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20/48

19 B

前話の投稿から、かなり間が空いてしまい、すみませんでした。


諸事情から、なかなか続きを書くことができず、ここまで時間がかかってしまいましたが、その間もアイデアは膨らませ続けてきました。

最初の投稿から、ほぼ一年が経ち、またここから新たに出発するつもりで、更新していこうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。


2022/02/14

これまでの投稿分は、少しずつですが、加筆や修正を行っております。ですが、大きく変更があったのは、17話と18話のみですので、もしお時間ありましたら、そちらから読んでいただければ、幸いです。


今後は、週に一本から二本の更新ペースで続けていくつもりです。

以前から読んでいただいていた方も、新たに読み始めていただいた方も、今後とも『俺は転生したい』をよろしくお願いいたします。


それでは、本編をお楽しみください。



 マキタっす(^-^)/


ーーマキタ視点ーー


 ソウマ君は、運がいいっす!

 

 周りに集落も何にもない、あんな山奥で見つけた時は、剣の一本も持たず、変な服を着てるし、何者か検討もつかなくて、びっくりしたっすけど、レヴィエールの迷い子だと判明して、保護できたのは運が良かったっす!


 この辺境で生きてれば、村や里が魔獣やゴブリンの群れに襲われて、全壊全滅なんてこともあるっす。


 うちら冒険者も、下手すりゃ帰らぬ存在になるっす。


 もし、ソウマ君がうちらと出会ってなければ、半日もしないうちに命を失ってたはずっす。



 記憶はなくしてたみたいっすけど、それでもソウマ君は前向きに生きようとしてるように見えたっす。

 だから、みんなソウマ君に話しかけたりして、できることはしてあげようとしてるっす。


 記憶がなくて、戸惑うこともあると思うっすけど、素直に受け入れて、吸収していけるソウマ君なら、なんとかなると思うっす。


 だから、こんなとこで死んじゃだめなんす!

 せっかく拾った命なんすから!



 フィッシュワームとの遭遇は、しょうがないっす。

 たぶん、縄張りに入ったんだと思うっす。


 フィッシュワームの強さは、然程じゃないっす。初心者の冒険者でも、きちんと対策と準備さえできていれば、討伐できるっす。それなりの魔法師がいれば、楽勝っすね。

 ただ、危なくなると土に潜る習性があるんで、2体両方の討伐は、さすがにライアンさん達でも少し時間がかかるはずっす。

 だから、ライアンさんの即決で、シアンと二人で先行したっす。


 あいつらは、縄張りを作って狩りをする雑食のモンスターっす。

 だから、逆に言えば、あいつらの縄張りには、他の障害になりえる存在が少ないと考えられるっす。

 それに、シアンの観察眼と索敵能力は、抜群す!

 スカウトとして、シアン以上に鼻の利くやつは、うちらの世代じゃ他にいないっす!

 だから、シアンに前を任せて、ソウマ君をおんぶして、おもいっきり走れたっす!



 それに、街道に近づくにつれ、山中にいくつか野営の後があったっす。

 たぶん、他のパーティーが定点狩りをしたんだと思うっすけど、おかげで魔獣の影もなく、フィッシュワーム以降はまったく邪魔されることなく進めたのも、運が良かったっす!

 獣道は、文字通り獣や魔獣の通り路っす。整地された道なんかないし、小川や倒木なんかの障害も多くて、ソウマ君を背負っての移動だけでも大変なんで、戦闘とかが起こらなくて、本当に良かったっす。



 そして、やっぱり、ソウマ君は運が良いっす!

 街道で彼に出会えたのは、本当に奇跡っす!



 街道に出た地点からレリの村までは、走って一時間くらいはかかると予想されたっす。

 この街道は、デマリーマ山脈の真ん中を横断する山あいの街道で、レリの村へはマイルトンとは逆方向に東へ進むことになるっす。街道沿いには、村や里が点在してるっすけど、レリの村はこの周辺だと一番大きな村で、山の中腹を拓いた宿場町としても有名な所っす。そこに、名医と名高いロゾーム先生がいるっす。うちら冒険者も、よくお世話になってるっすよ。


 街道に出る直前に、ソウマ君の意識が一度戻ったっすけど、すぐにまた意識がなくなったっす。

 朝の時点よりどんどん悪化してるように感じたっす。

 早くロゾーム先生に診てもらわないといけないっすね!

 

 獣道を何時間も走ってきて、体力面だけじゃなくて、方向確認やルート誘導から索敵までを先頭で一人でこなすシアンは、精神的にも疲れてるように見えたっすけど、ここで足を止めるわけには行かないと、気合いで頑張ってたっす!

 でも、山中より安全な街道に出たとは言え、山賊や魔獣が出る時は出るっすから、一旦休憩すべきか迷ってたっす。ソウマ君の状態も悪くなってきてるし、難しい判断をしなければいけないタイミングだったっす。

 

 そして、迷いながらも、少し走った所で、彼に出会えたっす!

 冒険者ギルド・マイルトン支部の『ソードマスター』ウィル・ベルベリッチっす!

 騎乗してレリの村方向に進んでいたウィルの背中が見えた時、わかんないっすけど、なぜか、これでソウマ君は助かると思ったっす。確信したっすよ!

 若くして『マスター』の位を持つウィル。年下っすけど、これほど信頼できる冒険者はそうそういないっす!

 気づいたら、ウィルの名前を叫んでたっす。

 振り向き様の横顔は、悔しいっすけど、カッコよかったっす。


 迅速に、かつ的確に状況を把握したウィルは、ソウマ君を馬に乗せて、レリの村に先行してくれたっす。ウィルの愛馬は、名馬の呼び声高いっすから。安心して任せられたっす。

 

 ソウマ君は、運が良いっす!信じてるっすよ、ソウマ君!

 後から追い付くっすから、頑張るっすよ! 


 でも、また走りだす前に、ちょっと休憩っす。

 さすがに、足がガクガクっすよ。。


 

ーーーー


 ソウマ君をウィルに託してから一時間くらい、街道沿いで休憩したっす。

 装備の確認なんかもしたっすけど、ライアンさん達と合流できないか考えてたっす。

 山中に戻っていけば、間違いなくすれ違いになるっす。

 かといって、街道沿いで待ってても、ライアンさん達がうちらよりレリの村寄りに街道に出てくれば、やはり出会えないっす。

 だから、その場で待ってみたっすけど、ライアンさん達の姿は見えなかったっす。


 そしたら、ちょうどレリの村に向かう定期乗り合い馬車が通りかかったので、途中での合流は諦めて、乗せてもらったっす。


 乗り合い馬車には、必ず護衛の冒険者が数人つくので、シアンも休めるはずっす。

 体力的な疲れより、精神的な疲れの方が残るっすからね。


 シアンとメディナには、ソウマ君くらいの歳の弟や妹さんがいるっす。だからと思うっすけど、二人は特にソウマ君を気にしてあげてるっす。

 今も、シアン本人は気づいてないかもっすけど、ずっとソワソワしてるっすよ。かなりソウマ君のことが心配なんだと思うっす。


 ウィルは、必ずソウマ君をロゾーム先生の所に連れていってくれるはずっす。そして、王都にまでその名を轟かす辺境の名医ロゾーム先生ならソウマ君を治せるはずっす。

 馬車がこのまま順調に進めば、お昼過ぎくらいには村に着くはずっすから、今は信じて、レリの村に着くまで身体を休ませるっす。

 村に着けば、何か手伝えることがあるかもしれないっすからね。


 そういえば、レリの村は、確かラム肉のミートパイが名物だったはずっすから、ソウマ君が元気になったら、みんなで食べたいっすね!




ーーメディナ視点ーー


 「メディナ!右前方!来るよ!」


 「はい!」


 秋の森は、乾燥していて燃えるものが多いから、フィッシュワームの弱点である火属性は使えない!また潜られる前に倒すには、これ一択です!


 「出た!」


 土を盛大に突き上げ、辺りに吹き散らしながら、フィッシュワームが姿を現して、こちらに突っ込んできます。

 魚のヒレを生やした巨大なミミズのような姿は、強い嫌悪感を覚えます!全長は7m近くあり、この個体が恐らくこの群れの親!

 ここで倒さないと、また繁殖するかもしれません!


 「もう!クネクネヌチャヌチャ気持ち悪いんですよ!石になっちゃってください!ペトラファイ!」


 ルウォルの聖白樹の枝から作られた杖は、すっかり手に馴染み、まるで身体の一部かのように動いてくれる。

 その杖から翠の光弾が飛び出し、真っ直ぐにフィッシュワームへと向かって飛んでいきます。

 ビシッと光弾がフィッシュワームに当たると、着弾点を中心にしてその身体がどんどん石化し始めて、苦しいのか、その長い身体をくねらせて暴れだしました。でも、無駄です。すぐに全身石化しますから。

 任された他の個体も、石化の魔法ペトラファイで石にしましたし、これで終わりです!


 「ふぅ~、これでやっとソウ」 


 「メディナ!油断するな!フィッシュワームが分裂したぞ!」

 ライアンさん?

 「えっ?!」分裂?!?!

 弛緩した思考に、ライアンさんからの注意が一瞬遅れて届きます。

 瞬間、もう一度石化したはずのフィッシュワームに視線を向けます。


 ペトラファイが命中した頭部から、どんどん石化していたはずのフィッシュワームが、身体の後ろ半分を自ら切り離して、石化した頭部を迂回して、ものすごいスピードで、身体をクネラセて地面を抉りながら、こちらへ突進してきます!


 まさか、ペトラファイが失敗した!?


 次の魔法!!

 間に合わない!!


 「左に飛べっ!!」

 「っふぁい!」

 ライアンさんの声が聞こえた瞬間、転けるように左に回避しました!

 回避する私と入れ代わるようにライアンさんが視界に入ってきて、フィッシュワームとの間に割って入るのが見えました!


 「やらせねぇよ!!せいっ!!っ!!」

 ライアンさんが、バトルアックスを横凪に払って、突っ込んできたフィッシュワームの横っ腹に一撃を入れました!

 フィッシュワームは、その勢いのままに、ライアンさんの一撃で進行方向をずらされて、私が避けたのと反対の方向に突っ込んでいきます!


 「あいつ、重すぎんだろっ!手がしびれたぞ!!あとは、頼んだ!ベン!」


 「任されました!ですが、ガクベンです!ペトラファイ!!名前を略さないでいただきたいですね!ストーンクラッシュ!!」

 フィッシュワームが突っ込んでいった先には、残っていたもう一体のフィッシュワームを討伐しに行っていたはずのガクベンさんが、すでに杖を構えて立っていました。


 「あっ、すまん。つい勢いで!」

 ガクベンさんのペトラファイは、確実にフィッシュワームに命中し、一気に石化させてしまいました。


 「次、名前を略したら、石化像にして置いていきますからね。」

 一気に石化したフィッシュワームは、石化したとはいえ、それまでの勢いがあるため、ゴロゴログルグルしながら、ガクベンさんのいる方に突っ込んでいきますが、ストーンクラッシュで粉々に砕けて、ついに天に召されました。


 「優しい顔して、おっかないこと言われると、冗談に聞こえんのだが……その笑顔が怖いぞ!」

 石化させる速度といい、冷静に魔法を放つ技術といい、ガクベンさん、かなりの使い手です……はぁ、私はまだまだですね……

 

 「ふふふ。…さて、メディナさん、大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」


 「あっ、はい!ありがとうございます!無事です!……ごめんなさい。……油断しました…」 

 

 「いえいえ。ご無事でなによりです。しかし、フィッシュワームが、ペトラファイをくらってから分裂したなんて生体報告は聞いたことがありませんし、さすが7m級といったところでしょうか。油断が生まれるのも、しょうがないことかと。しかしこれは、ギルドに報告した方がいいでしょう。運悪く、などということが起きないように。」


 「だな。」

 

 「ライアンさん…」


 「過ぎたことは、気にすんな!シアン達の事が気になってんのは、お前だけじゃねぇからよ。ただ、次は気をつけろよ。」


 「はい!」


 「……にしても、この件はギルドにしっかり言わんといかんな。ギルド管轄域のちぃと外とはいえ、フィッシュワーム5体、しかも、その一匹が7m級ときてる。確かー、フィッシュワームの平均は4m級だろ?収穫祭目前に、これはやべぇだろ。」


 「ですね。最初の2体を相手にしてるときに、後続3体が現れた時は、さすがに冷や汗をかきました。」


 「7m級が一体、5m級が一体、3m級が3体か。フィッシュワームの大家族だね。こんなのが管轄域のすぐそばに住み着いてたのか。…ザクソンさん達の協力がなければ、さすがに私達だけでは厳しかったかもしれないね。」

 ケイトさんが合流してきました。


 「だな。改めて、お二人には感謝を。助かりました。」


 「なに、これしき。今回は、依頼人の立場とはいえ、緊急時とあれば、我々も闘うのは当然ですよ。ですが、これは、確かに由々しき事態です。私からも必要な方面に進言しておきましょう。」

 

 「それは、ありがたい。本格的な収穫シーズンに入る前に、管轄域の再調査と域外へのアプローチをせねばならんでしょうから。人と金がいるでしょうし。まぁ、そこはギルマス達に頑張ってもらいましょう。」


 「この忙しい時期に、仕事を増やすのは忍びないですが、村や里、街道の安全のためですからな。人手が必要であれば、我々も久しぶりに冒険者業務復活せねばならんでしょうな。」

 

 「それは、心強い。久方ぶりに戦闘を拝見しましたが、まだまだ勘は鈍ってない処か、昔よりも動きのキレがあるんじゃないですか?無駄が削ぎ落とされたような動きでした。」

 ライアンさんは、ザクソンさんに昔お世話になったとかで、頭が上がらないんだとか。珍しく丁寧な喋り方をするライアンさんは、新鮮だけど、なんだか変な感じがしますね。


 「冒険者業は久しいですが、山師の仕事もなかなかハードですからね。はっはっはっ」


 「お二人とも、そういった話はまた後程。メディナさんも、ソワソワしておられますし、そろそろ動くべきかと。」

 ですです!その通りだと思うので、コクコク頷きます!


 「うん?あぁ、そうだな。すまんすまん。そんじゃぁ、どうする、こっから。」


 「マキタ達と別れた場所からかなり離されたわね。ショートカットで真っ直ぐ街道に向かうのもアリだと思うけど?」

 ケイトさんが、周りを見渡しながら、ライアンさんに提案しました。

 確かに、フィッシュワームの後続が現れたことで、戦闘開始地点から、けっこう移動してきてしまいましたし、想定よりも時間もかかってしまっています。すぐにシアンさん達に追い付けると思っていたのに、、心配です!!


 「それもアリっちゃアリか。、、だが、もうすぐギルドの管轄域だと思って、あいつらを先行させたが、域外そばでこれだからなぁ。」

   

 「、、域内にも、なにかしら問題がある可能性、ですか?」

 

 「そんな!収穫祭前ですよっ!?域内は、徹底的にギルドが綺麗にしてるはずですよっ!?」

 ライアンさんに質問したガクベンさんに、思わず質問してしまいました!

 収穫祭の前後は、あちこちが収穫シーズンに入ることで、ギルドも収穫応援依頼を優先して、街道護衛などの必需任務に最低限の人数を確保するだけで、地域のほとんどの冒険者がなんらかの農園に収穫や加工の応援をしに行きます。そのため、収穫シーズン前に、ギルド総出で、管轄域と域外半径数キロを徹底的に綺麗に狩ります。でなければ、街道や街に被害が出るからです。時期的に、この地域はもう狩りが行われているはずなのにっ!?


 「私も、そう思っていましたが。この現状を見る限り、狩りを行った後に、なにか異変が起きていてもおかしくはないかと。」


 「そんなっ、、急がないとっ!?ライアンさん!!」


 「メディナ!、、メディナ。落ち着け。冒険者は、いかなる状況でも冷静な判断を下す。訓練を思い出せ。、、焦るのはわかるが、熱くなりすぎるなよ?」


 「、、すみません。」

 つい、カッッとなってしまいました、、


 「にしても、、そうだな、太陽はあそこで、影はこんなもんか。」

 ライアンさんが、懐中時計を取り出して、時間を確認しながら、簡易的な方角確認をしています。

 「ショートカットも悪くはないが、、。念のためだ、別れた場所まで戻ってから、追跡するか。ザクソンさん、どうでしょう?」


 「私も、同意見です。善は急げ。ですよ」

 ザクソンさんが、力強く頷きます!


 「そうと決まれば、動くぞっ!」


 「はいっ!!」

 待っててくださいね!シアンさん、マキタさん!

 そして、無事でいてください。ソウマ君っ。。



 



 

 


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