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異世界召喚は午前零時~神子は辞退し還りたい!  作者: 春賀 天(はるか てん)
【第一章】午前零時~目覚めた先は異世界でした
8/21

【3ー③】四神の神子とオマケ神子

【3ー③】




するとそんな(わたし)背後(はいご)から(まわ)()むように(しろ)(ふく)の、これまたイケメンアイドル(けい)美少年(びしょうねん)が私をジロジロと観察(かんさつ)してくる。



ーーうわっ、(なに)? 今度(こんど)は白い(ほう)のイケメン(くん)? っつーか、そんなにジロジロ()ないでぇぇ。



まるで珍獣(ちんじゅう)でも見るかのような好奇心(こうきしん)旺盛(おうせい)視線(しせん)から(のが)れるべく()()わせまいと(かお)(そむ)けていると、突然(とつぜん)(かれ)が「お()!!」と自分(じぶん)の手を私の(まえ)()()してきたので、(おも)わず「ワン!!」と()ってワンコのように自分の手を彼の手の(うえ)()せる。



………あ~私ってかなり頭が回ってるなあ。でも「お手」とか言われたら、なんとなく条件(じょうけん)反射(はんしゃ)(てき)に手が出てしまった。だってお約束(やくそく)?みたいな?



そんな私の反応(はんのう)に白いイケメン(くん)()き出すように(わら)い出した。



「ぷっ、あはははは! 何コイツ面白(おもし)れぇ。『大熊猫(おおくまねこ)』じゃなかったのかよ。しかも「ワン!!」って、それは『(いぬ)』だろーが」



その(もの)言いには少々(しょうしょう)カチンときたので、すかさず反論(はんろん)する。



「あ、あんたがいきなり『お手』とか言うからでしょ。だからつい思わず(くち)に出ちゃったのよ! しかも見るからに年下(としした)のくせに大人(おとな)をからかうものじゃないわ!生意気(なまいき)よ!」



そう言って私は白いイケメン君の頭をゴツンと一発(いっぱつ)殴る。………う~ん、()っぱらっていると(いきお)いに(まか)せて何でも出来(でき)ちゃう。これがシラフの(とき)なら他人(ひと)(さま)を殴るなんて絶対(ぜったい)に出来ないもん。



()ってぇ! 何すんだよ! (いや)なら反応しなけりゃいいだろ。それをあんたが乗ってきただけだろうが。しかも(おんな)のくせに(さき)に手が出るって()ずかしくねーのか? それも千鳥足(ちどりあし)の酔っぱらいとか、そんなんじゃ、どこにも(よめ)(もら)い手が()ぇぞ?」



ーーくぅっ、このクソ坊主(ぼうず)めぇぇ。自分は(わか)いピチピチイケメンだからって何言っても(ゆる)されると思うなよぉ!



「う、うるさい! そういう(かんが)え方を男尊(だんそん)女卑(じょひ)っていうの()ってる? 女を馬鹿(ばか)にするヤツほど(うつわ)が小さくて出世(しゅっせ)出来ないんだから! それに今後(こんご)参考(さんこう)(おし)えておいてあげるけど、素直(すなお)従順(じゅうじゅん)可愛(かわい)い女には気を付ける事ね。そういう女こそ案外(あんがい)あざとくて(たち)(わる)かったりするから、あんたみたいなのが簡単(かんたん)(だま)されんのよ!」



私はもう一発、景気(けいき)づけ?に殴ってやろうかと(こぶし)()()げると、その手は(くろ)い服の(せん)(ほそ)(はかな)げなイケメン美人(びじん)にそっと手を取られて制止(せいし)されていた。



異世界(いせかい)神子(みこ)殿(どの)貴女(あなた)がご気分(きぶん)(がい)されるのはもっともです。ですがどうかそのお(いか)りをお(しず)(くだ)さい。この『白虎(びゃっこ)(おう)』は一国(いっこく)君主(くんしゅ)ではありますが、この(とお)りまだ若輩(じゃくはい)(もの)ゆえ大人の礼儀(れいぎ)というものを理解(りかい)出来ていないのです。ですから(だれ)(たい)してもこのような態度(たいど)を取ってしまうのです。それでもご気分を害される(よう)であれば、この者の言う事を(まった)無視(むし)されて(かま)いません。構わなければ大人しくなりますから」



そんなイケメン美人さんは少し(こま)った(うれ)いを(おび)びた(うつく)しい顔で、制止していた私の手を(つつ)み込むように(やさ)しく握る。



ーーうっひゃああ!! こ、ここにも目が()める様なすごい美人が!! しかも綺麗(きれい)な手が私の手を握ってるぅぅぅーーー



私は目を白黒(しろくろ)させながら、もはや意識(いしき)明後日(あさって)の方に()びそうになっているところで、握られていた手がスッと(はな)された。



「………どうやら私にも『反応』はありません。この御方(おかた)は『玄武(げんぶ)』の神子ではない様ですね。白虎王、貴方(あなた)の方はどうでしたか?」



するとムスッと(しか)(つら)をした白いイケメンこと、白虎王が不機嫌(ふきげん)にも(こた)える。



「ああ、俺にも『反応』は全く無いな。しかも殴られ(ぞん)かよ。まあ、ソイツが『白虎』の神子じゃなくて(さいわ)いだった。そうじゃなくても暴力(ぼうりょく)女の面倒(めんどう)はごめん(こうむ)る」



「なっ、あんたが先に(から)んできたんでしょーが。こっちだって生意気(なまいき)小僧(こぞう)はごめんよ!」



「はああ!? 小僧って、(おれ)はもう18歳だ! 子供(こども)じゃねぇ!」



「はん、18歳なんて私から見れば十分(じゅうぶん)にお子様ね。いいこと?ボクちゃん。人生(じんせい)先輩(せんぱい)であるお(ねえ)さまをあまり()めんじゃねーわ………うっ、うぇっぷ」



酔った頭に()がのぼったせいか、この目の前の少年というか、18歳にして(おさ)く見える白虎王のマントを(つか)んで(さら)説教(せっきょう)をしてやろうと自分の方にたぐり()せた瞬間(しゅんかん)、先ほどから言葉(ことば)(まく)()てていた事もあり、(きゅう)()から(あが)ってくる()()(おそ)ってきた。



「………ううっ、気持(きも)(わる)ーーー」



「は? ーーって、おい!ちょっと()て!!」



「ううっ~ぅ、ま、待てないぃ~おっ、おえぇぇぇーーー」



「うわあああ!!」



(さけ)ぶ白虎王の(こえ)同時(どうじ)に私は彼の(じょう)(とう)なマントに胃の中のものを遠慮(えんりょ)なくリバース! とりあえず吐いてスッキリしたので更に遠慮なく手に掴んでいたマントで口をゴシゴシと()いて顔を上げると、驚愕(きょうがく)にうち(ふる)えた表情(ひょうじょう)で口をパクパクさせている白虎王と、


いち(はや)()()えを回避(かいひ)したのだろう少し離れた位置(いち)で私から視線を()らして(うつむ)く黒い服のイケメン美人の姿(すがた)が見える。そしてその後方(こうほう)で大笑いしているのは多分(たぶん)朱雀(すざく)(おう)という(ひと)だ。



ーーああ、や、やってしまった。で、でもまあ、いいよね? だってこれ全部(ぜんぶ)(ゆめ)だもん。



「………し、(しん)じらんねぇ。コイツ本当(ほんとう)に女かよ? いくら気が(つよ)いっていったって、黒姫(くろひめ)だってここまで(ひど)くはねぇぞ?」



「ちょっと!虎旺(こおう)! それってどういう意味(いみ)よ?」



それを聞いた黒姫が白虎王に近付(ちかず)く。



「だってコイツ、なんとなく雰囲気(ふんいき)とか性格(せいかく)なんか黒姫に()てるだろ? ーーって、そんな事よりコイツも実体(じったい)が『憑坐(よりまし)人形(にんぎょう)』なのに、どうして生身(なまみ)人間(にんげん)みたいに嘔吐(おうと)出来たりするんだよ! しかも()せぇし、どう見ても普通(ふつう)の人間と()わらないとか、一体(いったい)どうなっているんだ!?」



「………(ひと)つ言っとくけど、私の酒癖(さけぐせ)大変(たいへん)()い方よ。ーーまあ、どういう仕組(しく)みなのかは()からないけれど、私達は『人形』ではあっても、この世界では仮初(かりそ)めの(いのち)同様(どうよう)に仮初めの実体もあるみたいね。だからこうして外見(がいけん)普通(ふつう)の人間と寸分(すんぶん)も変わらないけれど、それでも(もと)精神体(せいしんたい)だから、こうして(たと)えるのは不本意(ふほんい)だけれど『(あやかし)』と同じ存在(そんざい)でまやかしの()(もの)にしか()ぎない。


同じ様な性質(せいしつ)ではあっても、現実(げんじつ)に実体()出来る応龍(おうりゅう)四神(ししん)のような神様達とはまた(ちが)うから、まだ神様の方がまやかしである私達よりもよほど人間に近いわ。実際(じっさい)、貴方達のような人間との(あいだ)眷属(けんぞく)(つく)れるし、(いま)思うと私からしてみれば応龍達が益々(ますます)(にく)たらしいわね」



黒姫が(ふか)いため(いき)をついて(かた)()としていると、中央(ちゅうおう)玉座(ぎょくざ)(すわ)る王様の声が()けられた。



「黒姫、本当にすまない。(われ)(すべ)て悪いのだ。この世界でそなたが子を()方法(ほうほう)(わず)かにでもあったにもかかわらず我の嫉妬(しっと)(しん)から、たとえ相手(あいて)が神であろうと我の最愛(さいあい)(もの)(たく)す事がどうしても出来なかったばかりに、そなたには非常(ひじょう)(つら)い思いをさせてしまった。この()(およ)んで()やんでも悔やみきれぬ」



どこか顔色(かおいろ)が悪く声色(こわいろ)にも(ちから)(はい)らない弱々(よわよわ)しい声の王様とは対照(たいしょう)的に黒姫が(おこ)って大きく声を(あら)げる。



「やめてよ!! 冗談(じょうだん)じゃないわ!! 私は貴方との子供が欲しかったのであって、応龍や四神達の子供なんて全くもって(のぞ)んでない!! たとえ神であろうと(あい)してもいない(おとこ)と子作りするなんて、絶対にあり()ないわ! そんな事をするくらいなら一生(いっしょう)子供なんて()らない! それにそもそも応龍達だって断固(だんこ)として拒絶(きょぜつ)してたでしょう!? 


私はね、今のままでも十分(じゅうぶん)(しあわ)せなのよ。それなのにそんな馬鹿(ばか)げた事を後悔(こうかい)しているのなら、()ぐにでも貴方のそのくびを()め上げて私の手で『天の(くに)』へ(おく)ってあげるわ! そしてすぐさま私も(あと)()うからね!?」



「うっわ、前言(ぜんげん)撤回(てっかい)。やっぱり黒姫が酷えぇつ~か、一番(いちばん)()えぇよ」



「お(だま)り! 虎旺(こおう)!」






【3ー続】







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