表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/167

今日から僕は 68

「やめろー!アイシャー!」 

 抱きつかれてシャムはじたばたと手足を動かしている。

「アイシャ、ブリッジの方はいいのか?」 

 カウラがそう言ったのでアイシャはシャムから手を離すと、頭を撫でながらカウラに向き直った。

「ああ、私の仕事はしばらくなさそうだから」 

「おい吉田の!オメエこんな所でシャムと遊んでていいのか?」 

 相変わらずタバコをくわえたまま要が話しかけた。

「ああオヤッサンなら茶室で許大佐と鈴木中佐、それにマリアとタコ中相手に作戦の説明してるとこだよ」 

 ガムを噛みながら呆けた調子で吉田はそう言った。

「それをシステムで外から監視してると。ホント性悪人形だな」 

「うるせえ!それよりお前等から質問が無いのがなんと言うか……正直、情けないな」 

 悠然と構えて吉田は要をにらみ返す。

 要は見事にその挑発に乗って残忍そうな笑みを浮かべた。

「んだと!この野郎!どうせ演習場でなんかやべえこと……」 

「だからそのやばいことがなんだか推測ぐらいつけてみろってことだよ」 

 噛んで含めるように吉田はそう言った。

 誠は先日の嵯峨からの言葉を思い出していた。

「じゃあ鈍い要でも分かるようにヒントをやるよ。まず、食堂に運ばれたキャベツの箱の製造元は?」 

「遼南中央高原夏キャベツだな」 

 要が忌々しげにそう漏らす。

 吉田はニヤリとして一つ間をおいた。

 その間がさらに要を苛立たせる。

「次のヒントだ。シャム!お前の山岳レンジャー教習の教え子から連絡届かなかったか?」 

「ええとねえ。近衛騎士団の子から元気でやってるってメール着てたよ!」 

「吉田!何で遼南の青銅騎士団と……!」 

「計ったな。隊長は」 

 要とカウラが目を合わせた。

 遼州最強と呼ばれるアサルト・モジュールで編成された精強部隊、近衛第一騎兵隊、通称『青銅騎士団ブロンズナイツ』。

 現在アステロイドベルトでの演習を行っているというのは新聞の記事にも出ていた。

「アタシ等の演習時にわざわざ遼南の大規模演習……近衛師団はおとりか?」 

 要がポツリと漏らした。そして暗い顔でさらに続けた。

「今回の演習はカモフラージュで狙いは国権派の首領、近藤忠久中佐・・・か」 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ