20 B
なんとか今日中に間に合いました!
本当は、昨日アップしたかったんですが、、
すいません。。
もっと頑張りますね!!
魔力暴走辛いです(>.<)
ーーーソウマ視点ーーー
「ふっ!はっ!」
なんだか甘~い匂いがする。
甘ったらしい匂いじゃなくて、木のいい匂いみたいな。
とても落ち着く匂いだなぁ。
「ふっ!はっ!やっ!!」
とても落ち着く匂いに包まれて、このままもう少し寝ていたいなぁ。それにしても、なんだか女性の気合いの入った声が聴こえるなぁ、、
「とぅっ!ふんっ!でぇやぁだ!!!」
「はっ!!?ぐぇっっ」
とても気合いの入った声に驚いて、一気に頭が覚醒して、飛び起きようとしたら、身体中が軋んで、全身が痛いんだけど!なにこれ!?
「あっ、やっと起きた?あぁ、すぐには動かない方がいいと思うよ。ずっと寝てたんだから、身体が鈍ってるでしょ?」
「えっ、、?、、メディナ、さん??」
どうやら、僕はベッドの上に眠っていたらしく、身体の痛みを堪えながら、声のした方に顔だけ向けると、大きな窓があって、その向こうに剣を持った女性が一人立っていた。
「そんなに似てるのかなぁ、、。私は、カティナ。妹の方だよ。髪の色とか長さとか、けっこう違うと思うんだけど?」
一瞬メディナさんかと思ったけど、妹さん??
確かに、よく見ると、全然違うのがわかる。メディナさんが、綺麗な長い茶髪で童顔っぽいのに対して、カティナさんはボブくらいの長さで、色味の違う茶髪だし、童顔というよりシュッとした顔立ちだ。でも、どこか似てる。雰囲気かな?
「そんなにじろじろ見られると、恥ずかしいんだけど?」
「えっ?あっ、ごめんなさい、、カティナさん?」
思わず見入ってしまったら、目線をずらされてしまった。
「カティナでいいよ。同い年みたいだし。」
「そうなんですか?っていうか、なんで僕の年齢知ってるんですか?あれ?ていうか、なんで僕こんな所に、、メディナさん達は」
バンッ!!
「うぎぃっ」
カティナさんのいる方とは反対側で、扉の開くような音がしたので、反射的に振り向いたら、首がぁぁぁ痛い!!ほんと、なんでこんなに身体が痛いんだ!?
「ソウマ起きてる!起きてる!先生ー!!ソウマ起きてるー!首が痛そー!!」
振り向いたら先には、扉があって、その扉を押し開いたのは、見たことのない幼い女の子だった。そして、女の子が扉の向こうになにやら叫んでいる。
すると、扉の向こうの通路から、小走りな足音が聞こえてきた。
「おぉぉぉぉ!起きたか!もう起きんかと思ったぞ!」
扉から、顔を出したのは、白衣を着たおじいちゃんでした。
「良かったのぉ、ムーリ。ソウマが起きたなぁ。」
おじいちゃんは、扉を開けた姿勢のままの女の子の頭を撫でながら、嬉しそうに話しかけている。
「あのぉ、」
「おっほっほっ、そう慌てるでない。今、診察するからの。どうじゃ、身体が痛むのではないかの?じゃから、無理して身体を動かしたらいかん。」
「痛てててて」
おじいちゃんが、ベッドサイドの足元の方へ歩いてくるのを追って、顔を動かすだけでも、なぜか痛い。
「ほっほっほっ。そうじゃろそうじゃろ。とりあえず、ゆっくりベッドに横たわるとええ。リハビリすれば、また普通に動けるじゃろ。」
「先生。リハビリには、どれくらいかかりますか?」
窓の外にいたはずのカティナさんが、窓を飛び越えて入ってきて、おじいちゃんに質問している。確かに、身のこなしというか、動きもメディナさんと違う。違うんだけど、やっぱりなんとなく似てるなぁ。
「じゃから、そう慌てるでない。わしにも、わかることとわからんことがある。まずは、診察からじゃ。気分は、どうじゃね?ソウマ君。」
「えっ?あの、あんまり良くない感じなんですけど、、あの、ここは?」
「おぉぉぉぉ!そうじゃったな!まだ、名乗っておらんかったな!」
「おぉぉぉぉ!」
扉を開けていた女の子が、おじいちゃんの隣に来て、見上げながら、真似をしてる。身体が痛くなければ、普通に微笑ましい姿なんだけど、身体がほんとにあちこち痛いのよっ!!
「わしは、ロゾームと言ってな。医者をしておる。一応、魔導医としては、そこそこ有名なんじゃぞ?」
ロゾーム先生?が、お茶目にウィンクしている。
というか、マドウイってなんだろ??
「先生。そこそこどころではないと思いますが?」
「ほっほっほっ。ええじゃないかええじゃないか。」
「ムーリは!?ねっ、ねっ、ムーリは!?」
女の子が、ピョンピョン跳ねながら、ロゾーム先生に聞いている。
「おぉぉ!ムーリも有名じゃのお。なにしろ、わしの助手じゃからな!」
「助手!お手伝いするの!!」
「うむうむ。えらいのぉ、ムーリは。おぉ!そうじゃ、ソウマ君も起きたことじゃし、ゆっくり白湯でも飲んでもらわんといかんな!ムーリ、白湯の準備をお願いしてもよいかの?カティナさんも、ムーリを手伝ってくれんかの?」
「助手のお手伝い!カティナお姉ちゃん!」
「私もですか?、、わかりました。ムーリちゃん、行こう。」
「うむうむ。ありがとうのぉ。おぉぉ!とろみを軽くつけるのも忘れずにのぉーー!、、、さて、ソウマ君や。まず、どこまで覚えておるのかの?君の身に何が起きたのか。」
「僕ですか?確か、、、マキタさんと夜の見張りをしてて、交代の時間になって、眠ってから、、その後の記憶は、、、ない、ですね」
「そうかそうか。君は、それから10日間眠っておったのじゃよ。」
「10日もっ?!ですか?」
「そぅじゃよ。しかも、生死の境を何~度も行き来しておったよ。その原因はのぉ、魔力暴走じゃ。よーはの、爆発的に強い魔力が身体中を駆け巡っておったのじゃよ。人の身体が耐えられんほどのな。」
「魔力暴走?ですか?」
「そうじゃよ。分かりやすく言うとじゃな。普通は、ふわふわくるくる身体を巡っておる魔力が、ぐるぐるグリグリバキバキ身体を巡って、洪水のようにゴッリゴリにあちこち壊していく症状じゃな。」
「バキバキのゴッリゴリ、、僕は、その、大丈夫なんでしょうか?」
身体中が痛いし、もしかしたらまだ、、
「おぉ!心配せんでもええぞぉ!もう魔力暴走は治っとる!正直、奇跡じゃよ。あの状態から戻ってくるとは、、よっぽど強い身体の持ち主なのか、魔力適性が高いのか、、いや、それは今はええじゃろ。どちらにしろ、君は生きておる。良かったのぉ。」
ロゾーム先生が、しわくちゃな笑顔で喜んでくれている。なんだか、まだよく状況がわからないけれど、助かったらしい。
「ありがとう、ございます。先生。」
「えんじゃえぇんじゃ。それが、わしの仕事じゃからな。むしろ、カティナさんやムーリに感謝してやっておくれ。君の症状が落ち着いてからは、彼女達が君の世話をしてくれておったからのぉ。後で、お礼を言ってやっておくれ。」
「そうなんですね。お世話を、、お世話!?!」
入院中のお世話と言えば、いろいろ見られた!?同い年の女の子に、あれこれ!?あぁ、身体がなんか熱くなってきた!また魔力暴走か!!?
「ほっほっほっ。若いのぉ。真っ赤になってからに。まあまあ落ち着きなさい。さすがに、そこまでのお世話は、あの子達にお願いはしとらんよ。」
み、見られてない!!良かった!!それは、さすがに恥ずかしすぎるっ!
「ありがとうございます。安心しました、です。」
恥ずかし過ぎて、顔がまだ赤い気がする、、、
「ほっほっほっ。それに、もうここにはおらんが、君を運んできたウィル君達にも、会った時にはちゃんとお礼を言っておくんじゃぞ。」
「ウィルさん?ですか?」
誰だろう?ウィルさんて??
「うむうむ。君をここに運んできたのは、ウィル君じゃな。なんでも、途中でマキタ君達から君を預かったそうじゃよ。」
「マキタさん達から、ウィルさんへ?」
「そぅじゃな。君が見張りを交代した後、朝になって、君の状態がおかしいと気づいたマキタ君達が、君を担いで山を抜けたそうじゃよ。街道に出た所で、ウィル君と運良く遭遇したそうでな。馬でちょうどこのレリの村へ向かっておったウィル君が君を預かって、わしの所まで連れてきてくれたというわけじゃ。そうじゃな、白湯がくるまで、そこら辺の話をしようかのぉ、どうじゃね?わしがウィル君達から聞いた話もあるが、聞いてみるかね?」
レリの村?マイルトンじゃなくて??マイルトンに向かってたはずだよね???
「はい!ぜひ!」
僕に何があったのか、知らなきゃ!
「そうかそうか。では、ゆっくり話をしようかのぉ。ソウマ君も、リラックスして聞いておくれよ。それじゃあのぉ・・・」
ーーー10日前ーーー
ーーーウィル視点ーーー
今日は、レリの村へ道場視察に行くだけの予定だったのが、なぜこうなったのか。レヴィエールの迷い子。おとぎ話だと思っていたんだが、不思議な縁もあるものだ。
「迷い子、村が見えたぞ。もう少しの辛抱だ。コフィー、あと少し頑張ってくれ。」
愛馬の首筋を軽く撫でると、わかってるとでもいいたげに一声鳴く。
「そうだな。いつも無理ばかりで、すまない。」
この相棒は、本当に気が利く。今にも死にそうな迷い子を背に乗せて、彼への負担が少ないように配慮しながらも、ペースを落とさずにレリの村まで走ってくれた。
迷い子は、マキタ達の話では魔力暴走を起こしている可能性が高いらしい。実際、彼が振り落とされないように、左手で抱き抱えているが、その背中からは途轍もないエネルギーが脈打っているのを感じる。コフィーは、人よりもそういった感覚が鋭敏だから、私以上に迷い子の爆発しそうなエネルギーを背中に感じているはずなのだが、怯えることもなく、ここまで走ってくれたのは、いつもながら頭が上がらない。
だが、迷い子の体力も限界のように感じる。預かった直後は、まだ話しかければ反応があったが、もはや、話かけても反応がない。
「コフィー、このまま門を通り抜ける。少しだけスピードを落としてくれ」
レリの村は、周りを塀で囲まれているため、いくつかある門からしか入れない。
本来なら、門衛といくらか問答をしてから、入村するのだが、今日はその余裕はない。徐々に近づく門を護っている門衛に、見知った顔がいることに、少しホッとする。
「んっ?おいっ、そこの!!止まれ止まれ!!」
「いや、待て!あれは、ウィルだ。どうした、ウィル!?」
「すまない!急患だ!このまま通り抜けさせてもらう!後で、必ず戻ってくる!」
「了承した!!ロゾーム先生なら、この時間は診療所のはずだ!急げ!!」
「感謝するっ!!」
通り抜け様に、とっさにロゾーム先生の情報を渡してくれる辺り、さすが門衛長だ。感心と感謝を感じながら、一路ロゾーム先生の診療所へスピードを上げるため、再び愛馬の首筋を軽く撫でる。
「コフィー、行くぞ」
ーーーーー
山の中腹を切り開いたレリの村は、緩やかな勾配と共に、中心を流れる川に沿って縦長に発展している。診療所は、そのちょうど真ん中に位置する場所にあるため、村のシンボルでもある水車を横目に、村の中を走り抜けさせてもらう。
「さすがだ、コフィー。少しここで待っていてくれ」
診療所の敷地に入り、マキタ達と出会ってから、ここまでずっと走り抜けてくれた愛馬をねぎらいつつ、迷い子を抱き抱えて下馬する。
すると、バンッと診療所の扉が開いた。
「ウィル?急患!?急患きたよー!」
診療所の扉を押し開いて、ムーリが顔を出した。耳がいいのか、反射神経がいいのか、一番に反応するのはいつもムーリだ。
「はいはい。ムーリちゃん、扉はもう少し優しく扱ってって、いつも言ってるでしょ?もう。あっ、ウィルさん、急患ですか?こちらへ。先生ー!急患でーす!」
続いて看護師のサリュンが出てきて、案内してくれる。レリの村へは、道場の稽古などでよく顔を出すので、この診療所のメンバーとはもう顔馴染みだ。
「あら?今日は、道場生の方ではないんですね?怪我をしてる感じでもないですね。」
「その言い方では、いつも道場生を怪我させているように聴こえるが?」
「違うんですか?」
「、、みな、鍛練が足りんのだ。。」
「そういうことにしておきましょう。熱があって、経絡系の乱れ?魔力の高まりを感じますね、、」
「マキタ達から預かったが、魔力暴走の可能性が高いと言っていた。」
「おぉ!ウィル君じゃないか。どうしたのじゃ?いつもより時間が早いな。まだお昼前じゃぞ?ん?んんんんんん!?いかん!その子を早くこっちじゃ!奥の魔医室へ!」
ロゾーム先生が、診察室から出てきて、迷い子を見た途端、顔色が変わった。
「ロゾーム先生。状況を簡潔に話す。まず、この子はレヴィエールの迷い子らしい。」
「なんじゃと?!あのおとぎ話のか?!」
「詳しいことは、わからん。後からマキタ達が追ってくるだろうから、その時に委細は聞いてくれ。」
少ないながらも知っていることをロゾーム先生に話している内に、いつもの診察室を通り過ぎ、奥の魔医室へと入っていく。初めて入ったが、見たことのない器具が多いな。
「わかった。おぉ!そのベッドに寝かせておくれ。そっとじゃぞ。」
先生が、ベッドの反対側に周り、かけてあったベッドカバーを外しながら、指示してくる。先生は、いつもながらに動きに特徴が強いな。
「こうか?、、それでだ、マキタ達の推測だと、迷い子は魔力暴走を起こしている可能性が高いと言っていた。レヴィエールの迷い子で、記憶喪失でもあるらしい。どういう素性かもわからんらしい。名前だけは覚えていて、ソウマと名乗ったそうだ。あとは、わからん。」
迷い子をベッドに寝かせたら、先生が額や首筋、手首等を触診し始めた。久しぶりに、先生の厳しい表情を見た気がする。
「そうか。確かに、魔力暴走の症状が観てとれるのぉ。これは、急がねばならん。」
「助かりそうか?」
「誰に聞いておるんじゃ?わしがおる。助かるに決まっておろぅ?ウィル君、どこから走ってきたかわからんが、まずは君の愛馬をうちの馬小屋で休ませてあげなさい。水も、干草も好きに使って構わんよ。ここまでの魔力暴走は、わしも初めて見るからのぉ。長丁場になるぞ。ウィル君にも、少し手伝ってもらうかもしれん。」
「了解した。コフィーの件、感謝する。」
ーーーロゾーム視点ーーー
はてさて、どうしたものかのぉ。
ウィル君が連れてきた急患は、かなり衰弱しておるが、それに反して、体内からはとてつもないエネルギーを感じるのぉ。急がねば、取り返しがつかんことになりそうじゃ。まず、診療方針じゃな。
「この状態では飲み薬は無理じゃろうなぁ。まずは、針と調香で、身体を整えるしかないかのぉ。サリュン、針の準備をしておくれ。それから、ムーリや、ナッキャの婆さんの所にお使いに行ってきてくれんかのぉ?」
「行く!行くよ!いい香りする!行ってくる!」
「いい子じゃ。おぉぉ!ちょっと待ちなさい。必要なものを書くから、ちょっと待って、待ちなさい!おーい!、、行ってもうた。まぁ、すぐに戻ってくるかのぉ。」
「先生、針のセットです。まったくあの子は!私が行ってきましょうか?」
「よいよい、大丈夫じゃよ。うちの在庫でまずは対処できそうじゃ。ただ、長丁場になりそうじゃからなぁ、ナッキャの婆さんには、多めに調合しておいてもらわんとな。」
「わかりました。もし、強めに香を焚くなら、マスクがいりますね。」
「おぉぉ!そうじゃな。わしらが香に負けてしまってはいかんからのぉ。では、まずは精油とマユリルの葉を使おうかの。準備を頼めるかのぉ?」
「はい。すぐに。」
「うむうむ。さて、ソウマ君とやら、治療を始めようかのぉ。」
命を諦めたらいかんぞ。強く生きるのじゃ。
ーーー10日後ーーー
ーーーソウマ視点ーーー
「・・・という感じかのぉ。ソウマ君が運ばれてきたときは、本当に衰弱しておったからなぁ、よく頑張ったのぉ。」
「そんなに弱ってたんですね、僕、、」
「弱ってたというか、死にかけたおったな!ほっほっ!まぁ、助かったのだから、よしとしておきなさい。」
「そう、ですね。、、また、死にそうに、、」
「ふむ?何か言ったかの??」
「あっ!いえ、なんでもないです!」
ぼんやりとだけど、揺れるシアンさんの背中を追いかけてる記憶を思い出した。そうだ。耳元でマキタさんが何か声をかけてくれてて、、本当に死にそうになってたんだ、僕、、
「そうかの?何かあるなら、教えてくれてもええんじゃぞ?口はかたいことで有名なんじゃぞ、わし?」
先生が、しわくちゃ笑顔でウィンクしてくれる。
言えるものなら全て言ってしまいたい。とも思うけど、やっぱり怖い。死にかけて異世界から転移してきたとか、信じてもらえるかもわかんないし、信じてもらえたとしても、どうなるのかわからない。せっかく転生してきたのに、また死にそうになった、、魔力暴走??もう!わからないことだらけだよ!!
「ふむ。大丈夫かの?ソウマ君?」
「僕は、、」
バンッ!!
「うぎぃっ!」
扉が急に開いたので、再び瞬発的に反応してしまったよ!首がぁぁぁ!!
「おさゆー!あちちち!おさゆーー持ってきたよーソウマー!」
ムーリちゃんが、大きさの合っていないミトンをはめて、湯気のたってるマグカップみたいなのを持ってきてくれたらしい。
「あっ、ちょっとムーリちゃん、気をつけて!やけどしちゃうよ!」
その後を追って、カティナさんが心配そうにあわあわしている。確かに、あの湯気は熱そうだ。
「おぉぉ!やっとお白湯がきたのぉ。どれ、わしが預かろう。あちちちぃ!これは、ちょっと熱すぎじゃのお。ほっほっほっ。あちぃのぉっ!!これは、ちょっと冷やさねばならんかの。どれどれ」
素手で預かった先生、熱そうだよ、うわぁ、、と思ったら、マグカップをサイドテーブルに置いて、白衣のポケットから杖を取り出して、一振した。すると、マグカップの湯気がポンっと大きな風船みたいに膨らんでから、ふわふわ浮いたかと思ったら、ほんの小さなポンっという破裂音とともに弾けた。
「魔法、、」
綺麗だなぁ。
「そうじゃよ。一応、魔導医やってるからのぉ、魔法も使えんとな。ほっほっほっ。どれ、持った感じはちょうどよくなっておると思うんじゃが、注意してゆっくり飲みなさい。いきなり飲むと、むせちゃうじゃろうからな。」
「あっ、はい!ありがとうございます。あのっ、ムーリちゃんとカティナさんも、ありがとうございました。お白湯と、、お世話もしたもらったみたいで、、」
「別に?なりゆきだし?気にしないでいいよ」
カティナさんが、サラッと言ってくれたけど、なりゆきでお世話してもらって、気にしないって無理じゃない??逆に??
「お世話したよー!ソウマよく寝てたもん!甘い匂いもするから、この部屋好きー!」
「甘い匂い?あぁ、そういえば、この部屋、いい匂いがしますよね。起きた時も、甘いけど落ち着く匂いだなぁって感じました。」
「そうじゃろそうじゃろ。治療の時に焚いておったお香を、弱めてまだ焚いておるからの。いい匂いじゃろ??」
「はい。落ち着くし、優しさに包まれるような感じがします。」
「今は、ウィッチャヌと青アカリナをメインにしたミックスで焚いておる。精神や経絡を鎮める効果のある香木でのぉ。ソウマ君の魔力の過剰な活発化を抑えてくれとったのじゃ。」
「すごい効果のあるお香なんですね。」
聞いたことない香木?の名前だけど、この世界独特の物なのかな?
「先生、それよりも、ソウマのリハビリはどれくらいかかりそうですか?マイルトンに早く帰らないといけないんです。」
カティナさんが、先生にさっきと同じ質問をしている。マイルトンに帰る?あれ?そういえば、なんでメディナさんの妹さんのカティナさんがここにいるんだろ?
「あのー、質問いいですか?」
恐る恐るカティナさんに聞いてみようと思う。
「なに?」
「すいません。まだ状況がよくわかってないんですけど、ここはマイルトンじゃないんですよね??レリの村?でしたっけ?」
「そうじゃよ。ここは、レリの村じゃな。」
ロゾーム先生が答えてくれる。
「カティナさんは、ここに住んでるんですか?」
「?違うわよ?お姉ちゃんの代わりに、ソウマのお世話をしにきたのよ。だけど、ソウマがなかなか起きないから、聞いてたよりも長くマイルトンを留守にしちゃってて、宿の仕事が心配なの。うち実家が宿と食堂やってて、お姉ちゃんはずっと冒険者業でいないし、常に人手不足だから、早く帰りたいのよ。」
「そ、そうなんですね。なんだか、すいません、、僕のせいで」
「ソウマは、悪くないわよ。ただ、リハビリ早く頑張ってよね。手伝うからさ。」
「あっ、はい!頑張ります!」
「あぁ、ついでに言っとくけど、たぶんうちで働いてもらうことになると思うから、よろしく。」
「そうなんですね。がんばりまっ!、、、はい?」
どういうことーーーー?????
妹ちゃんの名前を、カディナにするか、カリナにするか、未だに迷い中でして、、次話までにこっそり変わってるかもしれないです。