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137/167

今日から僕は 137

「神前少尉!ここから狙撃する。照準補助頼む!」 

 カウラはそう言うと主火器、ロングレンジ重力派砲を構える。

「分かりました!足はこっちの方が速いですから!」 

 そう言うと誠はさらに機体を急加速させる。

『間に合え!間に合え!』 

 火力重視の設計の火龍との距離は次第に詰まる。

 自動送信機能により敵機のデータは瞬時にカウラ機の下に届いた。

「右から落とす!」 

 カウラはそう言うと発砲した。

 最右翼の敵機の腰部に着弾。

 瞬時にエンジンが爆発し、その隣の機も巻き込まれる。 

「次!」 

 カウラは今度は左翼の機体に照準をあわせる。

「追いつきます!」 

「馬鹿!やれるものか!」 

「やって見せます!」 

 距離を詰め、サーベルの範囲に敵機を捕らえた誠は火龍の胴体に思い切りそれを突きたてた。

 白く光を放つサーベルは、まっすぐに敵機の胸部を貫き、さらに頭部を切り裂いた。 

『うわー!!』 

 一瞬だが、誠の脳内に敵兵の断末魔の声が響いた。

 誠の体が硬直した。

 死に行く敵兵の恐怖。

 それが誠の頭の中をかき回していく。

『止まるな!死ぬぞ!』 

 カウラのその思念通話が無ければ、誠の方が最期を迎えていたかもしれない。

 先頭を行っていた三機編隊の一機が引き返して誠機に有線誘導型ミサイルを発射した。

『干渉空間展開!』 

 ミサイルは誠の手前に展開された、銀色の空間に飲まれた。

「ぼさっとするな!後、三機だ!」 

 カウラの怒号がヘルメットにこだまする。 

「了解!」 

 自らを奮い立てるために大声で叫ぶ誠。

 急加速をかける誠機に、慌てふためく敵。 

『左の機体を叩く!残りは頼んだぞ!』 

 思念通話を閉じたカウラがライフルを構える。

「一気に潰す!」 

 誠は自分に言い聞かせるようにして、真ん中に立つ背を向けた敵機に襲い掛かった。



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