが1人だけだったのか、もう1人いたのかは、はっきりしないらしくて。でも、間に合わないと覚悟したのに、実際には誰もトラックとぶつからなかったから、変かもしれないとも言ってるらしいんです。」

 レイさんも、よくわからないといった感じで、説明してくれる。

 「これは、警察の方から聞いた話ですから、私もそれ以上はわからないんですけどね。。どこから漏れたのか、、集まってきていた人達が、神隠しか!?って騒いでいたみたいなんです。それで、人が更に集まって、騒ぎが大きくなったのかもしれないですね。」

 

 なるほど。事故現場を見に来た人達が、その証言を聞いて、騒ぎが大きくなっていって、野次馬が増えていったのかもしれない。


 「それに。神社の入り口に階段と鳥居がありますよね?そこに、誰の物か不明のカプチキとサイダーが落ちていたらしいんです。。事故と関係あるのかはわからないらしいんですけど、一応関係あるかもしれないということで、調べるらしいんですけど、、そう言えば、ここら辺でカプチキが買えるのって、恭一君のバイト先だけですよね??もしかしたら、警察の方が聞き込みに行くかもしれないですね。」


 レイさんが、心配そうにこちらを見ている。けれど、俺は昨日のことで頭がいっぱいになっていた。

 カプチキとサイダー。確かに、昨日その組み合わせで買っていった少年を俺は見ている。俺が知る限り、昨日その組み合わせで買ったのは、あの少年だけだ。

 何時に事故が起こったのか、正確な時刻はわからないけれど、あの少年がこの神社まで来ていて、巻き込まれたのなら、お店を出たなんとなくの時間から考えても、そこまで不自然ではないように思える。嫌な汗をかいている気がする。。


 その時、俺のスマホが鳴り出したので、レイさんに一言断って、電話に出る。

 「もしもし、マルさん。どうかしました?あれ?確かシフト中じゃないですっけ?」


 『がるるるぅ、うん、ちょっと確認したいことがあってね。電話してるんだけど。がるるぅ。今、大丈夫?』

 バイト先の先輩、マルさんだ。なんだか、いつもと口調が違うというか、緊張しているような声に聴こえる。


 「あっ、はい!俺は大丈夫ですけど、どうしたんすか?」


 『あっ、うん。あのね、今警察の方が来てて、』

 「警察ですか!?」俺の中で、急にいろんなことが繋がった気がして、鼓動が速くなる。思わず、口走ってしまった。レイさんが、心配そうに、こちらを見ている。


 『えっ、うん。そう。警察の方がうちに来ててね。今も隣にいらっしゃるんだけど、、がるるぅ、なんかね、昨日事故があったらしくて、それで聞き込みしてるみたいなの。それでね、確認したいことがあるんだけど、、昨日、恭一がレジしたお客さんに、カプチキとサイダー買った方がいたでしょ?なんか、帰り際に、靴ヒモが!?って言ってた人。』

 なんだか、よくわからない感情が湧いてくるのを抑えながら、マルさんの話を聞いていた。自分が悪いことをしたわけではないのに、なんだか不安になってくる。マルさんも、敬称がごっちゃになっているから、同じような気持ちなのかもしれない。

 「はい。昨日、確かに俺が接客しました。」


 『やっぱり、そうだよね。それで、警察の方が恭一に確認したいことがあるらしくて、、電話変わってもいい??』


 「え!!あっ、はい!大丈夫っす!」

 電話口の向こうで、少し遠めに話し声が聞こえる。マルさんが刑事さんと話してるのかもしれない。


 『もしもし』

 予想外に、めっちゃ渋い声が聞こえてきた。ベテラン刑事さんだろうか。


 「もしもし!」


 『あぁ、緊張されなくて大丈夫でちゅう。何点か確認させていただきたいことがあるでちゅう。』

 ちゅう?鼠人族の刑事さんだろうか?それにしても、めちゃくちゃ渋い声だ。


 『森山恭一さんで、合っていますか?ちゅー。私は、涌井賢太郎と申しまして、警察の者でちゅう。』


 「あ、はい!森山で合ってます!あの、それで?」

 先ほど、レイさんから聞いたばかりだし、恐らくあの少年のことだろうとは、予想がつくけど、一応関係ないかもしれないし、確認をしなければ。


 『森山さん。昨日、事故があったのはご存知でちゅう?晶赤龍(しょうせきりゅう)神社の近くなのでちゅう?』


 「知っています。。実は、今そこにいまして、ちょうど事故の話を知り合いの巫女さんとしていたところなんです。」


 『そうですか。それは、話が早いでちゅう。その件で、調べていることがありまして。昨日、森山さんがこちらでバイトされていた時に、カプチキとサイダーを買っていった少年がいたと思うのですが、覚えておられますか?ちゅう?』

 もちろん、覚えているので、はい。と返事をする。


 『その少年のことで、何か覚えていることがあるちゅう?あれば、教えていただきたいでちゅう。なんでも大丈夫でちゅう。』


 「なんでもですか。。まず、来店されたのは、夕方だったと思います。彼は、よくお店を利用していただくので、顔を覚えていて、来店されたのには、すぐ気づきました。」


 『ちゅう。それで?』


 「それで、サイダーを持ってレジに来られて、カプチキをオーダーされました。私が対応したんですが、昨日は少し不機嫌だったというか、いつもはもっと優しい感じがするんですけど、なんだか怒ってるような気がしました。あっ!と言っても、別になんかクレームつけられたとかではないです!」


 『それは、大丈夫でちゅう。続けてください。他に何か気づいたこと等ありますちゅう?』


 「すいません。。えーと、それでレジを済ませてから、お帰りになられたんですけど、靴ヒモがほどけかけていたのに気づいて、声を掛けさせていただきました。結局、そのまま出て行かれましたけど、、私がわかるのは、そこまでです。」


 『なるほどちゅう。ご協力感謝いたしまちゅー。もし、他に何か思い出されましたら、警察までご連絡をお願いしまちゅう。名刺をお店の方にお渡ししておきまちゅうので。』


 「あの!あの少年は!?何かあったんですか?大丈夫なんですか!?」


 『ぅんー、、森山さん。それは、個人情報でもあるちゅう。申し訳ないですが、話せないこともあるでちゅう。ご協力感謝いたしまちゅう。お電話、変わりまちゅう。』

 電話口の向こうで、また話し声が聞こえてから、マルさんが電話に出て、『ごめんね。急に電話して。がるるぅ。また後でね。』と言って、電話は切れた。










涌井さんの職場でのあだ名は、「ちゅうさん」です。

そのまんまですね。(笑)

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