第二話:ネリスは女王さま?
今回は、早めにできましたので投稿します
ネリスが授業を始めると言うと、おもむろに黒板の前に立ちチョークをどこからともなく取り出して右手に持った。
しかし、なぜか左手には授業には必要のないはずの鞭を持っていた。
楠雄は、背中に汗をかきながら手を上げてネリスに質問をした。
「ネリス先生、なぜ左手に鞭を持っているのですか?授業には必要ないはずですが?」
「さっき言ったでしょう。ビシビシ行くって。ちゃんと聞いていなかったり、質問に答えられなかったらこれでお仕置きね」
ニッコリ
「ヒィ!!」
ネリスがニッコリとしながら言うのを聞いて、楠雄は絶対に真剣に聞こうと思った。
「それでは、まずはこの世界の常識について学んで行きましょう」
「はい先生!!」
「はい、いいお返事ね。創造神様もおっしゃったと思うけど、あなたがこれから行く世界は『グンゴリア』というの。
『グンゴリア』と、あなたのいた『地球』とでは大きな違いがあるわ。まず『グンゴリア』には、大気中に『魔素』というものがあるの」
「魔素?魔素ていうと、ラノベとかでよく聞く魔力の元みたいなものですか?」
「そうですね、そんな認識であってます。この『魔素』を生物は吸うことによって魔法を使えるようになるわけです。
『地球』で魔法が使えないのは、この『魔素』が大気中に存在していないからです」
「なるほど」
「ちなみに、生物には基本的に体内に『魔石』という器官が存在しております。この『魔石』には、空気中の『魔素』を取り込んで貯めておく性質があります。人族や、魔族などはこの『魔石』に溜め込んである『魔素』を精神力によって、魔力に変換しイメージの力で魔力を色々な魔法に変えて放っています」
「先生、質問があります!」
「はい、なんですか?」
「魔石は人によって大きさに違いはないのですか?」
「はいいい質問ですね。魔石は人によって大きさは違います。魔石は大きほど、魔素を溜め込むことができます。つまり、体内にある魔石が大きいほど多くの魔法を放つことができるということですね」
「なるほど。ちなみに、魔石は大きくすることができるのですか?」
「できます。地球にいたあなたなら知っているかと思いますが、人族の体を鍛えると筋肉が傷つきます。傷ついた筋肉を修復する際に人は、筋肉の総量が増大します。
これを『超回復』と言いますが、同じ器官である魔石も同じことが起きます。
つまり、限界まで魔法を使うと魔石も『超回復』がおこり一回り大きくなります」
「なるほど。つまり、限界まで魔法を使えってことですね」
「ただし、限界まで魔法を使うと吐き気や目眩・頭痛などがおきますので注意が必要です。
また、大きくなるのにも人ごとに限界もありますので限界に達した場合はそれ以上は成長しません」
「なるほど」
「ちなみに動物には、この魔石が存在しませんが魔素が濃い場所に一定期間いると、動物にも魔石が発生することがあります。魔石が発生すると、魔素の力によって肉体が強化され理性を失い凶暴化します。
これを『魔物化』するといいます。魔物は、魔素を取り込んで生きていますので、食料が必要なくなりますが魔素を取り込むことには貪欲になり魔素を持っているものを見つけると襲いかかってきます。
その為、魔素を持っている人族もよく襲っているみたいですね」
「魔物もいるのか。本格的にファンタジ小説みたいだな」
「さて、魔素については取り敢えずこれくらいにしときましょう。さらに詳しくは、魔法を教える際に教えます」
「了解です」
「さて、次はこの世界の大陸についてです」
ネリスはそう言うと、どこからともなく地図のようなものを取り出してきて黒板に貼り付けた。
楠雄は、そんなデカいものどこから取り出したんだとか、この世界て紙あったんだとか地図ていう概念もあったんだとか思ったが、全て突っ込むと話が進まないと思って黙っていた。
「この世界には、大陸は一つしかありません。この一つの大陸を4つに分割してそれぞれの種族が住んでいます。
右上には人族が基本的に住んでいて、その中に色々な大国や小国が存在してます。
あなた達を召喚した『グンゴール王国』のほかにも、色々な人族の国がありますが、それはあとで人族の歴史と一緒に教えます。
右下には、獣人達が住んでいます。獣人たちは国というものは形成しておらず、部族ごとに複数の村を作り分かれて生活しています」
「獣人!やはり、獣人もいるのか。先生、人族の土地には獣人はまるでいないのですか?」
「そんなことはありません。村から出て旅をする者もいますからね、人族の土地でも見ることはあるでしょう。
ただし、あなた達を召喚した『グンゴール王国』は人族至上主義を掲げていますから、人族以外はいません。
他の人族の国は、特に他の種族と戦争はしてませんから他の国にはそれなりに他の種族の者もいるはずです」
「ちぇっ、じゃああっちにいってもしばらくは獣人なんかには会えないのか」
「さて、話を戻します。左上には魔族が住んでいます。
魔族は、基本的に個人主義で国や村なども作らず好き勝手やっています。
ただし、魔王が現れれば別です」
「魔王!現れればてことは通常はいないんですか?」
「そうですね。魔王は、魔族に危機が陥ると現れると言われています。現れた魔王は、魔族を纏めあげ国を作りあげると言われています」
「なんか勇者みたいだな」
「そうですね。ある意味、魔族の勇者と言ってもいいかもしれません。補足すると、今回あなた達が召喚された理由の一つにこの魔王が出現したからというのもあります」
「まじか!!」
「最後に、左下には龍人族が住んでいます。龍人族は、龍から変化した種族と言われており皮膚には硬いウロコがあり、また口からはブレスを吐くこともできます。
また、この土地のみ山に龍が住んでいて龍人族を襲うと龍が山から下りてきてその者を襲います」
「おおー、龍もいるのか。会ってみたいな」
「とまあ、こんな感じですかね」
「先生、エルフやドワーフはいないんですか?」
「ああ、説明し忘れていましたね。エルフは色々な土地の森に隠れ里を作り、部族ごとに住んでいますのでどの土地にいるとは一概に言えません。大陸各地のどこかにいるとしか言えませんね。
ちなみに、エルフは精霊を見ることができ『精霊魔法』という特別な魔法を使うことができます」
「うんうん、テンプレだね」
「ドワーフは、種族全体で一箇所に住んでいるということはありません。色々な国に住んでいます。種族全体の特徴としては、やはり鍛冶が得意でドワーフが作るものは名品ばかりなので、鍛冶師として国に雇われていることが多いですね」
「これもテンプレか。ちなみに『グンゴール王国』にはいるの?」
「いません。いくらいい物を作れるとしても、人族至上主義な為自分たちより優れた物を作れると認めたくないようで、追い出しています」
「ふーん、アホだね」
「そうかもしれませんね」
「大陸についてはこんなもんですか?」
「そうですね。まあ、他にも色々な種族がいますがそれは自分で召喚されたあとで見るほうがいいでしょう。全部説明しても、あまり面白くありませんからね」
「まあ、確かに」
「さて、次ですが・・・」
「先生!」
「なんですか?」
「ちょっと、お腹すいてきたし一休みしませんか?」
「そうですね。そろそろ、夜になるみたいですから今日はここまでにしましょうか?」
「えっ?ここでは時間が経たないんではないんですか?」
「そうなんですが、それだと私たちは大丈夫でもあなたが大変でしょう?だから、時は止まっていますが擬似的に昼と夜を作り出しました。ほら、段々部屋が暗くなってきたでしょう?」
「本当だ。さすが神界、なんでもありだな」
「では食事にしましょうか。あっちに用意してあるわ」
そう言ってネリスが指したところには、さっきまでなかったのにテーブルが置いてあり、その上にはなぜか牛丼が置いてあった。
「なぜ牛丼!?」
「えっ、だってあなた好きでしょう?」
楠雄は、なぜ自分が牛丼が好きななのかとかいつのまに用意したんだとかもういい加減突っ込みたかったが、神様だしなと諦めることにした。
「さあ、それを食べたら今日は取り敢えずもう寝なさい。あっちにベッドも用意したから」
「いつの間に・・・」
楠雄は、ため息を吐きながらもこの牛丼ウマ!とか思いながら牛丼を全部食うと、今日一日で色々あって疲れたのかすぐにベッドに入って寝てしまうのだった。
「おやすみなさい」
「はい、おやすみ」
こうして、楠雄の修行一日目は終りを告げた。しかし楠雄は知らない、ネリスが、明日からどれだけハードな勉強メニューを作っているかを。
明日、楠雄は生き残ることができるのか?
作者は、このフリを回収できるのだろうか?!