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異世界召喚は午前零時~神子は辞退し還りたい!  作者: 春賀 天(はるか てん)
【第一章】午前零時~目覚めた先は異世界でした
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【3ー②】四神の神子とオマケ神子

【3ー②】




………一体(いったい)、なにが()こっているのだろう??


そんな(わたし)(あお)(ふく)(ちょう)イケメンお(にい)さんに(かか)えられたまま、なにやら(ひと)(あつ)まっている場所(ばしょ)まで()れて()かれている。そもそもこんなお姫様(ひめさま)()っこされているだなんて、たとえ(ゆめ)(なか)であっても「キャー役得(やくとく)」という(ふう)にはならないようだ。(からだ)無意識(むいしき)緊張(きんちょう)して硬直(こうちょく)してしまっている。


(おそ)る恐る目線(めせん)だけを(うご)かして見上げてみると、()()ぐに前方(ぜんぽう)()いている、やはり(ととの)った(かお)()ちの凛々(りり)しいイケメンの顔があって直視(ちょくし)するのも恐れ(おお)いその気品(きひん)(いそ)いで目線を(した)(ほう)(もど)す。



ーーちょっと、マジでヤバくない? 夢なのにスッゴいクオリティー(たか)いんですけど。そして私の(のう)ミソって『(かみ)』!? 


だけど何故(なぜ)に『三國志(さんごくし)』キャラなんだろ?  しかも背景(はいけい)古代(こだい)中国(ちゅうごく)っぽいんだけど『龍神(りゅうじん)』とか『召喚(しょうかん)』とかファンタジー要素(ようそ)まで(にじ)んでるし、まあ、夢の中だから(なん)でも()りっちゃ有りだけど、でも私ってそこまで想像力(そうぞうりょく)(ゆたか)かだったかなあ?



そして私を(かか)えているイケメンの(あゆ)みが()まったので、私は(われ)(かえ)ったように体を(ねじ)る。


「あ、あの、もう()ろして(くだ)さ~い。自分(じぶん)(ある)けるから~」



「あ、ああ、すまない」



私はそのイケメンが私を慎重(しんちょう)に下ろそうとするのを()たずして、とにかくこの()ずかしい現状(げんじょう)から(のが)れようと(あわ)てて体を(うご)かしたのが(わる)かった。()(ぱら)いの千鳥足(ちどりあし)(こと)をすっかり(わす)れていたのだ。(ゆか)に付いた足元の()()りがきかずに体がよろけて、そのまま転倒(てんとう)するーーはずだった。


しかしそんな私の背後(はいご)から誰かの手が転倒を(ふせ)ぐように私の(ささ)えている。



大丈夫(だいじょうぶ)か!? 神子(みこ)!」



それは(いま)、私の()(まえ)心配(しんぱい)そうな顔をしている私を抱えていた青い(服)のイケメンではない、(あき)らかに(べつ)人物(じんぶつ)だ。



「クスッ、駄目(だめ)だなあ、青龍王(せいりゅうおう)は。女人(にょにん)はもっと丁寧(ていねい)(あつか)わないと(きら)われてしまうよ?」



私の体を背後から抱き抱えるようにして支えながら()こえてくる(こえ)()り向くようにして見上げれば、そこには(あか)衣装(いしょう)をまとった、これまた超イケメンな王子様(おうじさま)魅惑的(みわくてき)()みを()かべている。



ひゃあぁぁーーウソでしょう!? ここにもまた超イケメン王子がっ!!



するとその赤い(服)のイケメン王子が私の方に視線を向けてニッコリと微笑(ほほえ)む。



「フフッ、(はじ)めまして。『大熊猫(おおくまねこ)』の神子殿(どの)具合(ぐあい)が悪そうだけれど大丈夫? 医師(いし)()ぼうか?」



「だ、だ、大丈夫です」



そんな赤の(服)イケメンの言葉(ことば)に、やはり目を合わせる事も出来(でき)ずに(うつむ)いたまま(くび)を横に振ると、黒姫(くろひめ)(くち)(ひら)く。



朱雀(すざく)王、天の神子に医師は必要(ひつよう)なくてよ? 私達神子はこの世界(せかい)では所詮(しょせん)憑坐(よりまし)』の()ですもの。それよりも貴方(あなた)、今『大熊猫』の神子って、もしかして、もう『属性(ぞくせい)』が()かったの?」



(じつ)はそうなんだ。黒姫がなかなか戻ってこないし、四神(ししん)がご機嫌(きげん)ななめで天に(かえ)ってしまいそうだから、ここにいる四人の神子達を(さき)確認(かくにん)してしまおうって事になってね。その結果(けっか)、ここの四人の神子達に私達の属性との『反応(はんのう)』があったってわけ。だから最後(さいご)(のこ)った彼女(かのじょ)が『大熊猫』って事。ちなみに私が彼女に()れても『反応』は無し。青龍王の方はどうだった?」



すると青龍王と呼ばれた青い(服)イケメンが首を横に振る。



「私にも『反応』は無かった。どうやら彼女は青龍の神子ではないようだな」



「そして朱雀の神子でもないーーとすると、(あと)玄武(げんぶ)白虎(びゃっこ)だけだけど………」



朱雀王と呼ばれた赤い(服)イケメンが私の背後を見つめると、青龍王と呼ばれたイケメンも同じく見つめている。そんな黒姫も(ちい)さくため(いき)をついた。



「ーーそう。そういえば応龍(おうりゅう)の方はどうしたの?」



黒姫の()いに青龍王が(こた)える。



「応龍は此度(こたび)の『召喚』で神力(じんりき)使(つか)()たして非常(ひじょう)(つか)れたから、後は我等(われら)(まか)せると。どうしても手に()えぬようであれば我を呼べと神像(しんぞう)の中で(ねむ)っているようだ」



そんな青龍王の言葉に朱雀王が笑いながら言葉を続けた。



「そうそう。応龍は属性の確認くらい子供(こども)でも出来(でき)るって。だから今回(こんかい)(おのれ)仕事(しごと)は天の神子をこの()に召喚する事でその大役(たいやく)を果たしたから後の事は私達の仕事だと言って天龍様は神像(しんぞう)の中で休息(きゅうそく)中。「神とはいえ万能(ばんのう)にあらず、なんでもかんでも神に(たよ)るな。人の子の事は人の子の中で解決(かいけつ)せよ」だって」



それを聞いた黒姫の眉間(みけん)(ふか)(しわ)()せられ(こわ)い顔で神像の方向(ほうこう)(にら)み付ける。



「ふん、出たわね。応龍の我儘(わがまま)が。ものは言い(よう)だけれど、(たん)自分(じぶん)面倒(めんどう)くさくなっただけでしょう? しかもなんでもかんでも神に(たよ)るな。ですって? 元々(もともと)この儀式(ぎしき)は応龍の(ため)にあるようなものなのに、無事(ぶじ)遂行(すいこう)されなければ(こま)るのは応龍じゃないの!


それに神は本来(ほんらい)、人の(ねが)いで()かされ存在(そんざい)する(もの)。人が神を(もと)めなくなれば、この世から神の存在が()える。だから頼られているという事は自分達が生きている(あかし)じゃない。それなら、もう少しこちら(がわ)協力(きょうりょく)的であって()しいわ!」



そんな黒姫に青龍王が口を開く。



「黒姫、貴女の(いか)りももっともだが、応龍自身も神力が(よわ)っている今、『召喚』という大きな神力を使った事で神とはいえど、その御体にはかなりの負担(ふたん)(かか)かって気力体力(とも)消耗(しょうもう)しているはずだ。だから少しでも応龍を(やす)ませた方が()いだろう。これからの事を(かんが)えても(まん)(いち)、応龍が消えてしまうような事だけは(けっ)してあってはならぬのだ」



「はあぁ………分かっているわよ。そんな事。(たし)かに神に(かぎ)らず、なんでも頼ってしまうのは依存心(いぞんしん)増長(ぞうちょう)にも(つな)がりかねないからあまり良くはないものね。だけどあまり応龍を(あま)やかさない方がいいわよ? 応龍は神様のくせにズルいんだから。しかもそんな事言っていたら貴方(あなた)もいい様に利用(りよう)されるわよ?」



(あき)れかえる黒姫に青龍王は小さく首を振る。



「私は人の子なれど、(ほこ)り高き四神が一族の末裔(まつえい)。そして天界(てんかい)(ちょう)である応龍は我等(われら)にとっての主君(しゅくん)。その応龍が望むのであれば、その()(したが)うは我が使命(しめい)。応龍の(やく)に立てるのであれば本望(ほんもう)だ」



「ははは、黒姫。青龍王にそれを言っても無駄(むだ)だよ。彼は応龍の熱心(ねっしん)信者(しんじゃ)だから」



「朱雀王の言う(とお)りね。まあ、それはともかく、貴方、いつまで彼女(かのじょ)を抱きしめているつもりなの?」



「抱きしめているではなく支えているって言って()しいな」



「それはどうかしら? どさくさに(まぎ)れて便乗(びんじょう)している様にも見えるけど」



「さすがに天の神子に(たい)してそれは無いかな? 私はこれでも一応四神の一族の長だし、そんな下心有りな不謹慎(ふきんしん)真似(まね)をすると(おも)う? それとも目の前で倒れそうになっている女人をそのまま見過ごせって事?」



黒姫達の会話(かいわ)に私はハッと我に返る。今まで黒姫と彼等の話をお(さけ)()いの回った頭でボーっとしながら聞いていたけれど、そういえばさっきから私、この赤いイケメンの朱雀王さんに背後からウエストに片腕(かたうで)を回されて支えられたままだ。



「うっひゃああ!! は、離して下さいぃぃ!」



慌てて朱雀王から離れようとするも彼はまだ私の体を離してはくれない。



「うん。離してあげたいんだけれど、でも大丈夫? さっきから見ていたけれど、歩くのもおぼつかないくらいフラフラしているから私が離したら、そのまま倒れそうだと思って」



朱雀王さんは愛想(あいそう)良くニッコリと私に笑いかけながら、すごく(やわ)らかな(やさ)しい口調(くちょう)で話すので、どうにも心臓(しんぞう)のドキドキがリアルに止まらない。ーーいや、止まったら()んじゃうケド、とにかく優しいぃぃ!! カッコいいぃ!!」



「だ、大丈夫。歩かなければ立てる! だからとにかく離して下さいぃぃ。ううっ、それでなくても人前で恥ずかしいぃんですぅ」



「そう? 分かった。それじゃあ、ゆっくり離すから足を床にしっかりとつけて立つんだよ? だけど転ぶと(あぶ)ないから一応(いちおう)、私の手を取っておこうか」



そう言って朱雀王は私の片手を(つつ)むように(にぎ)ると、ようやく私のウエストに回していた腕を離してくれる。しかもその間、私の頭の中は酔いと心臓から(つた)わるドキドキで大パニックだ。



ーーうっひゃああ!! イケメンと至近距離(しきんきょり)だけじゃなく、手、手ぇ握られてるぅぅ!!



そしてもし、今ここで転んだりなんかしたら(さら)に心臓に悪い事が続きそうな予感(よかん)がして、私は足に力を入れて床を()みしめる様に(こし)を少し落として、まるでバスケの相手(あいて)をガートするような体勢(たいせい)を取っていると、朱雀王が声を(ころ)して笑っている。



「クスクスッ、どうやら大丈夫みたいだね。『大熊猫』のお嬢さんは予想(よそう)以上(いじょう)面白(おもしろ)い人らしい。貴女が私の神子ではないのがちょっと残念(ざんねん)かな?」



朱雀王は愛嬌(あいきょう)を含ませた笑顔で小さく首を(かたむ)けると、私の手を「ごめんね?」と言って、そっと離してくれた。



ーー乙女(おとめ)キラーだ、この人。しかも女性の(あつか)いのかなりの手練(てだ)れと見た。それとは反対に青龍王さんはすごく真面目(まじめ)堅物(かたぶつ)っぽくて女性に不慣(ふな)れな感じ? だけど二人ともメチャクチャ、カッコいいぃぃ。


これってやっぱり私の願望(がんぼう)(いや、欲望(よくぼう)か?)が夢の中で具現化(ぐげんか)された姿なんだろうか??






【3ー続】








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