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甘い香りに気をつけろ  作者: ほろ苦
8/9

愛梨ちゃんと私と真犯人 8

読んで頂きありがとうございます。ほんの少し暴力的なシーンがありますのでご注意?下さい。

 甘い匂いがする…


 お香だろうか、煙たい匂いの中に甘い香りがして体がフワフワと浮く感覚。

 ゆっくりと重たい瞼をあげると白い煙が見え薄暗い部屋の床に私は横たわっていた。

 起き上がろうと腕を動かすと背中で縛られているらしく動かす事が出来ない。


 ああ、夢ならいいのに……

 こんな悪夢見たことある……


 今度は少し力強く腕を引っ張ると肩の関節に痛みが走り顔を歪めた。

 夢じゃないって事か

 薄暗く煙たい部屋を見回すとそこは見覚えのある景色だった。

 サーモンピンクのカーテンはしっかり閉められ、特徴的なドレッサーは愛梨ちゃんのお気に入りと言ってたのを思い出す。

 愛梨ちゃんの部屋はアパートの二階で、そんなに広い部屋ではなく10畳ひと間の1Kだ。

 私の横にシングルベットがあり、その上に横たわる一人の女性

 一目で愛梨ちゃんだとわかった。

 一瞬青ざめて彼女をよく観察するとパジャマを着ており胸のあたりが動いているので眠っているとわかり少しホッとした。

 彼女は私と違い腕を拘束されていなかった。


「愛梨ちゃん!愛梨ちゃん、起きて!」


 私は両腕は使えないが足は自由だったのでなんとか起き上がり愛梨ちゃんの所に近づく

 それにしても……体が重い……

 頭はクラクラするし立ち上がる事もままならないぐらい体が怠いのだ。


「愛梨ちゃん……」


 彼女は薄ら笑って眠っている……のだろうか?

 たまにうふふっと笑っているのでとても奇妙に感じ、一向に起きようとしない。

 私は更に辺りを見回すとベットの近くで焚かれているお香を見て目を細めた。

 この状況から考えるとまず普通のお香ではないだろう。

 もくもくと部屋いっぱいに甘ったるい煙がこもり私は苛立ち焦り、頭がボーとしてフワフワして、楽しくなって……

 まずい……なんとかしないと……

 とにかくこのお香の煙から逃れようと思い窓を開けようとカーテンの方に近づくが足に力が入らず床に倒れてしまった。

 自分の身体が思い通りに動かない事が悔しく、それでも諦めきれない私は少しずつ窓に近づく。

 すると玄関のドア鍵を開ける音が聞こえた。

 私は眉間に皺をよせ玄関の方を睨むと玄関の扉が開き、外は真っ暗になっているのが見えた。

 その扉からスーツ姿の青山君が部屋に入りゆっくり扉と鍵を閉めてカバンを玄関先に置き、部屋の電気をつけないまま近づいてくる。

 私のすぐ傍で立ち止まり見下ろしている彼の目は今まで見たことがない冷たい瞳をしていた。


「だから嫌なんですよ。勘が鋭い女は」


「青山君……貴方だったのね、金城さんの協力者は」


 にやりと笑い、しゃがみ込み私の顔を覗き込む。


「大丈夫ですよ。これからは矢野さんも俺の協力者ですから。最初から俺の言う事を聞いていれば良かったのに、貴方が俺を拒んだせいで佐々木さんが代わりをする事になったのですよ?」


「代わり?」


「はじめから会社を運び場所に利用するつもりでした。金城と俺との直接接点が無いように見せかける為に。受付の女の子経由で取引をする、本当はこの役目は貴方にして欲しかった。より自然に商品を運ぶためにね。整備車両として入庫すれば貴方の方が自然に車に近づけるし」


 ああ、だから私に告白をしてきたのか……利用するために

 ボーっとする頭の中の思考回路をなんとか回転させて考える。


「彼女は頭が悪いからすぐに動揺する。使い物にならないんですよ、その点貴方は違いますよね?」


 青山君はそっと私の頭を撫で、お団子にしていた髪ゴムとピンを外した。

 私の自慢の髪がはらっと顔にかかるのを丁寧に拾い上げ頭を撫でる。

 私は悪寒がして顔を曇らせた。


 触るな……

 震え怯えるのを精一杯堪え青山君を睨む。


「長い時間このハーブの煙を吸い続けると気分が良くなり、楽しくなります。嫌な事すべて忘れられるぐらいにね」


 そう言うと青山君は無表情で私の制服に両手をかけ、ベストを乱暴にひき裂く。

 私は抵抗しとうとするが思うように体が動かず足を少し動かすことぐらいしか出来なかった。

 悔しい……目に涙がたまるのを我慢して何とかしようと青山君に話しかける。


「こんな…こんな事をしても、いつかは警察に捕まるわよ」


「俺が?いままで捕まらなかったのに?」


 話ながらも私の服を脱がす手は止めてくれない。

 この先に行われるであろう行為に憎悪を抱き体が硬くなる。


「悪いけど最初は写真を撮らせてもらうよ?ちゃんと言う事を聞くようになったら写真は消してあげる」


 にやりと卑猥な笑みを浮かべゆっくりと私の上にまたがった。

 私のベストを脱がし青山君はスーツの上着ポケットからスマホを取り出してジャケットを脱ぐ。

 私は焦りなんとか抵抗しようとするが、身体がふにゃふにゃと力が入らない。

 青山君が私のブラウスのボタンに手をかけた時ボーとする頭の中で恐怖と失望感が襲い、小刻みに震えて我慢していた涙がぽろりと零れる。


 誰か……助けて…


 ガッシャ-ン!!


 窓が割れる音と同時に大きな影が青山君に飛びかかり、狭い部屋の隅まで押し飛ばされた。

 すぐにその影は青山君を床に抑え込んでいる。


「ぐぁ…」


 部屋にこもっていた煙が割れた窓から少し流れ出し月明りがカーテンの隙間から差し込むとその影が水吉刑事だと気が付く。


「動くな!!風花、大丈夫か?!」


 私は視線だけなんとか水吉刑事の方を向くと彼の必死な形相に疲れたように笑った。

 その直後に玄関の鍵を開ける音がして大柄の中年刑事さんを先頭に数人の刑事さんが入って来る。


「まったく無茶しやがって、水吉!大丈夫か!?」


「はい、確保してます」


 青山君は警察に連れていかれ、すぐに救急隊員が入って来た。愛梨ちゃんと私を担架に乗せて部屋から運び出され、救急車の中で治療を受けていると少しづつ意識がはっきりしてきた。

 水吉刑事が救急車に乗り込んで来たのがわかった。


「……遅くなって、すまない」


 心配そうに私の顔を覗き込む水吉刑事に私は微笑みかけた。


「なんで謝るの?ありがとう、助けてくれて」


 本当、もう駄目かと思っていた。

 今でも手の震えが止まらない。

 助かったと思った瞬間、彼がまるで正義のヒーローのように輝いて見え今でも胸がドキドキしている。

 この気持ちはあのお香の幻覚なのだろうか?

 震える私の手を水吉刑事はそっと握り締めた。

青山君の極悪度を出したいのに、上手く書けませんでした……ちょっと事件の動機も甘い気がしますね……反省……もっとグログロのドロドロな内容にした方が良かったのかも知れないけど、基本平和主義ののほほんな私には無理なのでしょうか苦笑


最後まで読んで頂きありがとうございます(*^-^*)

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