6話 栄養たっぷり
お庭に出てきました。
荒れ放題ですわね。土ごと掘り返したいところですけど、魔力に余裕がありません。
回復薬を飲みましょうか。
できれば飲みたくないのですけど。
ごっくん。
身体の奥から魔力が湧いてきます。
急いで使わないと魔力が暴走してしまいます。
土、掘り起こせ!
草、燃えよ!
ボガンっゴガンッ
地面がえぐれました。えぐれた地面ごと草が燃えています。
ヤバい、ヤバイ。火事になっちゃいます。
水、火を消せ!
バチャンッ
ううわわっ。水没しますっ。ごぼっ。
水、消えよ!
ふ~、やれやれ。ごほごほっ。びっくりしました。
服も濡れちゃいましたね。乾け乾け~。
魔力をたくさん放出したので落ち着いたみたいです。
さて、地面をならして。むうう~んっっと。
いい感じのお庭になりました。
さっそくハーブを植えたいですね。
ハーブの種が、え~と、あ、ありました。
植えて。
水かけて。
あとは、早く育て~早く育て~。怨念送信完了しました!
お、にょきにょきしてきましたね。
今日はこちらのハーブを摘んでいきましょう。
さ〜て、朝食作りの続きしよっと。
「あれ?リード様、おはようございます」
起きてらしたの気がつきませんでした。
「あ、ああ。おはよう。今、その、すごい音がしたから起きてきたのだが、草が、すごい勢いで伸びたような…」
「ここのお庭は栄養たっぷりなんですもの。早く収穫できて助かります」
…そういうもんか?そういうことでいいのか?
なんかまたリード様がほけ~っとしてますけど、寝起きがよろしくないのでしょうね。
「リード様、朝の支度をしてしまいましょう。お食事もご用意できていますよ」
まだ、ほけ~っとしてますわね。
う~ん。
お水、リード様をキレイにして!
ばっちゃん!
「ぶふぁっ!ご、おいっ!何するんだ!」
「目が覚めたようで、ようございました。お召し替えいたしましょうね」
「自分でやるぞ」
「まあ!ご自分できちんと着られないでしょう?お手伝いいたします」
「着るものだけ用意してくれたら、自分でやる」
言うこと聞かない、御仁ですわね~。あ!
「仕方ありませんわね。ジェリー…」
「い、いや。自分でキチンとするので勘弁してください」
「では、キチンと、お仕度ねがいますよ」
ふふっ。
なんでかわからないけど、ジェリーに支度を頼むとみんなおとなしくなるのよね。
ラクチン、ラクチン。
塩とハーブで味を調えて、できあがりました。
「リード様、朝食ですよ」
部屋まで迎えに行くと、まあ、きちんと着こなしてますね。
「衣装をかえたら、品のいいベアモンになりましたわね」
かっこいいです、ワイルドで。うっとり。
「動きづらい」
「でも、レッセイ様はそんな感じでしたから」
貴族ってそういうものなんでしょう?
リード様を座らせると、髪をとかしながら後ろで結わえる。
「動けないと太りそうなんだが」
む?それはいけませんわね。
「では、お食事のあと動きやすいものをご用意しますわ」
「やけにあっさり許可がでたな」
「ふふ、せっかくカッコイイんですもの。その体系を維持しませんと」
「そ、そうか?」
かっこいいか?そうか?
ふふふふ、
はははは。
あれ?なんだかおかしな空気になりましたわね。