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終焉への反抗者《レジスタンス》Ⅱ  作者: 獅子王将
おてんば娘な後輩
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第14話『山中の遺跡』

ようやく更新。

遅れてすいませんでした…。

「はぁ……、まああるけど。丁度よさそうなのが」

「ホントですか!?」

「いいから落ち着きなさい」


柚葉の回答に、半ば興奮気味に机から身を乗り出す空。

場所は学園長室。莉緒にコテンパンにされてから数日が経ち、2年生の序列戦をもうすぐ迎える時期だ。

そのため学内、特に教師陣は慌ただしく動いていた。

勿論、学園長である柚葉も忙しくなっていたが、そんな中、〈空小隊〉が突撃してきたのである。




空たちが莉緒にコテンパンにされたあの日、予想通りというべきか、将真は結局紫闇に負けていた。

そしてリンと彩の模擬戦は、リンの惜敗という形で終わっていた。


「空さんも陸さんも、血の気が強いから飛び出しがちっすね。もう少し冷静にならないと。特に空さんは、別に前衛特化ではないですし、小隊長なんすから」

「は、はい……」

「次は気ぃつけます……」


莉緒の厳しい評価に、しゅんと項垂れる空と陸。ちなみに、莉緒自身はそんなに厳しいことを言ったつもりはなかった。


「海さんは流石に冷静っすけど、ちょっと力不足っすね」

「やっぱりですか……」

「とは言え、肉弾戦ということなら、空さんよりは十分強いんで、攻める心は大事っす。でも、応用力があるみたいっすし、2人のサポートに回るのもありかもしれないっすね」

「確かにそうですね」


海は、莉緒のアドバイスを素直に受け止める。

正直な話、自力や得意分野での特化に関しては、空や陸の方が上だが、まだ冷静になれないところが、自身の能力に蓋をしてしまっている。

対して海は冷静で、現状できることをきっちりこなせるタイプの魔導師だ。そしてそれは、この歳では非常に優秀な能力だ。


「そんで、晃さんはダメっすねぇ。実力はあるんでしょうが、とりあえず真尋さんを忘れてたら、人質取られておしまいっすよ」

「き、気をつけます……」

「真尋さんも。外での任務を受けようと思うなら、自衛できるくらいの強さは必要っすよ。リハビリ終わって間もないのは知ってるんすけど」

「う、うん、頑張ります!」


今度ばかりは莉緒自身、少し厳しく言ったという自覚のある言葉だった。

自身の迂闊さを素直に受け止める晃。真尋も、自身の実力不足を理解しているようだった。


(まあ、まだ始まったばっかっすからねぇ、こんなもんなのかも……)


多少は先輩らしく指導ができただろうかと、莉緒は珍しく悩むが、そこは彼女らしく、すぐにすっぱり悩むのをやめた。


(どうせ優秀な子たちばかりっすから、あんまり心配することもなさそうっすね)


だが、その中で空は、この時の自身の実力に深刻さを感じていた。

このままではいけないと。

そうして数日間、外での任務を繰り返し、ある程度の実績を積み上げたところに、学園長に直談判しに行くことに決めたのである。


遺跡の探索任務に行かせてほしいと。




「〈日米魔導大戦〉の時にね、偶然見つかったのよ。この近辺に」

「え?」

「近辺って……、もう十分探索が済んで、新しい遺跡はないと思ってたんですけど」

「まあ、そのつもりだったんだけどね」


大戦の余波を受けて山肌が崩れた結果、偶然にも見つかった遺跡らしい。

確かに、わざわざ崩さなければ見つからないような入口を入念に探すような真似はしない。時間も人員も無駄だからだ。

ぶっちゃけると、棚からぼたもちだったのである。


「ここの遺跡、1階層は多少探索して切り上げているのよね」

「探索済みなんですか?」

「なんで途中で切り上げたんすか?」

「あなた達みたいな移籍探索したがる学生に回すためよ。探索の結果、難易度はそこまで高くないことがわかっているし」


遺跡、といっても、色々と種類がある。


最も数が多く、危険性が高いのは〈地底型〉と呼ばれる遺跡である。

文字通り、地底へと向かって降りていくタイプの遺跡で、階層の深さは予測困難。さらに、下れば下るほど、魔属性魔力に侵された龍脈に近づくことになり、番人が出なくとも、十分危険な環境なのだ。

勿論、周囲の魔力の影響もあり、番人の強さも相当なものだ。


逆に最も容易く危険が低いのは、〈建造型〉と呼ばれるものだ。

これは、地上に何らかの形で建造された移籍であり、最も大きなものでもピラミッド、それも階層は最大で7階層程度だ。

〈地底型〉ほど魔力の影響も受けてないので、出てくる魔物や番人も、想像の範疇に収まる強さである。

だがこのタイプの遺跡は、簡単に攻略できるがために、既に調べ尽くされていた。

今では最早、行く意味は無い。


そして、今回見つかった〈洞窟型〉。

山の中腹などで見つかり、下へと続くか上へと続くかで、難易度が変わる。

下へと続く場合は、〈地底型〉と同じような理由で、〈地底型〉の次に危険な場所となる。

ならば上は安全かと言われると、必ずしもそうとは限らない。

山が高ければ、階層がいくつも重なっている可能性があるし、山の頂上に遺跡の一部が隆起していれば、それは〈洞窟型〉において、最も危険な場所となりうる。

だが、今回の遺跡は上に続いていることが既にわかっていて、山の標高はそこまで高くない。加えて、頂上に遺跡の一部が隆起している様子もない。

これは、〈洞窟型〉の遺跡において、最も難易度が低いタイプだ。


「予想だけど、階層は4~7階層。5階層以降があれば、〈ブレイン〉とか呼ばれてる番人が出てくるけど、まああなた達の実力なら、これは問題ないでしょう」

「強いんですか?」

「まあそこそこ強いんじゃないかしら。とはいえ、5階層で〈ブレイン〉を見かけるようなことがあれば、ちゃんと報告を入れなさい。そいつがいるってことは、5階層以降があるってことなんだから」

「……わかりました」


含みのある沈黙のあとに、空は素直に了解した。

遺跡の危険性は、空たちも勿論ある程度は理解している。あとは行ってみないとわからないが、柚葉も無茶はしないだろうと、今回の遺跡探索は〈空小隊〉に任せることにした。


「それじゃあ、任務決行は明日の朝ね。それまでは体を休めて、明日に備えなさい」

『はいっ!』


元気のいい返事をすると、空たちは足早に学園長室を出ていった。

その様子に、柚葉は苦笑いを浮かべていた。


「今日出発って訳でもないのに、はしゃいじゃって……。それじゃあ最後までもたないわよ」


などと呟きながらも、実力のある彼らのことだ、間違いはないだろう。

柚葉は、そう信じていた。




翌日。

他の生徒達はホームルームを初めるころだが、〈空小隊〉は、早速遺跡の探索任務へと出発しようとしていた。


「遅くても一日で十分帰って来られる程度らしいから、サクッと終わらせるわよ」

「おうとも」

「出来ると言われた以上は、任務完遂しなくちゃね」


そうして意気揚々と〈日本都市〉を出た3人は、途中何度か魔物との戦闘はあったものの、魔族や魔獣と遭遇することはなく、スムーズに進んでいた。

丁度いいウォーミングアップになったのである。

サクッと攻略する、と言った割にはその足取りは焦らずのんびりで、昼をすぎた頃になってようやく、目的の山へと到着した。


以前、将真たちが全力で走って、半日足らずで〈日本都市〉から自警団の南支部に到着したこともあったが、普通はそんなにとばすことはない。

無理をして、本命で体が動かないとあっては、元も子もないのだ。


山を登っていくと、目的と思われる洞窟の手前まで来て、少し離れた位置から中をのぞき込みながら、唾を飲み込む。

初めてということもあって、緊張はしている。恐れも少なからずある。

だが、ここまで来て、行けると太鼓判まで押されたのに、ここで引く選択肢はない。


そして、中に踏み込もうとした時、空は忘れてはいけないことを危うく忘れかけていた。


「危ない危ない……っと」


そう呟いて、空は得意魔術〈クリティカル・レイ〉を発動する。その数は十。だが、それを今すぐに使う訳ではなく、いざと言う時に取っておくのだ。

光属性の魔力は、洞窟や夜といった、闇の中では使用に過度な負担がかかるのだ。

発動した〈クリティカル・レイ〉の元となる光の玉は、彼女が持ってきた魔導具の瓶の中に入れ、腰のポーチにしまう。

これで、洞窟内に踏み込んで、光属性の魔力が使えなくても安心だ。


「……よし、行くわよ!」

「おう」

「行こう」


威勢のいい掛け声の割に、恐る恐る洞窟内に足を踏み入れる。すると情報通り、どこから止めなく現れた遺跡の番人(ガーゴイル)が、無数に湧き始めた。




「__これが、遺跡の〈心臓コア〉か」


一人の男が、台座の上の赤く輝く鉱石を見て、ポツリとこぼした。

その手を〈心臓コア〉に伸ばして触れようとした男の背後から、少女の声が聞こえてきた。


「__マスター。遺跡の〈心臓コア〉の破壊は推奨しません」

「マスター。遺跡の〈心臓コア〉は残しておくことを推奨します」

「マスター。我々の邪魔をする者達への障害物として使うのが有効的だと思われます」

「……そうか。ならば残しておくか」


背後からかけられた、幾つもの、但し全てが同じ少女の声に窘められ、男は伸ばした手を引っ込めた。

そもそも、手を近づけた時点で、〈心臓コア〉には結界が張られていることには気がついていたが。


男は、自身をたしなめた少女たちの方を振り向く。

そこに見た光景は、おそらく魔導師が見れば驚くことだろう。

数百人にも及ぶ、同じ容姿をした少女たち。彼女達の強さもまた、同等だった。


「〈外道〉に借り受けた戦力だ。大事に使わねばな」


男は、少女たちを連れていくように指示した、とある人物を思い出す。


(しかし、相変わらず〈大賢者〉の考えることはよくわからんな。彼女らの言う通り、〈心臓コア〉は残しておくが得策かもしれんが、正直俺たちのような魔族には相性が良くない)


さらに彼の者は、この遺跡を次の作戦のための仮拠点とするつもりらしい。


とはいえ、相手は格上。それに、考えることは分からなくとも、その人物が言うことは、無駄になったことは無い。

故に、逆らう理由はなかった。


「__さあ、俺達も仕事の準備に取り掛かるとしようか」


この時、男はまだ、〈空小隊〉が遺跡に入ってきたことに、気がついてはいなかった。

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