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今日から僕は 97

「しかし、明石中佐が動くことは……」 

「まああれだ。一応タコの奴は胡州海軍関連の人脈が使えるからな。今回は、火はつけました、が風向き変わって丸焼けになりました、と言うわけにもいかんし」 

 そう言いながらタバコをふかす嵯峨。

「そんな怖い顔で見るなよ。俺は気が小さいんだから」 

 準備良く携帯用の灰皿も取り出してタバコを収めた。

「そうだ神前の。ちゃんと特訓してもらってるか?」 

 嵯峨は再びつけたタバコの火を見つめながら一息つくとそう切り出してきた。

「まあなんとかやってますが、剣一本じゃ何も出来ませんよ」 

「まあ普通の戦い方してたら勝ち目がないのは分かっちゃいたけどね」 

「分かっていたなら教えてくれてもいいじゃないですか!」 

 タバコの煙が室内に充満してきた。

 さすがに耐えられなくなったのか、要もポケットからタバコを取り出して火をつける。

「法術兵器はまだ実験段階だからな。あのダンビラだって菱川重工からの借りもんだ。そっち系のマニュアルは確かシミュレーターに積んであるって吉田から聞いたんだが……」 

「吉田少佐とは殆ど会っていないんですが……」 

「まああれだ。戦闘行動ってものがどういうものかってのが分かっただけで良しってことで」

「叔父貴……そりゃちょっと酷くないか?これからアタシとカウラが付き合うからな」 

「西園寺さん……」 

 手を伸ばして感謝を示そうとする誠の手を振りほどくと、要は頬を赤らめながらそっぽを向く。

「別に……アタシはお前の事なんかどうでもいいんだが、目の前で死なれちゃ寝覚めが悪いからな!」 

「西園寺。貴様の気持ちなどどうでもいいことだ。それでは隊長!私達はシミュレーションルームへ行きますので!」 

 カウラが素早く敬礼をして歩いていく。

 それにつられて誠も敬礼の後その後に続く。

「ったくカウラの奴が。ゆっくりタバコも吸えねえや!」 

 要はそう言うと嵯峨の手にある携帯用灰皿に吸いガラをねじ込んだ後、不愉快そうに頭をかきながら出て行った。

「良いんですか?隊長。神前君は未だ法術系システム起動までのエネルギー調整が出来ないみたいですが……」 

 ヨハンが心配そうにタバコを燻らせている嵯峨を見つめる。

「なあに。俺は自分の勘には自信があってね。それに今回のミッションはあの二人がついててくれれば誠も死ぬことはないだろ」 

 そう言うと肺の中にたまっていた煙を大きく噴出した。



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