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現実闘避  作者: 陽川大地
11/18

#11汚れ役vs汚れ役

今回はちょっと長めです!

自分的にはこれまでで1番の自信作です(*^^*)

サイロンの街に着くと、すぐさま僕はコンビニに行って暖を取りに行った。多くの人々に(ザクロも例外ではなく)冷たい視線を浴びながら温風に浸っていた。立ち読みをするほど常識外でもないので、しばらくして再び外へ出ると木枯らしが槍を刺すように鋭く僕達の間を通過した。もう秋も終わりに近づき、冷たい空気が僕の体を震え上がらせていた。

そんなことをしているうちに雲の間から太陽がそっとこちらを覗き込んで、冒険の活力をみなぎらせていた。

サイロンの街からは30分もしないうちにサロード鉱山・鉱窟の麓にたどり着き、ブルーエメラルド探しを始めるのだった。

ザクロ「こんなとこに宝石とかあるんですかねー?」

ジャッカル「絶対ある!…と思いたい」

ザクロ「大きさとか形にもよるからねー。」

ジャッカル「うおっ!」ドンッ!

軽く武装をした女が僕の前でよそ見をしながら突進してきた。と、僕の方も今まで鉱山の道中で人の気配がなかったからもっともよけられなかった訳だが。

キャメル「え、えっと、ごめんなさい。って支配者!?な、なんかしたりしないよね?ってランクD!なら何も出来ないからちょっと安心。」

ジャッカルはなんの悪気もなく棘を刺されたことに苛立ちながら、鉱山の奥へと進んで行った。

キャメル「あなた私の敵でしょ!」

ジャッカル「さあな?」

キャメル「じゃあ私が盗賊だと言っても?」

ジャッカル「ならなおさらわかんねーよ。」

と、そこに幹部らしき人の姿が見えた。

フォンド「キャ~メ~ル!!あんまり人にちょっかい出すんじゃない!!」

「うちの部下がご迷惑をお掛けしました。私はフォンドレイン=ケイスと申します。ブレイクドールの外交官を務めております。

キャメル!!次やったらクビだからね!!」

キャメル「は~い」

フォンド「ところで、あなたたちはなぜここにいらしたのですか?見た所商人の使いなどでは無さそうですし、もしかしてこの土地の所有権などでも狙っておられるのですか?」

ジャッカル「いえ、生活費の足しになればなと思って…」

フォンド「ならいいのですが、ここを拠点にするのはものすごく危険ですよ。夜になるとブルーエメラルドに向かってモンスターが大量発生しますので。それを討伐してレベル上げをする勇者などはたまにお見かけしますが…」

ジャッカル「ところであなたたちはどちらの方へ?」

フォンド「鉱窟の方へ行こうと思っているのですが、どうかなさいましたか?」

ジャッカル「いえ、あまりにも人の気配が少ないと思いまして、そちらに同行させていただければと。」

フォンド「勘違いなさらないでください。私たちはあなたたちの仲間ではありません。目的が一緒ならば同行は許可致しますが、私たちが採取したブルーエメラルドは分けませんし、万が一私たちに危害でも加えられるようでしたら敵と判断してそれなりの対応をさせて頂きます。それでは。」

そして、ブレイクドール(BreakDall)の人達と一緒に鉱窟に入った。あんな他人行儀な態度をとっておきながら、フォンドは少し嬉しそうに頬を赤らめている。と、そんなモワモワした空気を壊していくようにモンスターが現れた。

『吸血コウモリLv5×2HP60

ゴブリンLv4HP70』

標的は自分のようだ。他人を攻撃するのは躊躇しがちな僕だが、モンスターとなってはそれはどうもないらしい。ましてや、自分を攻撃するようなものでは進んで攻撃するくらいだ。

『コウモリに26のダメージ』

『ジャッカルに合計88のダメージ』

推奨Lvを破ったせいか、すでに次の攻撃には耐えられるHPはない。次の攻撃を食らえば確実にゲームオーバーだ。

(あっ…死ぬ…)

ジャッカルは絶望感に次の攻撃を打つ気力はなかった。

『警告 あなたのHPは残り30%以下です

警告 あなたのHPは残り30%以下です

警告 あなたの(ry…』

そんな僕の前に現れたのはしぶとく強い盾だった。

フォンド「キャメル!あいつをガードしろ!」

キャメル「なんでいつも私が盾なんですかー?」フォンド「つべこべ言わずさっさとやる!」

『モンスターの攻撃』

『ジャッカルに…』

『攻撃対象が変更されました』

『キャメルに合計23のダメージ』

僕はここでゲームオーバーだと確信していた。しかし、そうはならなかった。本当の奇跡というものを感じた。

キャメル「ジャッカルくんだいじょーぶー?」

こんな時でも平常心でいられるのは僕も感心するばかりだ。自分の弱さを垣間見た気がしたが、こんな所で終わる訳にも行かないと思ってまた立ち上がった。

『ザクロの攻撃 連続斬り! それぞれ97ダメージを与えた。ゴブリン、吸血コウモリAは倒れた。』

『ジャッカルの攻撃 弱者の凶拳! クリティカルヒット!77ダメージを与えた。』

『バトルに勝利した!』

キャメル「一件落着〜う!」

フォンド「あんた攻撃15しかないんだから防御でしか取る理由がないってんだ。ちゃんともっと早く動け」

キャメル「え〜褒めてくれないのー!?」

キャメルは類まれなる防御力から自ら汚れ役を買って出るしかないそうだ。自分のための汚れ役と他人のための汚れ役。本当に強いのはどちらなのかと思い知らされた。

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