今日から僕は 104
「はいはい!喧嘩しちゃ駄目でしょ!アイシャちゃんパーラちゃん!」
カウラに落とされたリアナがシミュレーターから顔をのぞかせた。
その妙にホンワカした口調が三人を和ませた。
「またアイシャちゃんが要ちゃんをからかったんでしょ?あの子純粋なんだから虐めちゃだめよ!」
『あのどこが純粋なんだ?』
誠は思った。
たぶん残りの二人も同意見だろう。
「やっぱりカウラちゃん強いわねえ。明華ちゃんは結構互角にやってるけど難しいかなあ。それにしても凄いわよ誠ちゃん!このシミュレーター、法術対応システムだから本当にその能力がある人しか反応しないけど一発で決めるなんて!隊長でさえ三回試してようやく起動させたくらいなのに」
よほど嬉しいのか、リアナのニコニコした顔がだんだん近づいてくる。
近づいてきて、近づいてきて、近づいてきて。
そして本当に顔に息がかかるくらいまで近づいてきた。
「あのー」
「どうしたの?誠ちゃん」
天然な人だ。改めてそう思う。
さすがにすがりつくのに飽きて少し離れて立っていたアイシャも、その様子を呆れ顔で見ている。
「いい子にはご褒美あげないとね!じゃあご飯奢ってあげようかしら?そうしましょう!アイシャちゃんとパーラちゃんは自腹でお願いね」
ニコニコと太陽のような笑顔と言うものの見本みたいなものが目の前にある。
誠もそんなリアナの押しに負けて苦笑いを浮かべながら頷いた。
「それじゃあ、早速行きましょうか!」
「お姉さん!許大佐達は……」
パーラが宥めるような調子でそう言った。
「良いのよ!明華達は戦って友情を深めてるんでしょ。早くしないと置いてくわよ!」
思いついたら誰の言うことも聞かない人。
誠はそんな印象をリアナに受けた。
モニターに直撃弾を喰らって炎上する明華の四式が映し出される。
「早くしよ!早く!」
リアナは誠とパーラの手を引っ張ってシミュレーションルームを後にする。
アイシャは当然のように横についてきていた。
「誠ちゃん大丈夫だって。要ちゃんもきっと分かってくれるわよ。それにアイシャちゃんもごめんなさいくらい言えるもんね!」
「子供ですか?私は?」
エレベーターのボタンを押しながらアイシャは照れていた。




