盲腸で入院したら何やら大変な事に巻き込まれて最終的に龍馬にバラバラにされる話
俺の名前はケイタ。高校2年生。今はこの坂本病院に入院している。1週間前くらいから腹が痛かったんだけどさ、病院に行くのが嫌で……我慢してたら授業中に倒れちまった。
結局、病名は盲腸だったんだけど、医者が言うにはもうちょっと遅かったら危なかったんだってさ。
「盲腸だけにもうちょっと……か。」
俺は暇を持て余すあまりしょーもない事を口走った。
ここは病院の4階にある6人部屋。なんだけど、4日前から1人づつ退院して行き、今は俺ともう1人しかこの部屋には残っていない。
「た、大変っす先輩っ!今すぐ逃げましょう!!」
そう言って走って入って来たのはタクヤ。中学3年。この部屋のもう1人だ。彼は骨折で入院していた。自転車で事故を起こして肋骨を骨折したらしい。内臓はどうもなかったようだが、検査も兼ねて入院しているという。胸には肋骨固定用バンドを巻いている。
「おいおい。病院で走るなよ。それに、治るもんも治らねーぞ!」
タクヤを軽く注意する。
「す!すいませんしたっ!!でも先輩っ!大変なんすよ!」
この鬱陶しい感じ…。俺がたまたまタクヤの行ってる中学の先輩で、たまたま来年入学予定の高校に通ってるからって、俺は体育会系でも不良でもない一般生徒なんだ。そう先輩先輩言われても慣れないんだよ!
「で、何が大変なんだよ?」
俺は少し素っ気ない態度でタクヤに聞いた。
「それがですね、この部屋にいた4人なんですが、覚えてますか?」
「んーー。俺、お前以外はまともに話した事無かったからなぁ。」
「別に覚えてるかどうかは問題じゃないっす!……実はあの4人、退院してなかったんすよ!!」
「え?じゃあ、まだ病院にいるって事か?でも別の部屋に移ったってだけだろ?あっ!まさか、俺がなんか知らないうちに、あの人達の嫌がる事をしてたって事か?それなら謝りに行かなきゃだよな?」
俺はタクヤを見る。タクヤの顔は焦りを映している。
「……なんだよ。俺、そんなに大変な事しちまったのか?」
俺もつられて焦り出す。しかし。
「そんなんじゃねーんすよ先輩っ!俺、見ちゃったんすよ!!1番奥のエレベーターに佐藤さんが乗せられてるのを!!!」
タクヤは血の気が引いた真っ青な顔をして言った……。
説明しよう。まず佐藤さんとは、俺の隣のベッドにいた入院患者さんだ。彼は昨日退院した。退院時に俺も軽く挨拶をしたから間違いない。
そして、1番奥のエレベーターとは、この病院の都市伝説だった。
……坂本病院の1番奥にあるエレベーターは、亡くなった患者しか乗せないエレベーター。この病院の地下にある霊安室に繋がっているという……。
しかし、この病院はそんなに大きな病院じゃない。実は近くの総合病院と連携していて、重病患者はそっちの病院へ転院する。そのため、ここには命に別状のない患者しか入院していないはずなんだ。なので、もちろん霊安室なんてもう何年も使われていないらしい。同時にそのエレベーターも今は使われなくなっていた……。
ま、この話も全てタクヤから聞いた話なんだけど……。
「何かの見間違いだろ?それに、エレベーターだって俺たちが知らないだけで今でも使ってたんだろ?霊安室なんて涼しい所だろうし、何かの保管庫にでも転用してるのかも知んねーじゃん?」
俺は言った。
……俺は盲腸が治ったら退院するんだ。退院したらコイツともなるべく関わりたくない。だって、面倒なんだもん……コイツ。
タクヤは今みたいに毎日この病院の都市伝説を持って来る。深夜のナースコールだとか、誰も入院していない部屋からナースコールが鳴るだとか、ナースコールのボタンを押すと魔界に繋がるだとか……。
ナースコールだけでもう10個くらいは持って来やがった……。
だから俺は今回の件もさほど重要視していなかったんだ。
でも、タクヤは人生の終わりのような顔をして、俺に食い下がって来る。
「違うんす!今までの都市伝説なんかとは違うんすよ!……正直に言います。今までの都市伝説の約7割は俺の創作だったっす。でも、これは違うんすよ!マジなんだって先輩っ!!」
「何がマジで何が違うってんだよ?」
俺がそう言うと、少しためらった後タクヤは恐ろしい事を話し始めた……。
「俺、佐藤さんが運ばれてった後、何か面白いネタが手に入るかもって軽い気持ちでそのエレベーターに乗ったんす。その時は佐藤さんが死んでるなんて思ってなかったっすから。そしたらあのエレベーター、マジで霊安室に直通で……。でも、俺も先輩みたいに霊安室なんて使ってないって思ってたもんだから、気軽に入っちゃって……。」
「で、中はどうだったんだよ?」
俺はついつい話に食いついてしまう。
「霊安室の中には、6つのベッドがこう変な感じに置いてあって、床を見たら白い床に赤いペンキか何かで魔方陣みたいのが描かれてたんす。その赤い円の中の……あのヤギの頭の悪魔みたいなヤツの頭のマークみたいな……五芒星だっけ?ま、星型なんすけど、その尖った部分に5つとその中心にもう1つベッドが配置されてあったんす。そして、左右と入り口に近い2つの計4つのベッドには誰かが寝かされてた……。顔の上にシーツを置かれた状態で……っす。」
「え?ま、まさか死体?」
俺は背筋が寒くなる。
「……はい。死体っす。死体は掛け布団の中に入ってたっす。でもおかしいんすよ。布団を被せてあったとしても、その輪郭はわかるんすよ。その4つの死体、どれも体の一部が欠けてるんす。
右側の死体には右手がない。左側の死体には左手がない。入り口に近い2つの死体も、右側は右足、左側には左足がない……。
俺は怖くて足がすくんで、動けなくなっちゃって……。そうこうしているうちに外から足音が聞こえて来て……。」
「えっ?だ、大丈夫だったのか?」
「心配していただいてありがとうございます。とりあえず、俺は右足の無い死体のベッドの下に隠れたっす!そしたら、霊安室に誰かが入って来たっすよ……。先輩、俺が先輩に伝えたいのはここからなんす!良く聞いて下さいね。」
「あ、ああ。」
良く分からないが、俺は相槌を打った。
「入って来た人の顔は分からなかったんすが、男でした。そしてその男はこう言ったんす。……あと2人だ。あと2人であの方は復活するって。」
やけに重い雰囲気に耐えられなかった俺は少しおちゃらけて見せる。
「……確かに猟奇的だよなぁ。でも、その話のどこが大変なんだよ?まさか悪魔でも復活するってのか?冗談だろ。んな訳ないって。死体だって偽物だよ。ハハハッ!」
「ちょっと黙ってて下さい先輩!」
俺のおちゃらけは、タクヤにピシャリと切られる。俺は黙るしかない。
「……先輩、実はその後すぐに、入り口近くの左側の死体の顔を覆っていたシーツが落ちたんす。俺の隠れてたベッドの下からその死体の顔が良く見えた。それは……佐藤さんだったっす。生気のない、あれは死んだ人の顔だったっす!ほかの人たちも顔は見えなかったっすけど、布団から体の一部が見えていたっす。右側のベッドからは井上さんが左手に付けていた腕時計が。左側のベッドからは左利きだった田中さんが右手に付けていたミサンガが。俺が隠れていたベッドからは木本さんの独特な香水の匂いがしてたっす。あれは間違いなく退院したはずのこの部屋の4人の死体だったっすよ。……と言うことはっすよ。あとの2人ってのは……」
「……俺たち2人だって言いたいわけかタクヤ?」
俺はタクヤより先に結論を言った。
「は、はいっす!だから逃げましょう先輩っ!!今すぐに!!!」
その魔方陣が何を呼び出すものかはわからない。けど、何が出ようと出まいと関係ない。その魔方陣を完成させる為に殺されるなら……。
「……もしその話が本当なら、今すぐ逃げた方が良さそうだな。」
「だから最初から言ってるじゃないっすかっ!!」
俺たちはこの病院を抜け出す事に決めた。
「こっちっす先輩!」
タクヤは俺を先導して走る。
「っ!」
手術を受けた腹が痛い……。傷口じゃなく、溜まったガスの方だ……。まだ出てないんだ。でも、そんな事言ってられない!
「大丈夫っすか先輩?」
タクヤにいらない心配をさせないよう無理に笑顔を作る。
「問題ないぜ!でも……」
俺は進んでいる方向に疑問を抱く。この方向って?
「なぁタクヤ。こっちってあのエレベーターのある方向だろ?出口は逆じゃねーか?」
するとタクヤはその質問が想定内であったように、滞りなく返事をする。
「そうっすよ。入り口から逃げたらすぐに捕まるだけっす。俺、見つけたんすよ。あのエレベーターで霊安室に行った時に、裏口を。そこから逃げたら間違いないっす。」
俺は、霊安室って地下だよな?地下に裏口ってどういう事だ?って一瞬思った。でも、タクヤがあまりにも普通に言うもんだから、それを信じてしまったんだ……。
「このエレベーターだな?」
エレベーターの上部の階層を示すライトは4とBしかない。今はどちらも光っていない。
俺はそのエレベーター横に設置されている1つしかない▽ボタンを押す。
カチ……カチ……カチ、カチ、カチ……
おかしい。光らない。
「あれ?動かねーぞ。なぁタクヤ。やっぱりこのエレベーターは使われてねーんじゃ……?」
「あっ、先輩。俺が押せば大丈夫っす。」
タクヤはそう言って▽ボタンを押す。すると、ボタンは光を放ち、エレベーター上部のBのライトが点滅する。
ブーン……とエレベーターの動く音。Bのライトが消え、4が点灯する。
▽ボタンのライトが消え、チーンと音がするとエレベーターの扉が開いた。
「行きましょう先輩!」
タクヤに続いて俺はエレベーターに乗り込む。
エレベーターが下がる。腹が痛い……。
チーン。
扉が開く……。すると、エレベーターの中から地下階に向かって、モクモクと瘴気のようなものが流れ出る……。
「……ごめん。」
俺は言った。腹に圧がかかって溜まってたもんが出ちまった……。
鼻をつまんだタクヤは無表情で、
「ま、誰にもある事ぜよ。退院おめでとう先輩。」
と言った。
「……ぜよ?」
俺はタクヤの言葉に違和感を覚えた。
「さぁ早く!こっちっす!」
そんな疑問を吹き飛ばすようにタクヤは大きな声で俺を呼ぶ。タクヤはある扉の前に立ち、ドアノブを握っていた。
見たところ、この階にはエレベーターの扉とその扉しかない。
扉の上には木の板が打ち付けられていて、何か書いてある。部屋の名前なんだろうけど、古びていて読めない。
俺が辺りを確認している内に、タクヤはドアノブを回し扉を開ける。中は真っ暗だ。
「お、おい、待てよ。その部屋ってさっきのお前の話からすれば霊安……」
「……裏口、こっちなんすよ。」
俺が話し終わるのを待たずに、タクヤはそう言って俺の手を引っ張る。
……凄い力だ。俺は踏ん張ったが1秒すらその場に留まることは出来なかった。
「うわぁっ!!」
俺は霊安室であろう、その真っ暗な部屋の中に転がり込む。
ドン!
俺はベッドの脚にぶつかり止まる。
ベッドの上から何かがダランと垂れ下がり、俺の鼻先に触れた。
「ギャーッ!!!」
そこで電気が付く。俺の鼻先に触れたのは、誰かの手だった。
「なんだ。手か……。」
俺はその手を払う。が、その手の冷たさにびっくりする。
「な、なんだ?」
慌てた俺は、力任せにその手を自分から遠ざけるように突き放す。
ガサ…。
ベッドの上から何かがのぞく。それは誰かの後頭部だった。そして、その首がグルンと横を向いた。
血の気のない頬。瞳孔の開いた目。紫色の唇。それは死んだ人間の顔だった。
「…………っ!!」
俺は驚きと恐怖で声が出ない。
すると、入り口付近から声が聞こえる。
「だから、さっきも言ったぜよ。それはおんしの隣のベッドにおった佐藤さんの死体ぜよ……。」
「え?」
俺は死体の顔を見る。確かに佐藤さんだった。
それより、さっき喋ったのは誰だ?
聞いた事のある声だった。でも、あの喋り方って、どこかの方言だよな……?
俺は立ち上がって入り口を見る。そこに立っていたのは、やっぱりおれが思っていたやつだった。
「タクヤ……。」
俺は名前を呼んだ。
「フフフ。わしをタクヤ言うガキやと思うちゅうがか?」
タクヤは笑いながら言った。
「おい、何だよ、その喋り方!ふざけんなよな。」
俺は言った。しかし、平静を装おうとするが、声が震える。目の前のタクヤに絵も言われぬ恐怖を感じる。
「なんや?震えちゅうがか?先輩。」
タクヤの顔を持つ男は口の端を釣り上げて笑う。俺は知らず知らずのうちに叫んでいた。
「お、お前は誰だっ!!」
「ほう。わしがタクヤやないのがわかったがか?それはすごいのう。」
そいつはニヤニヤと笑っている。
「おい!タクヤをどうした?」
俺が聞くと、そいつは1番奥のベッドを指差す。
「……そっちのベッドの中じゃ。ただし……。」
そいつは歩き出す。そしてタクヤがいると言ったベッドの上の布団を掴み、剥ぎ取る。
「首はもらい受けた後じゃきに、もうないがのうっ!!」
俺の目に、首のない死体が映る。胸には、バンドが巻かれている。肋骨固定用のバンドだった。
タクヤだ……。
ウゲェ……
俺は吐いた。俺の精神は、もう首の皮一枚で繋がっている状態だった。
「な、なんでこんな酷いことを……?」
俺の目から涙が流れる。確かにタクヤは鬱陶しかった。けど、俺も本当は入院なんて心細かったんだ。タクヤ、お前がいたからこの入院中、不安になる暇すらなかったよ。ありがとう。そして、俺が仇を討ってやる。
「うおぉォォーー!!」
そいつに殴りかかる俺。もちろん喧嘩なんかやった事ない。殴り方なんて知らない。でも、不良マンガなら読んだ事はある!
俺は右拳を振りかぶって顔面に向かってパンチを放つ。
しかしタクヤの顔の男は、いとも簡単に俺の拳を掴んだ。
「おうおう。もう終わりぜよ?」
余裕を見せ笑うタクヤの顔の男。
不良マンガなら、こんな時は!
俺は更に踏み込んでそいつの鼻っ柱に頭突きを食らわす!
が、もちろん当たらない。右手で顔を掴まれ、ベアークロー状態だ。
「痛ててて、クソッ!」
俺は唾を吐く。そいつに当たったかは見えない。でも、顔に食い込んだ指が少し緩む。
こうなったら不良なら必ずやる奥の手を使うしかねーっ!
俺は、右脚に全力を込めて相手のあの部分目掛けて蹴り上げた。
「金的だーーーーっ!!」
ガッ!
俺の振り上げた右脚は、あの部分に当たる事はなく、地面に足の裏をつけていた。しかも甲を踏みつけられている。
バキバキと骨の折れる音がする。
「うがぁァァッ!!」
俺は足の甲を抑えて床を転がり回った。
「お、お前、こんな事して一体何が目的なんだ?」
俺は弱々しい声で言った。そいつは答える。
「復活ぜよ。」
「復活?」
そいつは服を脱ぎ、上半身を見せる。しかし……、本来あるはずの胴体の部分がない。
「なっ!!」
俺の驚く顔を眺めながら笑顔を浮かべるタクヤの顔。いつも見ていたはずの顔が、全く見たことのない表情を浮かべている。その口が開かれる。
「……床に描いちょる魔法陣はフェイクよ。本当の魔法陣はわしの体自身。おんしの胴体が収まれば魔法陣は完成し、わしはこの世に復活する事が出来るぜよ。」
「お、お前は誰だ……?」
俺は震える声で聞いた。
「わしか?わしは魔人。魔人・坂本龍馬ぜよ。」
坂本龍馬?あの偉人の坂本龍馬なのか?
俺は戸惑いながらも言葉を絞り出す。
「もしあんたが坂本龍馬さんなら、復活して何をするつもりなんです?もし何か……大政奉還のような偉大な何かを成し遂げるために復活するってんなら、こんなやり方間違ってんでしょう?」
坂本龍馬は神妙な面持ちになり、こう答える。
「……おんしの言いたい事はわかるち。わしも心が痛いきに。じゃが、仕方のない事なんじゃきに。わしがやろういうがは世界の洗濯ぜよ。それには、増えすぎた人類を淘汰する必要があるぜよ。」
ニヤリ
タクヤの……いや、坂本龍馬の口元が残忍な笑みを浮かべる。
世界の洗濯?淘汰?確か坂本龍馬の名言に日本の洗濯ってのがあったよな……。
俺がそう考えていると、坂本龍馬は急にこう言い放った。
「……もうおんしとの話も飽いたぜよ。」
そう言って手刀を振るう……。
その手刀は、鋭利な日本刀のように俺の首と四肢を胴体から切り離す。俺の体はバラバラと床に散らばった……。
「……さて、わしが復活した後は誰を復活させちゃろうかのう?第六天魔王・織田信長か?いや、第六十四天魔王・昭和天皇も捨てがたいのう。海外なら魔人・ビンラディンも生前からなかなかの魔人ぶりじゃったときくが……。」
薄れゆく意識の中で、俺の耳が最後に聞いたのは坂本龍馬のそんな独り言だった……。
あれからどれくらい時間が経ったのだろうか?
俺は目を覚ました。目を覚ました俺が初めに目にしたのは、床にバラバラに散らばった俺の四肢。
「なんだよこれ……?」
とりあえず声が出せる事は分かった。
次に俺は手を動かそうとする。
…………動かない。
そりゃそうだ。バラバラだもんな。繋がってないんだもんな。
多分だけど、俺は首だけになっている。そして、辺りに散らばる手足は2本づつ揃っている。しかし胴体はない。俺の後ろ側にない限りは……。
だが、俺にはなんとなくわかるんだ。
「あの坂本龍馬に取られたんだな。胴体……。」
で、これからどうしよう?
頭を揺すって顔を下になるようにすればなんとか顔の筋肉や舌で動けるかも知れない……。
でも、床舐めるの嫌だな……。
そこで俺はふと気付く。
「あれ?そういえば腹、減らねーな。」
違うな……。食ってんだ俺。いや、俺は食ってねーんだけど、あいつが食ってんだわ。俺の胴体を使って。って事はアレか?俺の心臓も動いてんのか?だから俺、首だけでも生きてんのか?
その推理が正しいかはわからない。でも、それが俺の希望になった。
「なら、あいつから……坂本龍馬から俺の胴体を取り戻せば、また普通の人間に戻れるチャンスはあるわけだ!よしっ!なんとかこの状況を打破してあいつのとこへ行ってやるっ!!」
その時、その強い思いが俺の右人差し指をピクリと動かしたのだが、俺はまだ知らなかった。それは、俺にサイコキネシスが発現した瞬間だった……。
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