25 B
お待たせいたしました!
アクセスしていただき、ありがとうございます!
ソウマ君の話がここのところ続いていますが、恭一君とソウマ君の話の、それぞれの投稿ペースの違いは、時間の経過によって決めています。
二つの世界の時間の進み方は同じです。
なので、ソウマ君の方で日にちが進まないと、恭一君の方でも日にちが進みません。
そのため、同じ時間軸で話を進めるために、分量ベースではなく、時間軸をベースにそれぞれの投稿を進めていきます。
つまり、恭一君の出番が早く来るように、私が頑張るしかないのです!!
けもみみ・しっぽは、もう少しお待ちください!(笑)
それでは、本編をお楽しみください。
2022/04/27 追記
次話の投稿に関して
体調不良のため、少し遅れております。
水曜日に間に合えばと思っていたのですが、スケジュール的にも難しいかもしれないので、金曜日に投稿とさせていただきたいと思います。
度々遅れて、申し訳ないです。
もう少し、お待ちください。
冒険者になるって、すごい大変なんですね(*T^T)
ーーーーーー
トントン
「おぉぉぉ、入っておいで。」
「失礼します。ロゾーム先生。」
「おぉ、よく来たね。うむ、そこに座りなさい。」
サリュンさんと道場に見学に行って、久しぶりの外の散歩に疲れたのか、診療所に帰ってきてから、少し眠っていたみたいです。
起きたら、サリュンさんがロゾーム先生の診察室に行くように。ということだったので、ノックして入ると、先生が笑顔で出迎えてくださいました。
「どうじゃね?疲れは、とれたかな?」
「はい!少し眠ったら、スッキリしました」
「おぉぉぉ、さすが若いのぉ!うらやましいぞいっ!して、楽しめたかね、レリの村は?」
「はい!屋台も美味しくて、すごかったですし、風景も。水車なんて、初めて見ました!村の人達も優しくて、明日また散歩するのが楽しみです!」
「そぅかそうか、うむうむ、楽しそうでなによりじゃな。屋台は、何を食べたんじゃな?」
「コルドンガレットです。屋台の方が、元気になれよ!っておまけで大盛にしてくださったんですけど、あまりに美味しくて、ペロッと食べちゃいました」
「おぉぉ、あそこの店主は、やかましいくらいに気前がいいからのぉ。ほっほっほっ、わしも食べたくなってきたのぉ。明日は、わしも一緒に行こうかのっ!たしか~、ネッテイヌードルが出る日じゃったかの?うまぉぉっ!楽しみじゃなっ!おぉぉ、いかんいかん、夕飯前にこんな話をしとったら、お腹が鳴り出してしまうのっ!ほっほっほっ」
「ヌ、、あの、先生、ネッテイヌードルとは?」
ヌードルといえば!?あのヌードル!?
「おぉぉぉ、ネッテイヌードルかね!ネッテイとは、ここら辺で採れる魚の名前なんじゃがな、油の乗った中型魚でのお、串にして炭で炙りながら、油の滴る匂いがたまらんのじゃよ!!それをの、塩で食べるもよし、タレで食べるもよし。だがしかし!そのネッテイをヌードルに乗せてしまった天才がおるんじゃよ!!米粉のあっさりしたヌードルに、ほどよい塩加減のネッテイが合わさると、もう至極の旨さでなぁ、わしは、あれに目がなくてのぉぉぉ。早く明日にならんかのぉぉ。おぉ!いかんいかん。ほっほっほっ、これは、明日の楽しみじゃな。おほんっ!。。さぁっ、手を出してごらんっ。仕事をせねばなっ」
この世界にも、麺があるんだ!!米粉のヌードルは、食べたことないけど、、明日はヌードル食べたい、いや、食べるぞぉ!!
ん、あれ、、え??、、米粉?コメココメコ??米?
「お米があるんですか?!」
「ほわっ!なんじゃ、いきなり!?お米?米ならあるが、それがどうしたんじゃ??」
「お、お米が食べられるんですか!!」
「う、うむ。食べられるぞ?うちにはないが、明日屋台に行けば、いろいろあると思うんじゃが?急にどうしたんじゃな、ソウマ君??むむっ、まさか、お米が記憶に刺激を与えたのかの!?記憶が、何か思い出したのかの??」
「あ、え?お米が、、あれ?なんでしょうね、あはは。急にお米が食べたくなって、、、もしかしたら、前はお米食べてたのかもしれないですね!あははは、、」
そうじゃん!記憶喪失の設定だったぁ!お米の衝撃で、つい!
「そ、そうかの?記憶は、戻っておらんのじゃな?」
「は、はい!全部、まったく!です!」
先生が、じぃーーーーと見てくるよ!?
「ふむ。まぁ、よい。お米にそれだけ反応するのなら、明日食べてみれば、また何か刺激になるかもしれんのぉ。良かったのぉ、記憶を取り戻す糸口が見つかったかもしれんぞ。ほっほっほっ」
「はい!ありがとうございます!明日、お米楽しみにしています!」
危なかったぁ、、でも、お米があるんだ。やった!今日は、サリュンさんのオススメで、まっすぐガレットのお店に行ったから、他のお店の商品までは見てなかったんだよ!明日が楽しみ!
けど、その前に、まずは治療だ。
「すみませんでした、いきなり。治療をお願いします。」
「うむうむ、では、手を出してくれるかの?」
先生に言われたように、両手を前に出すと、ロゾーム先生が両手の手首あたりに指を重ねて、まるで両手の脈を視ているような感じになりました。
「では、目を閉じて。ワクワクするのは、わかるが、まずゆ~~~っくり呼吸をするんじゃよ。肩の力も抜いて~、リラックスじゃよ。はい、吸って~、吐いて~~。吸って~、吐いて~~。そーじゃ、そのまま、繰り返すんじゃよ。うむ、身体はまずまず。ふむ、うむ、気の流れも悪くないのぉ。」
これは、昨日から始まった診察と治療の一環らしくて、先生は脈や熱、顔色などから患者の状態を視るのが得意なんだそう。
「では、続けて。昨日やったことを思い出すんじゃ。少~しずつ、魔力を練っていくぞぃ。身体を巡るようにイメージするんじゃ。少しずつじゃよ。ゆっくりゆっくりのぉ。身体を巡るようにイメージすることが大切じゃからな。全身を魔力が流れていく。ゆっくりじゃが、なめらかにのぉ。そぉ~じゃ。上手にできておるよ。そのまま、そのまま。わしは、手を離すが、魔力を練るのは、続けるんじゃよ。ゆっくりのぉ。さて、どうじゃね、今この右肘の辺りに、流れの悪さを感じるかな?」
レンダントさんに習った魔力操作が、ここにきて活かせてます!でも、この少しずつというのが、意外と難しくて、、むむむ、確かに右手の流れが悪いような、、
「右肘の辺りが、なんだか詰まってるような、、気がします?」
「うむうむ、よいよい。いきなり、魔力を感じることの方が難しいんじゃ。なんとなくでいいんじゃよ。では、少し右手に触れるが、そのまま魔力の流れは続けておくんじゃよ。」
ロゾーム先生の指が、僕の右手のあちこちをトンットントンッって感じで、つついています。瞬間、ピリッとくるけど、その度に、右手の魔力の流れが変わっていくのがわかります。すごい、、さっきまでは、流れの悪い所をむりやり流していた感じだったのに、どんどんスムーズに流れていきます!
「ソウマ君の魔力の流れを整えとるからの、もし痛みや異変があったら、教えるんじゃよ。」
「すごいです!さっきまでと魔力の感覚が変わりました!」
「うむ。この魔力が、ソウマ君に馴染んできておるし、この数日で身体も回復してきておるからな。あとは、通り道さえ整えてあげれば、魔力暴走は完治と言ってもいいじゃろうな。」
「ありがとうございます!」
「しかしのぉ、昨日も言ったが、ソウマ君の魔力の濃さ、量、出力は、正直常人のそれを遥かに凌いでおる。しっかりコントロールできるようにせねば、いつまた魔力が暴走するかわからん。ゆえに、魔力操作は毎日欠かさず練習するんじゃよ。日々、歩きながら、ご飯を食べながら、眠りながら、無意識にコントロールできるようにな。」
「はい!」
「うむ。魔法もいろいろ、わしが教えてもいいんじゃがなぁ、ソウマ君の治療が終われば、マイルトンに行ってしまうからな。向こうでちゃんとした先生についてもらった方がいいじゃろうて。」
「あの、、マイルトンに行くまでは、先生に教えてもらうというのは、いけないのでしょうか?」
「ふむ。それがのぉ、流派というのが、やっかいでなぁ。ベースになる、哲学思想や練習方法だけでなく、細かい魔法の使い方まで流派で違うんじゃよ。加えて、わしは流派を越えて、自分勝手に魔法を使っておるから、癖がすごいんじゃよ。ほっほっ。だからのぉ、わしが中途半端に教えてしまうと、マイルトンで違う流派の先生に習う時に、こんがらがるじゃろう。だからの、すまんが、今は絶対に必要な魔力操作だけ教えておこうと思っておる。」
「なるほど、、でも、魔力操作だけでも教えていただけて、ありがたいです!先生!」
「うむ!後、数日。マイルトンに旅立つまでに、しっかり魔力を操作できるように頑張るぞいっ!ソウマ君!」
「はい!」
トントン
「失礼します、先生。」
サリュンさんが、ノックして診察室に入ってきました。
「むむ?どうしたのじゃ?急患かな?」
「いつもの道場生です。今日は、テッソ君が。追い返しますか?たいした怪我もしてないみたいですので。」
テッソさん?あぁ、さっき道場で飛ばされなり転ばされたりしてた道場生さんだ!本当に来たんだ??
「ほっほっほっ。今日は、テッソ君か。ソウマ君の治療が、もう少しで終わるから、とりあえず待合室で待っていてもらいなさい。」
「はぁぁ。わかりました。話しかけてきて、うるさいので、早くしてくださいね。」
「ほっほっ、任せなさい。」
サリュンさんが、とっても嫌そうな顔で出ていきます。
患者さんが来るのが、そんなに嫌なんでしょうか??でも、何人か患者さんが来るのに遭遇しましたけど、サリュンさん笑顔で対応してたんだけどなぁ?
「さぁ、早く終わらせようかのぉ。サリュンに怒られてしまうからのぉ!ほっほっほっ!さっ、他に流れの悪いところはないかのぉ、、、ここはどうじゃね?肩甲骨のあたりじゃが?」
「け、肩甲骨ですか?どうでしょう?あぁ、確かにひっかかりがあるような、、」
「うむうむ、では、ここも整えるぞい」
先生が、さっきみたいに肩甲骨の周辺をトントンしています。
「あの、先生、」
おぉ、背中がピリピリしますね
「ん、なんじゃね?」
「サリュンさんは、患者さんというか、道場生の方が嫌いなんでしょうか??」
「ふむ?それは、どうしてそう思うんじゃ?」
「えーっと、、なんとなく、道場生の方に当たりが辛いというか、あんまり来て欲しくなさそうだったので」
「ほっほっほっ。そうじゃのぉ。なんと言えばわかりやすいかのぉ。サリュンがおるから、診療所に必要もないのに道場生が来るんじゃよ。」
どういうこと??
「えーと、普通は、怪我をしたりするから、診療所に来るんじゃないんですか?サリュンさんがいるから、来る?んんん?」
「ほっほっほっ。まぁ、普通はそうじゃな。でも、いつもは違うんじゃよ。確かに、ウィル君が講師で来ておる時は、本当に怪我人が来るがのぉ。彼の鍛錬は、よっぽど厳しいんじゃろうなぁ。」
ウィルさん、、確か僕をレリまで運んでくださった方ですね!
「サリュンも、いつまで独身を貫くのかはわからんが、自分より強い男じゃないとダメらしくてのぉ。テッソ君達は、眼中にないらしい。報われんのぉ。」
独身のサリュンさん、、サリュンさん、とっても優しくて、かなり美人さんだし、、、
「あ、あぁ、、なるほど。そういう、、」
「さぁ、どうじゃね?肩甲骨は?流れがよくなっとると思うんじゃが?」
「え?あっ、はい!そうですね、、さっきよりもなんだか楽になりました!なんか、動きもよくなったような、、?」
「うむうむ。魔力の流れがよくなるようにしつつ、少しばかり肩甲骨の周辺をほぐしておいたからの。」
「そうなんですね!すごく気持ちいいなぁと思ってたんですけど、、僕そんなにコってましたか?」
「ふむ。ソウマ君が運ばれてきてから、いろいろ触らせてもらっておるが、首と背中、肩甲骨はかなりコっておるのぉ。猫背気味じゃし、肩甲骨が上に上がりやすいみたいじゃな?うーむ、前は下を見ることが多い生活でもしておったのかもしれんな。」
あぁ、スマホよく観てたから、猫背になってるよ!ってよく母さんに言われてたなぁ。ストレートネックだっけ??
「ここにいるうちに、少しでも猫背は治した方がいいじゃろうな。道場に通うことになれば、嫌でも矯正されるじゃろうからのぉ。」
「矯正!?えっ、猫背って、そんなにダメなんですか??」
猫背だと、冒険者資格取れないとか???
「絶対ダメというわけではないんじゃが。身体操作をする時に、どうやっても肩甲骨は関係してくるからのぉ。どれ、わかるかのぉ?猫背じゃと、肩甲骨が、外に開いて、肩に引っ張られて上に上がっておるのが。」
先生が、僕の肩甲骨に手を添えて、説明してくれています。触れられてみると、なるほど、そこに肩甲骨があるんですね。あぁ、確かにそんな感じがしますね!
「うむ、では肩甲骨を意識しながら、背を伸ばしてみるんじゃ。そーじゃな。どれ、わかるかの?おおぉ、もう少し顎をひいて。そーじゃな。どれ、肩甲骨が、中に入ってきて、下りてきたのが、わかるかの?」
「はい、、意識すると、よくわかります」
「うむ、これが本来の肩甲骨の位置じゃな。そして、身体操作では、目的によって、この位置を変えたり、腰や脚と連動させていくわけじゃが、猫背じゃと初期位置が上にあるせいで、できない動きが出てくるわけじゃよ。これが、道場で身体操作を習う時に、恐らく指摘される問題点になるじゃろうなぁ。」
「なるほど。。猫背は、だめなのか。先生は、身体操作にもお詳しいんですね」
「ふむ?ほっほっほっ!こう見えて、わしも若い頃はブイブイ冒険者やっておったんじゃよ!懐かしいのぉ、全線で戦っておってなぁ。何ヵ月も街に帰らんこともあったのぉ。」
ブイブイ、、
「先生も冒険者を、、あぁ、まった僕は、そうですよね。先生も、当然資格をお持ちですよね。ごめんなさい、失礼なことを」
「ほっほっほっ。よいよい。ソウマ君は、まだこの国のシステムに慣れておらんのじゃ。気にする必要はないよ。」
「すみません、、」
先生も、冒険者として活動してたんだ、、
冒険者かぁ、僕にもできるのかなぁ、
ケイトさんが、魔猪と戦ってるのを観て、自分もあんな風になれるのかなって期待したりもしたけど、今日の道場の練習を観ていて、当たり前なんだけど、ものすごく厳しい練習の積み重ねがあって、強くなれるわけで、、いや違う。僕が恐いのは、殺したり、殺されたり。そういうことなんだ、、
自分が死ぬのも恐いし、殺すのも恐い。
馴れるのかな、、そういう世界に。
「先生、冒険者をやるって、こわくないですか?」
「うむ?どうしたのじゃ、またいきなりじゃのぉ?」
先生は、そう言いながら、元の椅子に座りなおしました。
「あの、、、今日、道場に行って、皆さんが練習している所をサリュンさんに解説してもらってたんです。そしたら、殺す技が多いって聞いて、、それで、僕も冒険者の資格を取るってことは、そういうことをするってことになると思うんですけど、、その、なんだか恐いというか、嫌というか、、こんな僕が冒険者になれるんでしょうか?」
「ほぉ。なるほどのぉ、、そうじゃな。ソウマ君。君は、優しいんじゃのぉ。わしは、医者じゃからな。今は、殺すことよりも、生かすことが仕事なんじゃよ。だから、本来わしみたいなのは、暇な方がいいんじゃ。だが、悲しきかな、この世から争いはなくならん。誰かを守るためには、誰かを殺さねばならんことがある。人だけじゃない。ゴブリンや魔猪だって命あるもの達じゃよ。わしらも彼らも、生きておる。生きるために、狩る。守るために、殺す。それが、この世界の有り様じゃよ。太古から、それは変わらんのではないかと思うんじゃ。じゃからの、わしらは、いただく命に感謝を捧げ、失った命は弔い天に送る。そうやって生きてきたし、これからも生きていくじゃろうて。」
「命に感謝をする。ですか、、」
母さんに、お米一粒にも感謝して、残さない!って、昔からよく言われてたなぁ。そういうこと、なのかな、、
「ソウマ君。わしもサリュンも、冒険者資格は持っておる。君がお昼を買った屋台の店主も、資格者じゃな。じゃが、わしらはこうやって、自分の仕事を持っておる。もちろん、必要な時には戦えるように、今でも定期的に訓練があるがな。じゃが、それ以外はほとんど冒険者としての仕事はしておらん。現状はのぉ。つまりじゃ、ソウマ君が命を奪うような場面に出くわしたくないのなら、資格を取得した後に、内地の仕事を選べばよいのじゃよ。資格は、義務じゃからな、取得せねばならんが、じゃからと言って、必ず戦闘職につく必要はない。それは、自分の自由じゃ。」
「え?そうなんですか?僕は、てっきり、資格を取ったら、そういう戦うような仕事につくのかと思ってました」
「ふむ?どうやらソウマ君が聞いた話は、抜けておる部分があったのかのぉ?確かに、この国では、成人の資格として、冒険者資格の取得がある。じゃが、職業の選択は本人次第じゃよ。と言っても、家業を手伝いながら、兼業で冒険者職につく者がほとんどじゃがな。そーじゃな。大まかに別けるとするとじゃ。専業の冒険者。これは、ライアン君達がそーじゃな。ギルドの依頼を仕事の中心にしておる者達じゃ。」
「ライアンさん達は、専業の冒険者なんですね。あれ、でも、確か農家の収穫の仕事があるとかなんとか聞いたような気がするんですが、収穫祭の前はその仕事で大変だって、、」
「おぉ、そうじゃな。それも、立派な冒険者の仕事じゃな。さっきも言うたが、ギルドの依頼を仕事の中心にしておるのが、専業の冒険者なんじゃよ。例えば、わしが腰を痛めたとしようかの。」
「え、あ、はい?先生が腰を痛めたんですね?」
「うむ。腰が痛くて、水も汲めん。そこで、ギルドに生活補助の依頼を出す。すると、ギルドから適切な人材が派遣されてくるのじゃ。」
「え?じゃあ、ギルドの仕事って、例えば、、魔猪を五体狩ってくるみたいなものだけじゃないんですか?」
「そーじゃな。かなり多岐に渡るのぉ。薬草探しは、ビギナーの登竜門じゃし、人探しなんかも見たことがあるのぉ。冒険者とは、別名なんでも屋じゃからな。ほっほっほっ」
「な、なんでも屋、、」
冒険者資格って、いったいどんなのなんだ??わかんなくなってきたんだけど??
「まぁ、もちろん。盗賊の討伐依頼なんぞもあるし、荒仕事も多いがのぉ。うむ。そう言った依頼の仕事のみでやっておるのが、専業冒険者じゃな。そして、次は兼業冒険者の話をしようかの。これは、わしやサリュンがそうじゃな。普段は、別な仕事をしとるんじゃ。ただ、緊急依頼や人手が足りん時には、ギルドから仕事の依頼が来るという仕組みじゃの。おそらく、比率で言うなら、この兼業冒険者が一番多いじゃろうな。専業を引退した者が、家業を継いだりすると、この兼業になるからの。農家や鍛冶屋なんかは、まさにこれじゃ。」
「じゃあ、先生やサリュンさんも、そういった仕事を今もされることがあるんですか?」
「極まれにじゃがな、あることは、ある。特に、サリュンは凄腕じゃからなぁ。ギルドからすれば、専業になって欲しいんじゃろうなぁ、ほっほっほっ。本人に、まったくその気はないみたいじゃから、わしはほっとしておるがな。サリュンがおらんと、この診療所が立ち行かんくなってしまうからのぉ。さて、では、最後に、一般資格者じゃな。」
サリュンさんが、凄腕冒険者!?あ、でも、免許皆伝って言ってたし、そっか、そんなすごい方なんだ、
えーと、専業、兼業、一般か?
「一般、、専業、兼業ときたから、あとは、、資格を持っているだけの人、ですか?」
「うむ!まさに、その通りじゃ。成人の資格として、冒険者資格を持っておる人たちじゃな。維持のために、定期的な訓練は消化せねばならんが、ギルドの依頼で仕事をすることはない。本来、冒険者資格とは、有事の際に、自分の事は自分で守ることができる。そういったものじゃからな。資格の名前のせいで、勘違いしてしまうかもしれんが、自衛のために、資格を持っておるということじゃ。」
「ということは、、、もし僕が一般資格者の道を選んで、他の仕事をすれば、危険な仕事をしたり、そういった、、その、殺したりとかもしなくていい、ということですか?」
「そうじゃな。基本的には、それで間違ってはおらんよ。」
「ほぉぉぉ、そうなんですね。」
「ほっほっほっ、気が抜けたような顔じゃな。うむ。ただし、それは基本的にの話じゃ。ソウマ君にその気はなくとも、あちらにはその気があるかもしれん。という話はしておく必要があるじゃろうな。」
「あちら?ですか?」
「うむ。あちらじゃ。まぁ、街中ではなかなかないことじゃが、例えばレリからマイルトンへの街道の途中で、襲われる可能性がないとはいえん。護衛を雇っておけば、話は違うかもしれんが、もし襲われた時に、ソウマ君は抗わずに、死を受け入れるかね?」
「え、いや、、それは、さすがに抗うかと思いますけど、」
「そういうことじゃな。一般資格者でも、生きておる以上は、どんな災難に巻き込まれるかわからん。その時には、自分の力で解決せねばならんのじゃ。誠に悲しいことじゃがな。何も起こらんとは、わしも約束できんのじゃよ。うむ?あぁー、元々なんの話じゃったかの?」
「えーと、冒険者の仕事はこわくないのかなと、僕が質問したんですが。なんとなく、わかりました。先生が、最後におっしゃりたいことも。僕が、その、命のやりとりをするような仕事をやっていなくても、そういう現場に巻き込まれてしまうことはある。けど、進んでそういった仕事をやる必要はない。ってことですよね?」
「おぉぉぉ、そうじゃったな。うむ。その通りじゃ。そーじゃのぉ、ついでに一つ、冒険者の年配からアドバイスするならば、強くなりなさい。」
「え?強く、ですか?えと、僕が一般資格者になるとしてもですか?」
「そうじゃよ。一般資格者だからこそ。強くなる意識を持っておくべきじゃな。ソウマ君、君は冒険者の仕事が嫌というよりも、命のやりとりに拒否反応があるようじゃな?」
「あ、はい。。その通りです。」
「ならば、強くなりなさい。強くなって、相手に自分を殺させない。自分が相手を殺さずとも制することができるように。誰よりも強く。そうすれば、命のやりとりをすることはなくなるじゃろ?理想論かもしれんが、もしそれが実現できれば、少しは世界の見え方も変わってくるかもしれん。まぁ、簡単なことではないがのぉ。ほっほっほっ」
「強くなれば、見えるものが変わってくる??んんん??でも、確かに強くなって損はないですもんね?」
「そうじゃな。それくらいの感覚で、わしはいいと思うがの。」
「強くなる。か、、」
トントン
あ、サリュンさん、、あっ!?そうだ早くって言われてたんだった!?
「先生。まだですか?そろそろ、私がテッソ君を怪我させそうなので、急いでもらってもいいですかね?先生??」
ひぃっ!?サリュンさんのプレッシャーはんぱない!?
「ほっ!?おぉぉぉ、そうじゃった!ソウマ君、とりあえず治療は、今日はここまでじゃ。サリュン、テッソ君を呼んでおくれ!」
サリュンさんが頷いて、扉の向こうに見えなくなりました。テッソさん、大丈夫でしょうか、、
「ありがとうございました、先生。その、話も聞いていだだいて、すみませんでした。」
「いやなに、謝ることはないんじゃよ。ほっほっ。また、何かわからないことは、いつでも聞いてくるといい。サリュンに怒られん時なら、いつでも聞くからの。」
「はい!ありがとうございます!あ、では、失礼します!」
「うむ!また、夕飯の席でな。」
そっか、冒険者にも、いろんな形があるんだ!
うん!先生に相談してみて、良かった!
ーーーーーー
診察室を出た僕は、自分が借りている奥の部屋へ戻ってきました。
「ん、おかえり」
そしたら、カティナさんが、いつものように窓の外で素振りをしていて、僕に気づいて、声をかけてくれます。
「あ、はい!ただいまです。あの、その、カティナさんもおかえりなさい。」
「うん。」
ん?うーーーーん?なんだろ?カティナさんの元気がないような?いつもなら気合いの入った声を出しながら素振りをしてるのに?
「ねぇ」
「ん?あ、はい!?」
「何、驚いてるの?」
「ちょっと考え事してて!それで、あの、えーと」
「まぁ、いいけどさ。。今日、道場来てたでしょ?」
「え?あ、気づかれてたんですね」
「いや、あれだけ声が聞こえてきてたら、気づくよ。」
あ、あはははは。そりゃ、そうだよね、、
「すみません。稽古のお邪魔しちゃいましたよね。」
「うーん、あれくらいなら、邪魔ってほどじゃないと思うけど。」
「ほんとですか!良かったぁ。実は、サリュンさんがリハビリを兼ねた散歩に連れていってくださったんです!それで、道場にカティナさんがいるかもってことで、足を延ばしたんですけど、稽古すごかったですね!」
というか、あれだけの稽古をした後のはずなのに、帰ってきてまで素振りとは。さすが、カティナさんだ。
「そっか、、あのさ、サリュンさん、なんか言ってた?」
「サリュンさん、ですか?えーと、稽古の解説とか、いろんな話をしてくださいましたけど、、」
「そういうのじゃなくてさ。その、私のどこがダメとか、、、ごめん。やっぱ、なんでもない。気にしないで」
「あっ、あ、いえ」
これって、あれだよね?サリュンさんが、カティナさんは無駄な力みがあるとか話してたやつのことだよね??
えーと、あれって、勝手にカティナさんに伝えていいのかな?やっぱり、聞きたかったら、サリュンさんに直接聞いた方がいいのか?んー、でも、そんなに複雑な内容の話ってわけでもなかったし、問題ない??
「なに?」
あ、、カティナさんと眼があって、
「力みが」自然と声にしてしまっていました。
「、、力み?」
「あぁ、はい。サリュンさんが、カティナさんは、力みがあるって。確か、、カティナさんは、ロレイア流っぽく見えるけど、だとしたら、脱力すべきところで脱力できてないから、動きが悪くなる、とか、、そういうことを、、」
「そっか。サリュンさん、見て、流派までわかるんだ。さすがだね。」
そう言ってカティナさんは、少しうつむいてしまいました。ちょっとした間だけど、無言に耐えられなくて、僕は言葉を探して、
「あの、でも!カティナさん、すごいですよね!朝から晩まで素振りをやって、道場にも稽古に行って、なんていうか、強くなろう!って気持ちがあって、僕には到底できないことなので、ほんとにすごいですよ!!」
「そう。でも、実力がついてこなきゃ、いくら練習したって意味ないよ。私、才能ないし、、」
「そんな」
「ごめん。いいの。本当に気にしないで。」
「、、な、いや、あの、、、でも、サリュンさん言ってましたよ!カティナさんは、越えるべき壁にぶつかってるだけだって!その壁を越えたら、強くなれる。って!!」
あれ、サリュンさん、そこまで言ってたっけ??、、あ、やってしまった!言ってないことまで勝手に言ってしまった!?訂正しなきゃ!
「ほんとに?」
「はぁい?」
「ほんとに、サリュンさんがそう言ったの?」
「え、あ、はい!言ってました。」
本当は、そこまで言ってない、、嘘ついてしまった、、
「そっか、壁か、、まだ、私強くなれるんだ、」
「、、あの!ごめんなさい!」
「え?なに?」
「あの、僕は素人で、何か間違えて伝えてしまうかもしれないので、詳しいことは直接サリュンさんに聞いてください!たぶん、ちゃんと聞けば、サリュンさんも答えてくださると思いますから!」
「そうかな?そっか、うん。聞いてみる。ありがとね。変なこと聞いちゃったな。」
おぉぉ、やっちまった、、サリュンさんに説明して、協力してもらわないと、、明日のお昼ご飯代で許してもらえるかな、、
「善は急げって言うし、早速サリュンさんに聞いてくるね!」
「ぇえ!?今からですか!あぁ!サリュンさんは、今怪我人の人が来てたので、診察室だと思うんですよね!あのー、僕がタイミングを見て、サリュンさんを呼んでくるので、カティナさんはぜひ素振りを!何卒素振りをしていてください!」
「なんか、言葉が変になってるけど?、、あっそっ。わかった。じゃあ、お願いしてもいい?」
「もちろんですよ!カティナさんには、お世話になってますからね!とりあえず、様子見てきますね!」
やばいやばいやばい!
なんか大切なところで嘘をついてしまった!
サリュンさんが、協力してくれますように!!