今日から僕は 159
「アタシは・・・その、なんだ、何と言ったらいいか・・・アイシャが暴走しないようについてきたんだ」
「なんか吉田少佐が言うにはエロスな展開になってるって事だったけど、違うみたいね」
アイシャがそう言うと要がその顔を睨みつける。
サラと島田はなぜか二人してシャム特製の、原材料不明のジャーキーを食べながら缶ビールを飲んでいる。
「吉田少佐、覗いてたんですか?」
「まあこの船の監視カメラはすべて吉田君の脳につながってるから変なことしないほうが身のためよ」
リアナは久々に多数のギャラリーの前で電波な演歌を披露できて満足そうな顔をしていた。
「そう言えばカウラ大丈夫?」
サラがはじめてカウラを気遣うと言う真っ当な発言をした。
「馬鹿じゃねえの?アイツのは演技だよ」
そう言うと要はラム酒瓶をラッパ飲みする。
「知ってたんですか?」
一口酒を飲み、ようやく落ち着いた要に尋ねる誠。
「まあな。あのくらいで潰れるタマじゃねえよカウラは。それに吉田の馬鹿の覗き趣味もわかってるはずだ。どうせ人畜無害な世間話でもしてたんだろ」
「その割にはアタシやお姉さんを殆ど拉致みたいにして引っ張ってきたじゃない」
「アイシャ!外に出て真空遊泳でもして来い!もちろん生身でな!」
「助けて!先生!」
機会があるとまとわりついてくると言うアイシャの行動パターンも読めてきたが、一応上官であると言うところから黙って彼女に抱きつかれる誠。
顔を上げれば要が今にも襲い掛かってきそうな顔をして肩を震わせている。
「じゃあ行きましょうよ。お鍋のお肉硬くなっちゃうとシャムちゃんに悪いでしょ」
そう既婚者らしく場を仕切って、リアナがハンガーへのエレベータのボタンを押す。
「でもなあ、神前」
缶ビールを飲み干した島田が心配そうに呟く。
「あの吉田少佐の事だ、画像加工して菰田のアホを焚き付けるかもしれないな」
「それ、ありそうね。私もそれもらおうかしら。いいネタになるかもしれないし」
「アイシャちゃん駄目よ。私から吉田君には伝えておくから」
にこやかにしている割に、リアナの言葉が何となく恐ろしく感じて全員が吉田のこれから起きるだろう不幸を哀れんでいた。
「カウラちゃん大丈夫だった?」
ハンガーのある階で止まったエレベータが開くと、シャムとパーラが待ち構えていた。
「ああ、アイツはそう簡単にくたばらねえよ。シャムまだ肉あるか?」
そう言いながら、一向に誠から離れようとしないアイシャを要が引き剥がした。




