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42 B

すいません、昨日のうちに投稿したかったんですが、久しぶりに寝落ちというものを経験しました(;><)

人類、眠気には勝てませんね( ω-、)


それでは、本編をどうぞっ\(^o^)/


 「うぅ~、もう、食べれません、、お腹いっぱいでふ」


 「ソウマ、食べ過ぎ」


 「だって、美味しいものがたくさんですし、皆さんいい人ばかりで、歓迎までしてもらっちゃってぇ。ついつい嬉しくて、食べ過ぎちゃいましたぁ~」


 楽しいお祭りも、どんどん時間が過ぎていって、もう日が落ち始めるくらいの時間になってしまいました。

 もう、お腹がパンパンでふ!


 「あれ、そういえば、お世話になるのに、僕まだカティナさんのご実家に挨拶してませんけど、いいんでしょうか??先にお祭りを楽しんでしまって、失礼になるんじゃ、」

 今更な気もしますけど、挨拶は大切です!


 「それなら、大丈夫ですよ、ソウマ君!」


 「メディナさん?でも、やっぱり挨拶くらいはしておいた方が」


 「いえいえ、大丈夫ですよ!お母さんから、ソウマ君は祝い火(いわいび)と一緒に連れて帰ってくるように言われているんです!ですから、採火の儀までは、ゆっくりとお祭りを楽しみましょう!」


 「そうなんですか?ちなみに、あのぉ、さいかのぎ?って、なんですか?何かの儀式でしょうか?」


 「それは、【野菜を採る】の【採る】に、炎や火の【火】で、【採火】。つまり、火を採る儀式ってこと。収穫祭の初日にやる一番大事な行事なの。」

 おぉ、カティナさんがわかりやすく説明してくださいました!


 んー、でも

 「収穫祭と火、ですか?それって、なんだか反対のイメージというか、どんな儀式なんですか?」

 農作物の収穫を祝う祭りと、火、って、キャンプファイヤーてきな何かでしょうか?

 でも、広場にはそれらしき大きな組み木の準備もされてないですし、、広場の真ん中は今サーカスみたいなことをやっていて、それを囲むようにして、三段くらいの椅子が円状にたくさん置かれているくらいですね。


 「ソウマ、それは見てのお楽しみってもんだよ」

 ほろ酔い状態のケイトさんがメディナさんに寄りかかりながら、話に入ってこられました。ケイトさんも、かなり飲んでるはずなんですが、ほろ酔いとは、これが酒に強いというやつでしょうか!

 「だけど、この町の成り立ちくらいは知っておいた方が、儀式も楽しめるでしょ!カティナ、紹介してあげたら、どうだい?」

 ケイトさんが、お酒の入ったジョッキと呼んでいいのかわからないですけど、コップをカティナさんの方に傾けながら、話を振ってくださいました。おぉ!この町の歴史ってことでしょうか!


 「聞きたいです!カティナさん!」


 「しょーがないなぁ。じゃあ、簡単に話すよ。んー、どこから話せばいいのかな。えーと、昔ね、私のお祖父ちゃんやお祖母ちゃんが若かった頃は、まだ今ほど開拓が進んでなくて、このマイルトンが国の端っこだったの。小さな鉱山の村だったんだって。でも、良質な鉱石が採れるってことで、だんだん人が増えていったらしいよ。」

 

 「え!?こんな立派で大きな町が、小さな村だったんですか??」


 「そうみたいだよ。私も、今のマイルトンしか見たことないんだけど。えーと、それでね、良質な鉱石が採れるってことで、鍛冶屋さんが増えていったんだって。国の端っこで、まだまだ開拓中だったこともあって、武器だけじゃなくて、農機具とかいろんな物が必要だったみたい。」


 「農機具、と言えば、鎌とかですか?」


 「うん、そうじゃないかな?鎌とか鍬とか、いろんな農機具があるから。鍛冶屋さんは、そういうのも作るんだよ。」


 「へぇー!勉強になります!」


 「そしたらね、良質な鉱石が採れるってことで、鍛冶屋さんが増えたら、今度は良質な武具とか農機具が作られてるってことで、商人の人達が増えていったんだって。そして、商人さんが増えれば、いろんな品物が揃うってことで、だんだん人が増えていったみたいなの。そして、人が増えたら食糧が必要ってことで、農家さんも増えていって、周辺の開拓も進んでいったみたいだよ」


 「へぇー!面白いですね!人の流れというか、繋がりっていうのかわからないですけど、そういう風に町になっていくんですねぇ」


 「そーみたい。それで今は、マイルトン自体はもう鉱山が枯れてしまったんだけど、周辺にたくさん鉱山鉱脈があったから、それぞれに鉱山の村や町ができて、その中心にマイルトンがあるってことで、鉱山都市郡の中核都市として機能してるの。しかも、土地にも恵まれてて、国境の近くで一番大きな町はマイルトンだし、王都から国境までの大動脈の道が通ってて、人や物の流れの要所になってるの。」


 「マイルトン、すごいですね!中核都市っていうんですね、なんかちょっとカッコいいです。」


 「それだけじゃないんだよ。この収穫祭が、まさにそうだけど。一大農耕都市でもあるの。」


 「一大農耕都市?ですか?」


 「そう!鉱山は枯れちゃったけど、周辺には平地も多いし、斜面の緩やかな山が連なって、さらに水脈も川もあるから、土壌もしっかりしてて、農耕に最適だったの。だから、周辺の鉱山村や町への食料関係は、マイルトンがほぼ担ってると言ってもいいくらい、穀倉地帯としても発展してきた歴史があるの。」

 

 「なるほどぉ。物流や人の流れの要所でもあり、穀倉地帯としてもすごいって、マイルトンすごい町なんですね!」

 うわぁ、なんだか、とってもすごい町でお世話になることになってたんですね!


 「ちなみに、ここら辺の冒険者ギルドの本部でもあるんだよ。だから、レリの村にあった支部は、正式には冒険者ギルド・マイルトンのレリ支部。各地方の大きな都市に、それぞれに管轄本部があるんだけど、この地方の管轄本部がマイルトンなの。」


 「はぁ。なんだか、すごすぎて、わかんなくなってきました」

 お腹いっぱいで、頭が働いてないのかもしれません!


 「あ、ごめん、脱線しちゃったね。えと、だからね。マイルトンは、元々良質な鉱石が採れることから、たくさん鍛冶屋さんができたことで発展してきた町なの。それは、今も同じで、町の外れに鍛冶屋街があって、王都にも商品を納めるくらいマイルトン製の鍛冶製品は人気なの。だから、さっきの話とも合わせて、マイルトンは鍛冶と農耕の町として有名なんだ。」


 「ほおお、鍛冶と農耕の町。えと、でも、それがさっきの、えと、さいかの儀?と、どう関係してくるんですか??」


 「それは、見ながら話した方がわかるでしょ。ちょうど準備も始まったし、いい席取らなきゃ。行くよ、みんな」


 「はい!ケイトさん!行きましょう、ソウマ君!」

 え?え?なんだか、皆さんが急に動きだしましたけど、どうしたんでしょうか??

 それに、見ながらの方がわかる。とは??


 皆さんの目線を追っていくと、さっきまでサーカスみたいなことが行われていたはずの中央で、サーカス団の皆さんがいなくなり、何かの設営作業が始まっていました。お揃いの衣装を着た屈強な人達がたくさんいます。何が始まるんでしょうか??

 とりあえず、皆さんについていきます。


ーーーーー


 「今年は、いい席が取れたねっ!」

 ケイトさんが、嬉しそうにはしゃいでいます。

 僕達だけじゃなくて、広場にいた人達の多くが、中央に集まってきています。

 僕達は、設営されている何かの正面だと思われる位置に座ることができました。僕は、三段椅子の二段目に座っています。


 棟梁(とうりょう)みたいな人が指示しながら、屈強な人達が何かの設営をしていますが、中には僕と年齢が同じくらいの人達もちらほらいるみたいですね。


 「あの、何が始まるんでしょうか?」


 「採火の儀ですよ、ソウマ君!採火の儀というのはですね。この収穫祭で一番大切な行事の一つなんです。鍛冶と農耕の町として発展してきたマイルトンなんですが、その更なる発展と、収穫への感謝、そして、また来年もたくさんの収穫と幸せが舞い込みますように。と、祝い火を各家庭に持って帰って、収穫祭の間、ランタンに灯すんです。その火を起こすための準備を、今しているところですね。」

 

 火を起こす??

 キャンプでやるような感じでしょうか?炭に火をつけたり?

 もしくは、あの実験動画でよく見る、弓と木の棒で摩擦熱をおこして火をつけるような感じでしょうか?


 うーん、でも、設営されていくものを見ていると、全然違う感じなんですよ。それこそ、鍛冶屋さんの一部を再現してるような感じです。

 

 もうちょっとで日が落ちそうですね。

 だいぶ、周りが暗くなってきました。


 「準備が終わったみたいですよ!ソウマ君!」


 「おぉ!始まるんですね!」

 何が起こるのか、よくわかってないですけど、楽しみです!

 

 設営準備が終わって、屈強な皆さんが、それぞれの所定の位置へついたようです。

 すると、日本で言うところの、紺の法被みたいな物を着た女性が前に出てきて、会場をぐるーっと見回しました。


 「皆様、そろそろ採火の儀を始めさせていただきたいと思います!今年は、私たち、ダンダダ鍛冶屋が執り行わせていただきます!よろしくお願いいたします!」

 声を上げた女性が礼をするのに合わせて、皆さんが一斉に礼をしました。そして、会場の皆さんが拍手をしています。僕も慌てて、拍手に参加しました!


 「それでは、打ち手を紹介させていただきます!」

 打ち手?とは、なんでしょうか??今日は、初めて聞く言葉が多くて、勉強になります!


 司会を務める女性の合図で、棟梁らしき人の横にいた若い男性、僕とそんなに歳が変わらなそうな、でも、キリッとした男の人が前に進み出てきました。

 司会の女性の横で立ち止まりました。

 

 司会の女性が、うん。という感じで頷くと、その男性も、頷き返してから、前を向きました。

 「皆様!、、本日、打ち手を努めます、クリス・エベルガと申します!若輩者ではありますが、精一杯心を込めて、打たせていただきます!感謝と、更なる発展を願って!よろしくお願いいたします!」

 クリスと名乗った男性が、深々と礼をしました。

 会場の皆さんが、拍手送ります。今回は、僕も乗り遅れることなく、拍手に参加しました。

 僕とそんなに歳が変わらなそうなのに、堂々としていて、カッコいいです!


 「ソウマ君。」

 

 「はい、なんでしょう?メディナさん」


 「クリス君は、確かソウマ君と同じ歳だったと思うんですが、いい口上でしたね!」


 「はい!とってもカッコよかったです!あの、でも、あれだけ屈強な人達がたくさんいるのに、一番若そうなクリスさんが主役なんですか?ちょっと不思議です」


 「それはですね、ソウマ君!」

 「はい!」

 「私も、正確な数はわからないんですが、マイルトンにはたくさんの鍛冶屋さんがあって。この採火の儀は、その中でも将来有望な若手が選ばれて行うことになっているそうなんです。さっきの話のマイルトンの更なる発展に掛けて、若手が更に育っていきますように。という願いを込めて、選ばれるそうですよ。なので、毎年、この時期になると、若手のみんなは大変みたいです。選ばれるために、みんな一生懸命修行されてるみたいです」


 「はぁ、なるほどぉ。じゃあ、その選ばれた若手の人が所属している鍛冶屋さんが、その年の儀式を行うってことなんですか?」


 「さすがです!ソウマ君!その通りです!選ばれた打ち手はもちろんですけど、その鍛冶屋さんにとっても誇りです!あっ、始まりますよ、ソウマ君!よく見ていてくださいね」


 「あっ、はい!」

 せっかくですから、しっかり見ないと損ですね!


 喋っている間に、ほとんど日が落ちて、屋台の明かりでほのかに明るいくらいになってきました。


 なんだか、すごい緊張感です。

 クリスさんが、金槌と何かの棒を持って、台につきました。

 会場のざわつきも次第に消えていって、みんながクリスさんを見ているようです。



 「はぃよぉ~!!実りに感謝を!」

 「「「皆様の!更なる発展と、幸せを願って!!」」」

 おぉ!棟梁らしき人の口上に合わせて、屈強な人達が声を上げました!


 「はぃよぉー!せいっ!」

 タンッ!カタンッ!タンッタンッタンッタンッタンッ


 クリスさんが、金槌で何かの棒をリズミカルに叩き出しました!

 あれ?火を起こすんですよね???なぜに、棒をくるくる回しながら、叩いているんでしょうか??


 「ソウマ君!よく見ていてください!棒の先を!見逃しますよっ!」


 メディナさんが、じぃーっとクリスさんの方を見ながら、小声で教えてくださいました。

 えっ!?見逃すっ!?

 何をでしょう!!


 タンッタンッタンッタンッタンッ

 金槌で棒を叩いているだけのはずなのに、もうすごい集中力と緊張を感じます!

 あれ?棒の先がだんだん赤くなってきてませんか??


 タンッタンッタンッタンッタンッタンッタタンッ


 やっぱり!棒の先が、どんどん赤くなってます!

 赤くなってきてるってことは、熱くなってるってことですよね??え?火を起こすって、金槌で棒を叩いて、火を起こすってことですか!?そんなことできるの!!すごいです!もう真っ赤になってる!

 クリスさんも、なんだかキツそうです。見た目以上に大変な作業なのかもしれません!


 「はぃよぉ~。成功です!」

 遠くから見ても、はっきりわかるくらい棒の先が真っ赤になったところで、棟梁らしき人が頷くと、司会の女性が成功のアナウンスをしました。すると、会場の皆さんが大きな拍手を送ります。 

 

 屈強な男性が、藁みたいな物を真っ赤になった棒に添えると、一瞬ピンクの火花がチラッと舞ったかと思うと、ファッと接触してるところから火が付きました!すごい!本当に火が起きた!

 不思議です、鉄の棒を叩いて、火を起こす。そんなことができるんですね。

 世の中、知らないことだらけです。

 なんだか、すごいものを見たんですけど、理解が追い付いてないけど、感動してるという、不思議な気持ちです!


 屈強な男性が、火のついた藁を、レンガみたいもので作ったあれはなんでしょう?何かに置いて、火を炭か何かに移す作業をしています。


 「ソウマ君。あれは、火炉(かろ)っていうんです。採火の儀用に作った仮設のものですけど、ふいごを使ってかなりの高温にまですることができるんですよ。」


 「かろ?えーと、火の炉で、火炉ですか?」


 「そうです、ソウマ君!」

 メディナさんが、よしよししてきます。

 あの、人前ですごく恥ずかしいんですよぉ、、


 「ほらっ、火が火炉に入りましたよ!」

 あっ、ほんとだ!赤くっていうか、赤ピンクみたいな不思議な色の炎が見えるようになってます!

 

 「きれい、ですね。あんな色の火を初めて見ました」


 「ふふっ、ソウマ君。これからは、毎年見れますよ。皆で一緒に見ましょうねっ!」


 「毎年、、そっか、そうですよね。はい!皆さんと一緒に見たいです!」

 そっか。そうだった。僕、ここに、この町に住むんだから、これから毎年見れるんだ、皆さんと一緒に。


 火炉の炎が、ふいごに合わせて、火の粉をフワァっフワァっと高く舞わせ始めていた。

 




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