#9天国と地獄
例の端末のフィーネのアカウントを消し、更新してみると、そこには自分のパラメータが記されていた。
『ジャッカル Lv1 次のレベルまであと100
ジョブ 支配者 ランク D スキル 弱者の魂Lv1
HP97
攻撃56
防御29
知力133
命中65
回避25』
ふむふむ、知力は高くて、少し防御は低くて、あとは普通くらいなのか。こんな調子で色んなことが分析されていた。そこにヘルプのページがあり、それを少しばかり読むことにした。
『ヘルプ』
パーティーとは?
一緒に戦う仲間のこと。ひとつのパーティーには8人まで加えることができる。
同盟とは?
大勢の人が集まって、協力し合う場所。同盟には盟主、副盟主、外交官、指揮官など色々な役職があり、この世界に大きな影響を与える。
また、支配者や統率者などの役職では、同盟に入れず、盟主として入る場合のみ同盟加入が認められている。(ry
と、茨の道を選んだ僕だが、後戻りは出来そうにないので、とりあえずパーティーメンバーを募集することにした。
が、そう簡単に見つかるはずもなく、街をふらふらとしている間に3時間も過ぎてしまった。疲れてきたのでベンチに腰をかけると、いかにも昭和感が漂う男が僕の元へ現れるのだった。
ザクロ「あなたの元で働かせてくれませんか?」
とりあえずゆっくり話を聞こうと思ったので、とある居酒屋に入り、マンゴーラッシーを頼んだ。
ジャッカル「それで、どうしてこちらに?」
ザクロ「実は私、前は騎士として働いていて、この国の最大派閥『gift』にいた訳なんですが、そちらでは毎年、優秀な勇者たちがそこに応募してくるわけで、歳をとって体力が少なくなり、経験値でもとってくれなくなって、リストラされたんです。その後、色々仕事を探しては見たんですけど、就職浪人だとか体力がないだとかでことごとく蹴られたんですよ。それで、ここなら働かせて貰えるんじゃないかと思って来ました。」
ジャッカル「この世界には、境遇だけで差別するという痛ましい事態が起きている。そんな差別はあっていいものだと思わないのか?」
ザクロ「『gift』にいた経験から言わせてもらうと、私は天国と地獄両方を経験した人です。差別し、差別された人なのでしょう。人生が負け組のままでいるのは、とても辛いことです。全員が差別されない、平等なラインにたってこそ初めて競うべきだと思うのです。」
ジャッカル「最後の質問だ。僕がこれから戦う敵は強大で、自分の力では突破出来ないだろう。それで、あなたは僕のために一生懸命戦う覚悟はあるか?」
ザクロ「……………はい。」
ザクロを仲間にしますか?
⇒はい
いいえ
僕は初めて仲間を得た。ちょっと口が悪くなった面接は反省点が多いが、ザクロは満足していそうだ。
ステータス
『ザクロ Lv22 次のレベルまで2367
ジョブ ナイト ランク B スキル 炎の誓いLv11 自動回復Lv5
HP146
攻撃188
防御176
知力155
命中80
回避45』
ジャッカルのレベルアップ音が鳴った。