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37 B

アクセス、ありがとうございます!


夏だ!祭りだ!暑さを乗り越えよ~\(^o^)/

企画最終日です!

先週のダンジョン管理の連続投稿から始まり、なんとか気合いで乗りきりました!

完全に思いつきでやった企画ですが、嬉しいことにたくさんのアクセスをしていただけて、嬉しい限りです!


来月、また似たような企画をやってみようかと思っていますので、今からストックを貯めていこうと思います。

気合いで乗りきれたのが、奇跡です(笑)


そして、一つお知らせです。

実は、来週末に推しの番組が28時間企画をやりますので、次の週末は更新をお休みします。

かぶりつきで観ますので(笑)

その代わりに、平日のうちに、二回、もしくは三回更新しようと思っていますので、ご安心ください。


それでは、本編をどうぞっ\(^o^)/



 もう盗賊達がいると思われる辺りまで、目測で100メートル前後、もうそんなにないかもしれません。

 「ソウマ達は、下がって。ここは危ないから。」

 ケイトさんが、盗賊達のいる方を注意深く見ながら、チラッと僕の方を見て、警告してくれました。


 達?ふっと後ろを見ると、カティナさんがいつの間にか、僕の近くに来ていて、その手には、剣を握っています。盗賊に集中していたので、気がつきませんでした!僕を守ろうとしてくれているのかもしれません。

 僕は、まだ守ってもらわないといけない存在。

 んー!悔しいですけど、邪魔になってもいけないし、僕ができるのは、ここまでなので、大人しく下がります。


 「いくよ、メディナ。カウント、」

 後ろに下がろうとして、初めて馬車の中がしっかり見えました。もちろん、僕達以外にもお客さんはいます。

 お子さんを連れたお母さんは、しっかりお子さんの手を握りしめて、抱き締めています。

 男性客や冒険者っぽい女性は、いつでも来い!という感じで、やはり手に武器を持って、しっかり状況を見ようと、ケイトさん達の方を注視しています。

 

 「、、スリー、ツー、」

 この馬車に乗っている人達は、みんなそれぞれにできることをしようと、戦おうとしています。

 僕は、元いた一番後ろまで戻るつもりだったのに、衝動的に偶然空いていた二列目の席に移りました。カティナさんが驚いた顔をしていましたが、何も言わずにソッと隣に座ってくれます。ここからなら、シアンさんマキタさん達も見えるし、林もしっかり見えます。


 「ワンッ!」

 まだ僕にもできることがあるかもしれない!

 せめて、耳だけでも、フルに使って、周りを警戒するくらいはっ!

 最悪、僕には覇者の咆哮もある!


 「メディナ!」

 「はい!」

 メディナさんが、手に持っていた杖を構えます。

 

 『もぉう少し近くにきたら、いぐぞぉ、おめぇいらぁ!』

 『待ちきれませんぜぇ、あにきぃっ!』


 「いきます!!」

 『よぉぅし、いぐぞぉう!』


 「ダンシングストーム!」

 『いまでぃぃ!いげぇぇぇ!うんぐぁっ!なんでぃぃ!』

 『あにきぃぃぃ、うわぁぁぁっ』


 メディナさんが、呪文とともに杖をふると、盗賊達がいると思われる場所の少し後ろくらいに、いくつもの小さな竜巻、といっても、人よりは大きい竜巻が巻き起こっていくのが見えます。

 竜巻は、だんだん大きくなりながら、秋の落ち葉なんかを巻き込んで、危険な風を周囲に撒き散らしながら、その猛威を奮っています。あれなら、見えないけど、盗賊達は普通には立っていられないはずです!


 『うがぁぁぁ!いてぇぇぇ』

 『あにきぃぃぃ、しぬぅっ、いてぇっぐへっ!』

 奇襲成功です!

 盗賊達は、完全に意表を突かれて、混乱してるみたいです!


 メディナさんの魔法とタイミングを合わせて、馬車も止まりました。少し前方を馬で移動していたシアンさんマキタさんが、馬車に近寄ってきて、それぞれの武器を手に構えます。


 「シアンさん、マキタさん!ゴルさんも!強い風がきます!気をつけてください!」

 メディナさんが、馬上のお二人と御者のゴルさんに警告を放つと、林の方を注視しながら、声の代わりに二人が手を上げて返答します。ゴルさんは、頷いて、手綱を握りしめなおしています。


 「みんな、何かに掴まって!なんでもいい!」

 ケイトさんが、馬車の中のお客さん達にも警告を発します。

 カティナさんが、前の椅子の背もたれに掴まったのを見習って、僕もしっかり掴まります。


 「いきます!、、バーストっ!!」

 メディナさんが、再び杖をふると、盗賊達の周りで起こっていたいくつもの竜巻が、一気になんだかビュォォォォとすごい音をさせながら、凝縮するようにクビレていったかと思うと、その形を保ち切れなくなったかのように、いきなりバ゛ンッ!!っと弾けました!


 グッ!!耳が!!頭がふらふらと、、、

 しまった、聴覚を拡げたままに、、


 すると、ビュォォオン!と風が周囲に吹き抜けていって、馬車もガシャガシャとすごい揺れます。何かに掴まっていないと、倒れそうです。馬達も驚いて、足をバタつかせています。

 頭がふらふらして、思わず手を離してしまいそうになっていると、横にいるカティナさんが、すッと身体を寄り添わせて、支えてくれました。


 『がぁぁっぐへぁっっ』

 『あっにぃっっっきぃぃぃぃおへぇぇぇ!』

 『がぁぁぁぁぁぁぁぁ』

 『うべらほっぶぁぶぁびゃぁ』


 何人いたのかわかりませんが、盗賊達の悲鳴も聞こえてきます。


 「ソウマ、大丈夫?ソウマ?」

 カティナさんが、横で静かに心配してくれていますが、ここで迷惑をかけるわけにはいかないので、手で大丈夫と合図をします。

 余波だけで、これだけ大変なら、すぐ近くで爆風を受けた盗賊達は、もっと大変なはずです。


 風が治まってきて、顔をやっとのことで少し上げると、林の中に隠れていた盗賊達が、街道と林の間の原っぱみたいな緩衝地帯に吹っ飛ばされて、気絶しているのか、苦しいのか、倒れているのが見えました。盗賊は、十人くらいいたみたいです。


 さすがの御者さんです。驚いて暴れそうになっていた馬達を宥めて、落ち着かせるようにもう動き出していました。

 シアンさん達も、馬を上手く落ち着かせて、武器を構えたまま、盗賊達に近付いていきます。

 ライアンさんは、見えないので、後方の警戒をしているのかもしれません。


 「大丈夫、ソウマ?」

 ケイトさんの声がして、顔を上げると、心配そうにこちらを見ていたので、なんとか声を出します。

 「ごめんなさい。ちょっと音に驚いただけなので、少し休めば、大丈夫です。」

 頭がふらふらしてるだけで、鼓膜も大丈夫そうだし、少しだけ休めば、また動けるはず。

 「そう。ゆっくり休んでて。ソウマのおかげで、助かったわ。カティナ、ソウマを頼むわね」

 「はい。任せてください。」

 カティナさんが、しっかり身を寄せて、支えてくれます。そこまでくっつかなくても、大丈夫とは思うんですが、今は頭がうまく働かないので、ありがたいです。


 「賊は、12人か。みなさん!大丈夫ですか?」

 ケイトさんが、馬車のお客さん達に声掛けをすると、みなさんそれぞれに大丈夫みたいな声を返してくれています。良かった、誰も怪我人とか出なかったみたいです。


 「賊を捕縛しますので、冒険者の方ご協力いただけると、助かります!」

 ケイトさんが、声掛けすると、おうっ!と力強い言葉で、男性も女性もお客さんの半分くらいの人達が立ち上がって、ケイトさんについていきました。

 さすが、国策でみなさん冒険者の資格を持っているだけはあります。

 というか、これだけ冒険者の資格を持っている人達が乗っている馬車を襲って、盗賊の人達に勝ち目はあるんでしょうか??


 そんなことを考えていると、安心したのか、ふっと気が抜けて、そのままふわふわと、、眠ってしまいそぅ、で、す、、

 

ーーケイト視点ーーー


 「ソウマは、大丈夫そう?しっかり眠ってるわね」

 「はい。ぐっすりです」

 

 盗賊の捕縛が終わって、馬車に縄で繋いだところで、ソウマ達の様子を見に来てみれば、カティナの肩に頭を乗っけて、ぐっすり眠るソウマ。ほっこりというか、気が抜けるというか。

 冗談で言ったつもりだったけど、案外カティナもその気があるのかしら。


 「ソウマ君、大丈夫でしょうか?」

 「大丈夫よ。一応、マイルトンに着いたら、医者には視てもらった方がいいでしょうけどね。耳がいいなら、さっきの爆音が、私達よりも響いたんでしょう。」

 メディナが、思っていたよりも強力な魔法を使ったから、その余波というか、音が頭を揺らしたのかもしれないけど、恐らく眠って起きたら、もう大丈夫なはず。まぁ、メディナには、そんなこと言えないけどね。責任感じちゃうだろうし。


 「ソウマ、ロゾーム先生からお手紙を預かってます。マイルトンに先生のお弟子さんがいるから、訪ねたらいいと。」

 「へぇ。辺境の名医に弟子がいたの?なんて名前の先生?」

 「確か、ミツリ先生と聞きました」

 「ミツリ?聞かない名前ね?メディナ知ってる?」

 「うーん、聞いたことないですねぇ、んーー、マイルトンのお医者様は皆さん顔見知りだと思うんですけど、やっぱり聞いたことないですよぉ?」

 「ロゾーム先生が言うには、最近マイルトンに移ってきたばかりだから、閑古鳥が鳴いてる病院があったら、そこにミツリ先生がいるだろう。ということでした。でも、腕は確かだから、と。」

 「へぇ、それは私も楽しみね。じゃあ、マイルトンについたら、まずはそこに行きましょう。ギルドに聞けば、場所もわかるでしょうし。」

 「でもでも、ケイトさん!マイルトンは今すごいことになってますよ?」

 「あぁ、そっか、先生も病院にいないかもしれないわね。まぁ、どっちにしろ、一度視てもらった方がいいだろうから、今日か明日か、連れていきましょう。」

 「そうですね!でも、ソウマ君、驚くでしょうね!マイルトンに着いたら、ふふふ」

 「どうせなら、マイルトンに着くまで、眠ってた方がいいかもね。その方が、驚き具合も良くなるでしょうし。てことで、カティナ、もう少しそのままで頑張りなよっ」

 「ぇぇ!こっ、このままですか!」

 「馬車も揺れるから、ちゃんと支えるのよっ。じゃあ、私とメディナは、後ろにいるから」

 「ふふふ、カティナ!ソウマ君を離したらダメですよっ!」

 「お、お姉ちゃん!」

 「動いたら、ソウマ君起きちゃいますよ!ふふふ、隙ありっ!よしよし!」

 「くぅぅぅ!覚えててよ、お姉ちゃん!」

 「ふふふ、よしよし」


 本当に仲の良い姉妹ね。

 

 それにしても。

 ソウマの()()()()は、異常よね。特異と言った方がいいのかもしれない。

 

 本来、盗賊の奇襲を受けるはずだったこちらが、逆に奇襲をかけることができた。

 メディナが、私の想定以上の威力の魔法を使ったから、あの一発だけで、全員ノックアウトできたけど、本当なら剣を交える場面になっていただろうし。盗賊達の実力は、どれ程かわからないけれど、実力が拮抗していたならば、その場合、奇襲を受けた方が不利になる。

 いや、不利どころじゃない。奇襲を「する」のと「される」のでは、戦闘において、雲泥の差がある。


 馬車の客達は、ソウマの聴力までは気づいていない。私達パーティーとカティナだけが、それに気づいている。これは、ギルドにも報告しない方がいいかもしれない。

 もし、ソウマのこの能力が知れ渡れば、みんながソウマを欲しがるでしょうね。ソウマには、尋常じゃない魔力もある。それこそ、王都の連中が黙っちゃいないくらいの。

 ソウマには、それだけの価値がある。


 ソウマは、自分がどう生きていくのかを決めようとしている。

 その模索の途中にいる。

 今、大人たちに翻弄されるようになったら、本人にはもうどうしようもない状況になってしまう。

 男の子が、大人になろうとしてるってのに、それは、可哀相すぎる。


 それに、私達も、安易にソウマの能力に頼るべきじゃないわね。

 こんな便利な能力に頼ってたら、感覚が鈍ってしまう。ある意味、毒ね。

 これは、後でライアンにも相談しないと。マイルトンに入る前に。


 せっかくなら、ソウマには()()()()()を、マイルトンで過ごして欲しい。


 魔力暴走で大変だったかと思えば、今度は盗賊に遭遇して、ダメージ受けて眠っちゃって。なんというか、前途多難な感じはするけど、そこは私達が支えてあげればいいんだから。

 



 にしても、カティナ、あれは満更でもなさそうね。

 どうなるのかしら、あの二人。


 私も楽しみだわ。



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