今日から僕は 60
「しかし、良く食べますねシャムさん」
誠はもう二玉、豚玉を食べ終わり、三つ目が焼けるまでのつなぎで、たこ焼きを食べているシャムを見て、心の底からの声を発した。
「ただでさえチビなのに、これ以上食ったら太るぞ?」
要はグラスを傾けながらそう言ってみせる。
「大丈夫だよ!シャムは元気に動いてるから!」
シャムは気にする様子も無く、たこ焼きを頬張った。
「え?育ってないって?」
いったん潰れたと見えたアイシャがのそりと起き上がった。
「あ。復活した」
サラがそう言うと烏賊玉を口に運ぶ。
「余計なことするんじゃない」
要とカウラは復活したアイシャを見て思わず口を滑らす。
「いいもんね、どうせアタシなんか……!」
脈絡も無くアイシャはシャムのところまで匍匐前進していく。
「何する気だ?」
要は面白そうにその有様を見ている。
「ミニマム!」
そう叫ぶとアイシャは今度はシャムに抱きついた。
「邪魔だよアイシャちゃん!食べられないよ!」
「ご飯はもういいから!一緒に飲もうよ!ねえ!」
アイシャはシャムに抱きつきながら吉田のグラスをかっぱらうと、一気に飲み干してまた倒れこんだ。
「明石中佐。妙に落ち着いてますけど、もしかして……」
誠は恐る恐るにこやかに笑いながら酒をすすっている明石にそれとなく聞いてみた。
「まあいつもワレは潰れとったから知らんじゃろが、いつもウチの飲み会なんてこんなもんや。どうじゃ?驚いたか?」
我関せずといった調子で、明石は杯を進める。
ふと吉田のほうを見た誠だが、こちらもニヤニヤしながらシャムとアイシャを横目で見て酒を飲んでいるだけで、手を出すつもりなど無いようだった。
しかし、誠にとってそれ以上に引っかかるのは菰田の舐めるような視線だった。
明らかに敵意をむき出しにして、こちらのほうを見ている。
先任下士官である菰田ににらまれて、誠はおずおずとビールをすするよりほかにすることも無かった。




