今日から僕は 58
春子が置いたたこ焼きをつつく明石の視線がアイシャに向かった。
「つまり次の演習が終わったら留守にするつうことやな?」
熱かったのか明石は冷酒を口の中に流し込む。
「そう言う事。まあ、東都の国防省の会議室で座学をするだけだから顔くらいは出せるわよ。まあ日程が空いたらコミケにも顔くらい出すつもりだし」
アイシャはあっけらかんとそう答える。
「演習ですか?」
島田、キム、菰田の視線が明石に集まる。
「今日、ヨハンが来れんのも搬入があるんでな。今頃は許大佐が仕切って特機全部ばらして新港まで運ぶ段取りしとるはずじゃ。そう言や島田の、お前仕事はどうした?」
たこ焼きを突いている島田に明石がそう尋ねた。
「たまにはヨハン・シュペルター中尉殿にもお仕事してもらわねえと不味いっしょ?それと姐御に野球部の飲み会があるって言ったら行って来いって言われたもんすから」
そう言う島田に要が流し目を送る。
「あれじゃね?明華の姐御はタコ中に気があるから……」
口にした日本酒を噴出しそうになりながらお絞りで口の周りを拭く明石。
「西園寺。誰がタコ中や!」
そう言うと証は落ち着いたようにカウラと要を見た。
「そうじゃ、神前が明後日からの演習の話し知らんと言うとったが、カウラに西園寺。お前等、話しとかんかったのか?」
顔を見合わせる要とカウラ。
「そういやあ言ってなかったなあ、カウラは?」
「入隊した時の書面一式の中にそのことに関する書類も入れてあったはずだ。見ていなかったのか?」
カウラが鋭い視線を誠に向けてくる。
「すいません。いろいろあったので」
頭を掻く誠を見ながらカウラは枝豆を口に運んだ。
「まったく。ちゃんと渡された書類くらい目を通しておけ」
そしてカウラは烏龍茶をすする。
「まあそう責めるなや。初めての配属部署じゃ、少しくらい緊張するのも当たり前じゃろ?神前の。まあ気にするな」
機嫌のいい明石はそう言って神前を慰めた。
「仕事の話はおしまい!先生!裸踊りはまだですか?」
少し出来上がっていたアイシャが誠にまとわりついてくる。
それほど飲んでいなかった誠は、当たってくる胸のふくらみを感じて視線を落とした。
「こら!テメエ何をするんだよ!」
誠にくっついて離れないアイシャを要は引き剥がした。
「なに?要ちゃん。あなたがいつも先生のコップに細工してべろべろに酔わせてたの知ってるのよ。さあ本心では一体何を期待して……」
要の顔にアイシャが迫る。
「馬鹿言うんじゃねえ!アタシは単純に好奇心で……」
言い訳をするように要は視線を落とした。だが、アイシャはあきらめようとはしない。
「そうかしら?ねえ?ホントにそれだけ?」
「うるせえ!酔っ払いは黙って寝てろ!」
要にもまとわり着こうとするアイシャに要はそのまま自分の席に移ろうとする。
それで勝機を感じたのか、アイシャはさらにべったりと誠に絡み付いてきた。




