04 B
書き慣れていないため、執筆に時間がかかっており、投稿時間は不定期です。
もう少し書き慣れてくれば、時間を決めて投稿しようと思います。
2021/08/17 改稿しました。
扉の向こう側は、遺跡でした。
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僕は、死にかけたらしい。
だけど、神様がギリギリで助けてくださって、異世界転移、神様的には『レッツゴー異世界』をしてきた。実感はないけど、加護までくださって、神様は本当に優しい方だった。
これまで、神様ってお爺様みたいな姿を想像してたんだけど、幼女だったなぁ。
神様って、皆幼女なんだろうか、、
僕には、妹はいないけれど、仲の良かったご近所さんにお子さんが産まれて、なんだか妹ができたみたいで、嬉しかったのを思い出すなぁ。
扉の向こうに渡る前に振り返ったら、神様がブンブン手をふってくださっていたのは、なんだか微笑ましかった。
僕、一応死にかけたわけで、今思えば、もっと悲しんだり、泣いたりしそうなものだけど、神様のおかげで、むしろ前向きに異世界に来れた気がする。それよりも、神様が悲しそうな顔をされていたのが、申し訳なくて、思わず頭を撫でさせてもらっていた。よくよく考えれば、神様の頭を撫でるって、なかなかのことだと思う。
神様、ありがとう。
それから、例の扉。
扉を開けたら、向こう側は見通せなくて、白っぽい靄みたいなものが漂っていた。正直、踏み出すのが怖かった。だけど、神様を信じて、扉の中に入ると、一瞬、光に襲われた。光が通り過ぎていったみたいな感じだろうか。そして、気付けば扉はなく、僕は石造りの円形の間の真ん中に立っていた。
「ちょっと寒いな。」
今日は、Tシャツの上にパーカーを着て、ジーンズ姿なんだけど、こっちの世界は季節が違うのだろうか。少し肌寒く感じる。
ここは、どこなのだろうか?詳しくは、わからないけれど、元の世界のゲームやアニメの知識に照らし合わせるならば、遺跡のような場所だ。この円形の間も、かなり広い。体育館くらいの広さはあるかもしれないけど、何もない。ただ広いだけの空間だ。
周りには、等間隔に柱が立っていて、所々太い蔦が絡まっていたりする。円形の間の外には、他の塔みたいなものや建物が見えている。外は、明るいし、まだ陽が昇っている時間のようだ。
この円形の間もそうだけど、古びた感じがするし、所々崩れている箇所もあって、人が住んでいそうな気配はない。でも、こんな建造物があるってことは、少なくともこの異世界には、人っぽい生き物はいるってことなんだろうか。
うーん、アニメとかの設定だと、人類滅びかけてたりするけど、、、大丈夫だろうか。なんだか心配になってきたよ。
恐いけど、ずっとここにいてもしょうがないし、とりあえず移動しようと思う。
ということで、まずは恐る恐る柱の方へ向かってみたんだけど、
「!?!?あれは、、雲??」
向かった先の柱から向こうは、床がなくって、外になっていたから、初めて下が見えたんだけど、まさかの地面が見えないという。けっこう下の方に雲っぽい層が見えてるから、ここはかなり高い場所になるのかもしれない。もし落ちたら、、、それは考えないようにしよう。
改めて、周りを見てみてわかったけど、僕がいる塔は端っこにあるらしく、左右に空中廊下があって、弛い円を描くように、他の塔に繋がっていて、その塔をいくつか経由して、他の建物に行ける造りになっているようだ。右側の通路はかなり崩れているように見えるし、この塔には他の階につながる階段はないようなので、左側の通路を通って、他の建物に行ってみようと思う。
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風が強くなくて、良かった。
しっかりした造りの空中廊下だけど、もし強風が吹いたらと思うと、恐怖で足が竦みそうになる。
通路から見える限り、外の景色は一面雲に覆われていて、やはり地上は確認できない。一歩一歩進む度に、不安が募ってくる。
扉をくぐった瞬間は、前向きにこちらの世界に来れたと思う。
だけど、今は違う。
もし、意志疎通できる存在がいなかったら?
もし、食料が手に入らなかったら?
もし、モンスターがそこにいたら?
未知の世界が恐怖となって、心に染み込んでくるようだ。
不安と恐怖で足が震えてる。
だって、僕はさっきまでただの高校生だったんだ。クォーターでじいちゃんの血を受け継いでいるとはいえ、サバイバルや戦闘訓練なんかしたことないし、持ち物だって、なんにもないんだ!服装こそは、あっちの世界からそのままで来れたけど、カプチキやサイダー、財布もスマホも持ってこれなかったみたいだし、最悪このまま飢え死にする可能性もあるのか、、
神様の言っていたことが、今になってわかってきた。
神様は、事故から救って下さって、加護まで戴けたけど、この異世界がどんな世界であるかわからない以上、ほんの少し延命できただけなのかもしれない。トラックに轢かれることが、どれだけ苦しくて、痛いのかはわからないけど、この世界で、もしかしたら僕は飢えに苦しみながら、徐々に衰弱していくのかもしれない。もしかしたら、モンスターに引きちぎられて、食べられてしまうかもしれない。だから、神様はあんなに悲しそうな顔をしていたのか。
自分の命を、こんなにリアルに感じたのは、人生で初めてかもしれない。鼓動が早くなる。
自分という存在をなんだか遠くに感じる。
僕は、この世界に独りだ。
気付けば、それなりに歩いてきたようだった。
振り向けば、後ろにいくつか塔が見える。何かを考えていたような、何も考えていなかったような、そんな状態でここまで移動してきたようだった。
あぁ、次の塔を通り抜ければ、お城のような建物に入れそうだ。とりあえず、あの建物で休もう。そう思って、また歩きだそうとした時だった。ふと、自分の視界に違和感を覚えた。10メートルくらい先に、次の塔があるけれど、形がおかしい。次の塔は、最初の円形の広間と同じくらいの大きさがありそうで、柱があるのも同じだ。変なのは、その上。屋根が崩れているように見える。天井の上がそのまま屋根になっているみたいだけど、色が違う。質感も形も、、、あれは大きな翼?そう意識した途端、急に身体の自由が効かなくなってしまった。立ち尽くしたまま、視線だけが意図せず、その先を追っていく。堅そうな鱗に、太い首、そして目と鼻に、大きな口。目は、閉じていて、ゆっくり呼吸をしているようだ。
あぁ、、、
巨大なドラゴンが、そこに蹲っていた。
主人公が二人いるんですが、こんなに人物の書き分けが難しいとは、、
描写の中で、どこまで掘り下げられるか、キャラ付けできるか、その難しさが身に沁みます。
精進あるのみですね!!