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悪夢 ――プロローグ――
な、長かったー。実はこの話、三行くらいでさらっと終わってました。
だけど、ザマァと言いたいという読者様の感想をいただいたため、ちょいと頑張りました。た、多分。
――お前ごときが、何かを守れるはずがないでしょう。
――ほぉら、お前のせいで、可愛い彼女の『心』は駄目になってしまった。次にお前が壊すのは何かしら? 彼女自身?
「っ!!」
声にならない悲鳴と共に飛び起き、自分が寮にいることを思い出す。
「夢、か……」
ここ最近は見なくなった夢。絶望を形にしたその夢を今になって見てしまったのは、先日の学園で起こった事件の影響だろう。
自分では克服したと思っていた。フィアナさえいてくれれば、負けやしない、と。けれど、失うかもしれない、ただそれだけで、恐怖はいともあっさり自分を蝕んだ。人の悪意に押しつぶされそうになったカイルは、ぼんやりと先日起こった騒ぎを思い出していた。