今日から僕は 121
「マサトー!久しぶりね。どうなってるのかしら?整備班の方は」
甘えるような調子で赤い髪をかきあげるサラ。
「まあ殆ど仕切っていないとは言え、あのお人の部下だぜ、俺は。機体は完璧に仕上がってるよ。まあどう使うかは実働部隊のお仕事だからな」
島田はあまりにも自然にサラの隣に腰をかけながら誠の方を見つめてくる。
「はい、がんばります。西園寺さんやカウラさんがフォローしてくれればどうにかなると思いますよ」
「どうにかなるじゃ困るんだよなあ。一応、俺がお前さんの機体動作パターンを練り直して調整に調整を重ねた機体だぜ?少なくとも三機は落とせ」
口にくわえた割り箸を割りながら詰め寄る島田。
「無理ね……」
ふっと、紺色の髪をなびかせて起き上がるアイシャ。
それだけ言うと目の前にあった梅茶漬けをかきこみ始める。
「そんなこと無いんじゃないの?確かに荒削りだけど、反応速度や索敵能力は05のパイロット向きだと思うわよ。後は細かい状況判断能力だけど、これは実戦で経験を積むしかないわね」
いつものシミュレーションの時と同じく、比較的評価の甘いパーラは誠を励ます。
「一応、最終調整だけど、誠向けに比較的ピーキーにセッティングしてあるから、かなり抑え気味に乗ってくれると結果は出せそうだな」
「そうですか」
島田は牛丼をかき混ぜつつそう言った。
「正人。そんなにぐちゃぐちゃにしたら不味そうじゃない!」
「別に俺が食うんだからいいんだよ!最後に乗ったシミュレーターの操縦感覚、覚えてるか?」
サラの注意をさえぎるように、そこまで言ってからようやく牛丼を口に運ぶ。
「これまでより遊びが少なかったですね。でもまああれくらいの方が僕は操縦しやすいです」
「さすがウチの大将の指示は的確だね。神前は理系の癖に勘や感覚で機体を運用するタイプって言ってたが、まさにそんな感じだな」
「凄いのね、神前君て。アイシャも何度か落とされたんでしょ?」
サラが青い顔をしたアイシャに話を振る。
ようやく梅茶漬けを食べ終わった彼女は、何をするわけでもなく目の前の空間に視線を走らせていた。
「お茶漬けってさ」
突然話し出すアイシャ。
「整備班の酔っ払い連が食べるものだと思ってたけど、こうして二日酔いの状態で食べると……美味しいのねえ」
「はあ?」
そう話しかけられても誠は対処に困った。
「あのー、大丈夫ですか」
「何とかねえ。梅干美味しいわ」
アイシャは残った大き目の梅干を頬張る。
「本当に大丈夫?昨日、要が連れてきた時は本当にびっくりしたけど。結構疲れてたからかしら」
パーラが心配そうにアイシャを諭す。
確かに昨日はアイシャは二杯程度しか飲んでいなかった割にはきつそうにしていた。
「まあいいわ。お姉さんがご飯食べれないから私先行くわ」
そう言うとアイシャはよろよろと立ち上がって茶碗を洗い場に持って行った。




