愛の唄
あぁ、お嬢様。
大好きよ。
人は皆、不思議そうに首を傾げるけれど、私は愛を唄っているだけなの。
でも、私はメイドであなたはお嬢様なのね。
どうやったって報われない恋。
でも、そんなの変えちゃえばいいのよね。
私たちの愛を壊そうとする奴ら全員。
逆に壊して差し上げましょう。
さぁ、台所から綺麗な包丁を持ってきましょう。
今日もこの包丁で沢山の食材を切ったわ。
今晩のおかずは、召使い。
それから、明日のおかずはお義父様。
それだけじゃ足りないかもしれないから、お義母様も。
そして最後はお友達。
お嬢様に寄ってくるお友達はみぃんなおかず。
さてさて。
今日は召使いのフルコースよ。
あら、意外とこのお屋敷って人が多いのね。
食べ切れるか心配ね。
でも、育ち盛りのお嬢様だもの。
いっぱい食べて今よりもっと素敵になってね。
さてさて。
今日はお義父様とお義母様のピーナッツバター和え。
私ははじめて作ったのだけど、美味しく出来上がっているかしら。
お嬢様は美食家だものね。
お口に合わなかったら、口直しのデザートをどうぞ。
さてさて。
今日で最後よ、お友達の丸焼き。
見た目が残念だけど、味には自信があるのよ。
きっと美味しいわ。
最後は華やかに終わりましょう。
さてさて。
みんな食べ終わっちゃった。
明日からはまた普通の食事に戻っちゃう。
みんなみんな美味しかったのにね。
そっとお嬢様に触れてみるわ。
「あら、素敵な瞳ね」
そんなこと言うからドキドキしちゃう。
今夜は眠れそうにないわ。
あぁ、お嬢様。
大好きよ。
この世で一番貴女を愛しているわ。
今宵は私と一緒に踊って下さる?
貴女の総てが欲しいの。
タベちゃいたいわ。
貴女の綺麗な肌と、私の綺麗な瞳。
鮮血の雨を降らした三日前。
もうそんな事は忘れたわ。
さぁさぁ、狂い続けましょう。
楽園へイきましょう。
貴女にだけ愛を唄い続ける。




