2度目の生
前回のが例外的に長いイメージです。今回のが基本的な文量の予定です。
結局、私を最後まで苦しめた敵は孤独だった。
こいつはとても強くて私1人ではどうしても勝てそうになかった。故に私はこいつに勝つために仲間を集める事にした。
次の世界では必ず失敗しない…などと下らないことを考えていると、視界が光に埋め尽くされた。
◇◇◇◇◇
「奥さまっ!産まれました!産まれましたよっ!!」
とてもうるさい。そこら中から音が聞こえてくる。音で溢れているな、ここは。
「よく頑張ったな、ミラ…」
「ありがとう、貴方…。男の子のようだけど…」
どうやら出産現場のようだ。そりゃあ、こんなにうるさくもなるか。あちらこちらから、看護師さんの声が聞こえるからな。
「ああ。大丈夫だよ、ミラ。もう名前は考えてあるんだ」
てゆうか、赤ん坊はずっと泣いているな。いい加減泣き止んで貰いたいね。耳が痛くて叶わない。
「あら!楽しみね!聞かせてくれるかしら?」
この女性は随分と元気だな。出産したばかりだと言うのにこの有様だ。赤ん坊が元気なのも頷ける。
「この子の名前は…ハルカ…。ハルカ・ブライトだ」
ほう。割と悪くない名前だな。
私は意外にも良い名付けに関心をしていると、頭が割れるような泣き声が止まった。
「フフ…この子もその名前が気に入っているみたい…。ハルカ…。ハルカ・ブライト…。よろしくね、ハルカ」
その大きく強い意志のありそうな瞳は私の瞳を捉えて離さなかった。
なるほど。泣いていたのは私だったのか。
私は皆から祝福されて生まれた。
◇◇◇◇◇
ーーーハルカ・ブライト。
どうやらそれが私の名前のようだ。
初めに言っておくが、私は全て覚えている。
前世?になるのだろうか。そこで化物と呼ばれて疎まれていたことも、孤児として生まれ育ったことも、ずっと独りであったことも…
今はその化物染みた強さまで引き継がれているのかは、まだ確かめようがないが、少なくとも記憶は引き継がれているようだ。
正直、記憶が受け継がれている時点で前世の経験が受け継がれていると同義であるようなものなので、これだけでも充分チートである。
だが、油断することはできない。
前世で私は化物と呼ばれ、疎まれてきた。それは圧倒的な強さが原因であった。
今の記憶が受け継がれている時点でもチート染みているのだ。この強さが露見するとまた化物と呼ばれてしまうかもしれない。
ーーー故に私はこの世界では、可能な限り強さを隠しつつ、前世とは異なる生き方、世界に縛られないように生きると決めた。
だが、決して弱くなろうとする訳ではない。前世では私の隔絶されたまでの圧倒的な強さを隠しきれなかったことが問題であった。
生まれ変わった今、対処法はいくらでもある。強さを隠す方法もあるし、弟子を取って私並みに強く育てるのもまた方法として取ることができるだろう。
故に私は可能な限り、前世の記憶を頼りに自らを鍛え、世界に対して自由に生きていくことにする。
それはとても魅力的に思えた。