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今日から僕は 67

「新入り遅えんだよ!」 

 食堂にキャベツの箱を持っていこうとする誠に要が吐き捨てるようにそう言った。

 誠は不安に思いながら振り向いたが、要は別に機嫌を損ねているようには見えない。

「また叔父貴がなんか持ち込んだんだろ?まったくあの不良中年が!今度は何をやろうって言うんだ?」 

「沖取り新鮭でちゃんちゃん焼きをやるとか……」 

 誠がそう口走ったのを見るや、要は今度は明らかに不機嫌な表情を見せる。

「あの馬鹿隊長が、今度はピクニックにでも出かけるつもりか?」 

「あの人にとってはそのくらいのものなのだろう。箱持とうか?」 

 要のうしろからカウラが手を出してキャベツの箱を受け取ると、炊事班の下士官に置く場所の指示を仰いでいた。

「どうせ今回の演習もなんかたくらんでるんだろうな。まあ退屈しないからいいけどよ」 

 カウラの態度で怒りの矛先が無くなり、要は淡々とそう言うと食堂の椅子に座ってタバコをつけようとした。

「ここ禁煙みたいですよ?」 

「うるせえな馬鹿野郎!分かっとるわ!そんなこと。ただくわえてるだけだよ!」 

 要はいらだたしげにそう口走った。

 調理場から戻ってきたカウラがその様子を呆れながら見つめている。

「んだ?小隊長さんよう。まあただの演習であることを祈るねえ。前の隊長のシンの旦那より有能かどうか、安全な形でちゃんと白黒つくだろうからな」 

「それなら実戦の方が分かるんじゃないのか?」 

「何言ってんだか!新米隊長に使えない新入りをつれて敵さんの所になんぞとてもとても……」 

 要がカウラに向かって挑発的な視線を送る。

 カウラも負けずににらみ帰す。

「あー!またあの二人喧嘩してるー!」 

「馬鹿!せっかくここからがいいところなのに叫ぶんじゃない!」 

 誠が振り返るとシャムと吉田が目を輝かせてこちらを見つめていた。

 要もカウラも野次馬の奇声に飲まれたようにお互い威嚇するように一瞥した後、目を逸らした。

「神前少尉!とりあえず部屋を教えておこう」 

 カウラはふくれっつらの要を置いて、誠をつれて食堂を出た。

「喧嘩はいけないんだよー!」 

「馬鹿、喧嘩するほど仲がいいって言うじゃないか」 

「ああそうだね!じゃあカウラは要のこと好きなんだ!」 

 シャムの気軽に言ったその言葉に、カウラはキッとしてシャムをにらみ付ける。

 その剣幕に恐れをなして、シャムが悲しそうな顔を作った。

「アタシの方がお姉さんなんだぞ……年上の人をいじめちゃだめなんだぞ……」 

 シャムはそう言いながら吉田の後ろに隠れる。

「よしよし怖いねえ、でもその顔もミニマムでかわいいねえ!」 

 いつの間にか来ていたアイシャがシャムをぎゅっと抱きしめた。



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